表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
431の解剖全書  作者: 八十神 今切
第一章:死体と腐敗の天
14/18

第14節:質疑応答

 天塔を支配するものは何か?

 そう聞かれれば間違いなくオルヴァ巨教(キョキョウ)の五大巨皇(キョコウ)の名が有力な候補に出る。

 オルヴァ巨教の五大巨皇とは1000以上の宗派を持つオルヴァ巨教の中で最も規模が大きい5つの宗派の最高権力者「宗皇」五人で構成された連合の名である。

 その様な天塔の最高権力者たちが今日一堂に集まり塔全体の政治の方針を決める重要な話し合いが行われる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 真っ暗な空間に長机長机と座り心地のよさそうな赤い椅子が5つ置いてある。

 それぞれの椅子には五人の人間が座っていて人間の内四人は老人一人は若者だ、全員に共通するのは白い服を着ている事である。

 若者を除いた四人の老人一人一人に、黒と黄金で彩られた服を着た強者共が一人ずつ付き人として各々老人を守る。

 計九人が会議の始まりを待つ真っ暗な空間では、そこにいる人間一人一人に空の果てから伸びる明るい光が差している。


 ギィィ……ガチャン!

 扉が閉まった様な音がすると、末席で座っていた老人が錆びた鉄の扉の様な声で話始める。

「それでは第3983回連合会議を始める……まぁまずは新人に自己紹介をしてもらおうか?エアークラーク宗皇新任ノット・ホワイト君!立ち給え」


 末席から見て左の奥の椅子に座っていた若者がとても丁寧にそして華やかに立ち上がる。

 若者は男で白色の短髪に黄金の瞳を輝かせている。

「ご紹介にあずかりました、私今は亡き前エアークラーク宗皇レオーマ・タルに変わり新しく宗皇を担わせていただきます…ノット・ホワイトと申します……末永くご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」

 若者は口を閉じると胸に手を当てて頭を深々と下げる。


 それを見ていた末席の老人は満足そうに椅子にもたれると、拍手をしながら言う。

「とても素晴らしい挨拶だな!君の程丁寧なあいさつをした者は私の知る限り一人もいないよ!」

 若者は頭を下げたまま言う。

「お褒めに預かり光栄の至りでございます……」


 頭を下げ続ける若者を横目に見ていた老人が彼の態度に優越感を覚えて、上から見下しながら言う。

「して君ぃ…何か質問でもあるかぁい?我々に質問できるなんてめったにないよぉ?あ…もうお辞儀良いからぁ」

 

 若者は頭を上げて自分の隣で足を組み顎を上に向ける男を見ると少し微笑んで言い始める。

「ではここはお言葉に甘えさせてもらいます…」

 ペラ……

 若者は机の上に置いてあった資料を手に取って引っ張ったり折ったりしながら質問を始める。

「貴方はシラウスティ宗の巨皇であられる……それを前提として質問をさせていただきたい……シラウスティ宗の教書を開くとまず1ページ目に大きく『健全であり続けることが生きる目的である』と言う一説が書かれている……あなたはこれを存じておられますね?」


「あぁ……知っているがぁ?」


「お答えいただきありがとうございます……では『健全』であるための教えとして、『生きてる間に摂取するものは神力のみであり続けねばならない、神の力はこの世で最も浄化されており健全であるからだ』…というものがあるのもご存じですね?」


 老人は椅子の膝掛にもたれて言う。

「知ってるに決まっているだろう?さっきから何を言ってるぅ?」


「お答えいただきありがとうございます……ではその教えのせいでシラウスティ教の者は皆15歳で必ず死ぬというのは存じておられますね?」

 その言葉を聞き取った若者から見て長机を跨いだ向こう側の席に座る老人が長机を強く叩いて言う。

 バン!!

「……なっ…おぬし…それをいったいどこで!」

 

 若者の視線はビクともせず、質問を投げかけられてプルプル震えてたるんだ顔皮を揺らす老人を見つめ続ける。

 老人の汗が机の上の資料を濡らした所で老人は観念したのか細い声で回答する。

「し……知って………いる……がぁ?」


 若者は資料をしわくちゃにし終えると机の上に丁寧に置いてもう一枚資料を取る。

 老人と黒服は、若者本人を見ることが出来ずに彼が触れる資料を見つめ続ける。

 末席の老人は事の取り返しがつかなくなっていく様子を手を自分の顔の前で組んでただ見つめながら、乾ききった唇をモゴモゴ動かしたり、深く息を吸ったり、足をカタカタ揺らしたりする。


「お答えいただき光栄でございます……ではお聞きしたい……」

 若者は誰も気づかないうちに隣の老人を照らす光の中に侵入して質問をする。

「貴方はなぜ生きているのですか?」


 老人共はようやく若者が真に聞こうとしていた事を知る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ