第3節:世界ノ明日ガ決マリダス
結構世界感強めです
空には満天の星空と3つの月が珍しくも全て同時に見える位置に浮かんでいる。
恐らくあの月達は今日起きたことを珍しがって見に来た野次馬なのだろう。
二人の少年は時計塔の上で己らの未来を見定めるように夜空にきらめく星々を何とも言えぬ表情で眺めている。
「厄災を解剖しろとは……これはまた奇怪な事を頼まれているものだな……」
少年はおろした腰をポリポリと掻いて少し寂しそうに言う。
「俺は……何か存在する目的があれば何か満たされるって思ってたけど……ハハ……満たされないな……まるでこの広い世界に一人置いてきぼりにされたみたいな感覚だ……」
刀の少年が不満そうに言う。
「何を言っている…今お前に残された世界をそのしかと存在する両の目で見てみるがいい………こんなにも満たされたものは他にないだろう」
少年は少し冷めた口調で言う。
「その満たされた世界を見渡せるほどの度量がないから満たされないのかな……俺は創世全書も知らないし……厄災ってのが何なのかも知らないし………ほんと…つくづく自分が嫌になる」
漁港の村の夜風は少し肌寒いか、少年は両手(と言っても手錠で繋げられているが…)を肩に乗せて自分の体を抱きしめる様なポーズをとる。
少年は落ち着きのある……しかしその場では存在感が放たれる音を鳴らした。
ぐすん
「……はぁ」
今度は刀の少年が大きく口を開いて溜息を吐いた。
刀の少年は後頭部を掻くと少し呆れた様子で…しかし顔には微笑みを浮かべて言った。
「今貴様の隣にいる男を誰と心得る……某だぞ!某にどうにもできぬ問題など無い!こういう事は早いほうが良い!わかっているさ……早速創世全書について教えよう!この授業は少し難しい話になるから覚悟しろ!」
その言葉聞いた少年がその日初めての笑顔を見せた。
「ありがとう!」
村の営みが星空を真似て輝きだす。
刀の少年は正座すると自分の膝の上に刀を置いて語り始めた。
「創世全書………神々のありとあらゆる技術と知識が世界の全てを繋ぐ力『神力』によって創世全書に刻まれた……この本がなければ今我々は存在していないし星も朽ち果て死んでいただろう」
少年は楽しそうに話を聞いている。
「ただこの本は星を救った時、災厄の力でページごとにバラバラになってしまったのだ」
「え?どうしてだよ?」
「それに関して詳しいことはまだ解っていない……とにかく本は紙になって星中に霧散してしまった……それらを全て見つけるのが俺の目標でもある………まぁただ本に関する最も重要な事項はまだ言っていない……」
少年の鼓膜が興味深い授業に魅了される。
「本に関する最も重要な事項…………それは……」
ゴクン……
少年はつばを飲み込み刀の少年と同じ正座で話を聞いている。
「生命への影響……だ」
「レッドブックの残骸……すなわち創世紙を捕食することで捕食した創世紙に刻まれていた事項に関する超常能力を獲得することができる……要するに生物が神に近い存在になるのだ!」
ヒュウゥゥゥ……
時計塔に強めの風が吹き、少年たちの髪の毛を揺らした。
「またそれらの超常能力の中には、人の記憶を鮮明に掘り起こし解析できる様な物まであるという…………言っている意味はもう分かっただろう………」
村にあった星空はすっかり静まり返り、残ったのは新しい一日の開幕を告げる時計の鐘の音のみであった。
「今……我らの目標が定まったとは思わないか?」
少年は立ち上がり足を伸ばしながら言う。
「記憶を蘇らせる者を探し出す……」
二人の少年は顔を見合わせた。
もう言葉の介入する隙は無いようだ。
本=創世全書の認識で大丈夫です。
紙=創世紙の認識で大丈夫です。




