第16節:蛸?
キィン!ブシャ!
「ぐあぁ!!」
男が2つの遺体に囲まれて、血を流しながら言う。
「なんだこのガキ?!尋常じゃなく強えぇ!」
たこはレッドの後ろに隠れながら質問をする。
「レ…レッド…なんか躊躇とかなさすぎじゃないタコか?」
レッドは【解剖戦術・血式摘解刃外戒態】を構えて言う。
「それ今聞くことか!」
男が剣を構えレッドに攻撃を仕掛ける。
「死ねぇ!クソガキが!」
キィン!ブシュ!!
レッドは攻撃を血式摘解刃で流した後、男の腹を素手で貫く。
男は血を流しながら地面に倒れる。
相手の組に付いていた機構蝶が地面に墜落するとレッド達の組の機構蝶から音声が鳴る。
「30ポイントを獲得、残り必要ポイントは70ポイント」
レッドは顔に付いた血を拭きとりながらドローンを見る。
「レッド!答えるタコ!なんでそんな人を殺すのに躊躇が無いタコ!?レッドは人が死ぬことをどう思ってるタコ!!」
レッドはたこの質問に対して黙り込む。
そうしてある程度黙り込んだ後に、ようやく口を開いて喋り始める。
「……考えたこと無かった…」
たこはレッドの答えを聞いて唖然とする。
なぜならレッドの答えは、たこがほんの少しだけ信じていたレッドの人間性に致命的な亀裂を入れたからである。
たこは震えた声を必死に隠しながら喋り始めた。
「……それって………レッド…どういう意味か分かるタコか?レッド……それじゃ解剖全書と何も変わんないじゃないタコか……」
レッドは拳を強く握って言う。
「でも俺は………自分について思い出すたびにどんどん強くなってくるんだ……それと一緒に人を救いたいって思う気持ちも強くなって………自分が過去にやってきた事とかそういうのを思い出すと…………自分はいない方がましだってみんなから思われてるように考えて止まなくなるんだ………だから俺はみんなに必要とされる為に人を救いたいって思う………」
たこは俯いて聞く。
「だから…自分を捨てて…ノースを救おうとしてるタコか?」
レッドは少し驚くと言う。
「なんだ……知ってたのか……」
たこは頷くと悲しみに満ちた優しい声をレッドに放つ。
「ならたこは……レッドと一緒に居たくないタコ、君が間違えてるとか…そういう事以前に僕は今、君を心から嫌悪してるから……」
レッドも優しく頷いて言う。
「じゃぁここでさよならか………たこ……じゃあな」
たこは何も言わずにレッドから離れ始めてやがて暗い森の中にその身を沈めてレッドの隣から消えて行った。
レッドはゆっくり深呼吸をして、次の獲物を探すべく耳を澄ませる。
しばらく静寂が続いたのちにレッドがカッと目を開く。
「上から何か来る……」
ガサッ!………
レッドは右の茂みに向かって飛び込む。
その直後、空がキランと光り何かが高速で落ちてきた。
ヒュー………ドカァン!!!サァァァァアア……
レッドは茂みから顔を出して注意深く周りを見渡す。
「な…何が起きた?」
砂煙の奥で少年程の背丈しかない影が大きな棒の様な物を左肩に担ぎ、右手に何かもぞもぞと動いている袋の様な物を持っているのが分かる。
グゥン!!バサァッ!
影は砂煙に対して大きな棒を振るい、うっとおしい砂塵を一網打尽にする。
そこに現れたのは着物を着た黒い和服の少年だった。
彼は大きな金棒を担ぎ右手には3人の人間を持っている。
グシャ!!
「30ポイントを獲得、残り必要ポイントは40ポイント」
人間の首は少年の小さなしかし強靭な手で握りつぶされてしまった。
少年は人間を地面に捨てるとため息をついて言う。
「なんじゃ……この妙な機械が教えてくれるんか……別におぬしの目の前で殺す必要はなかったのぉ」
レッドは顔をしかめて言う。
「いやどういうこと?」
「いやな?殺したことを証明する方法を考えたんじゃが……目の前で殺した方が手っ取り早いと思ってな………あ、いや確かに今考えてみればおかしいな…………あぁ…いやすまぬ…最近思考が鈍ってやまなくのぉ……ボケってやつか?と言うかあら?あの蛸みたいなのはどうした?」
レッドは考えた。
(なんで解剖全書みたいな意味わかんない存在より変な奴ばっかなんだ……)と
そう考えたレッドはノースを恋しく思い空を見上げた。
空では青い小鳥が愉快に躍っている。
次にレッドは少年の方を見て言った。
「たこはいない……喧嘩別れしちゃったから…」
少年は目を細めながら言う。
「そうか……それはつらいのう…どれわしが話の一つ聞いてやろう!」
少年は金棒をドスンと地面に置いて腕を組み堂々と胸を張る。
「さぁ!話してみせんしゃい!!」




