第1節:シタイト贖罪ソシテ
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「なぁ嬢ちゃん……気分はどうだぁ?」
山奥にぽつりと佇む廃屋に男の死体と全裸の容姿端麗な幼女が倒れている。
そしてそれをブクブクと肥溜めの様に脂肪が固まった不細工な男が肉を食べ酒を飲みながら見ている。
季節は冬……気温はマイナス20度を軽く下回っている……
聞こえる音は男の咀嚼音と幼女の震える声そして火がパチパチ燃える音だけ……まるで世界に二人っきりみたいな静けさだ。
豚の様な声で嘲りながら男が喋る。
「嬢ちゃん……俺はお前を滅茶苦茶に犯すぅ……とびっきりハードなプレイだ!口に糞とザー汁詰め込んでから縫い合わせて1週間放置するぅ!二度とお人形とお話できなくしてやるよぉ!これからお前に良い事なんて微塵も起きねぇ!でも安心しろ……」
抵抗する力のない泥の様な幼女の体に男は醜いモノを擦り付けて言う。
「良い事なんかなくたって…絶望だらけだろうが…人間生きていけるからなぁ」
幼女は抜けていた力を振り絞って最後の抵抗をする。
「いやぁ……助けてお母様……お父様……いやだ……いやだよ゛ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!ッング!!」
古くなって壊れかけている床板が鈍い音ですべてを物語る。
ガタッギシ………ビチャッ……
今日もまた何気なく過ごしていた弱き者がまた一人………形容するのすらも嫌悪する人類の罪の犠牲者となった……
この星に生命が溢れるよりずっと前、星には神と言うのがいた。
神は「神力」を自在に操り星を開拓すると、繁栄と栄光の時代を歩んだ。
しかしとある「災厄」の数々の前に気づけば神には力尽きてゆくほかに選択肢が残されていなかった。
彼らは最後のあがきで己らの文明の歩みを「神力」で本に刻んだ。
本は「災厄」により滅びようとしていた星を瞬く間に再生し、更には生命を与えた。
そこからまた月日が流れ、人類が誕生した。
人類は世代を経ながら知識を育み、星に新たな時代をもたらした。
人類は星に根を張り、各地に国を築いた。
しかし一部の者は神が築いた星の謎と、超常的な自然に身を投じることを至高の幸せとした。
この危険な星を旅し、未だ誰も見たことのない景色を我が物にしようと鼻息を荒くする人類。
人は彼らをシーカーと呼ぶ。
人類歴2300年、漁港の村レブルサル
「~♪」
少年が陽気な口笛の音を潮風に乗せて遠い地平線に聞かせている。
「それは何の曲だい?ケイン」
「教会のおじさんが教えてくれたの!この曲を聞いた人は幸せになるんだって!」
「そうか!ならもっとみんなに聞かせてあげないとな!」
海が市場をキャンパスにして青い波の音を描きうつす。
空は少し曇り気味、この街の雰囲気ならば雨雲が一つあってもまた一興。
そんなことを言っていると空から雨粒が降ってきた。
ヒュー
ぽつん
雨粒は薄暗い市場の隙間に吸い込まれて、一人の少年の赤い眼球に落ちた。
「~♪」
ザァァァ
「なんだ……幸せになれないじゃん」
少年は自らの腹から垂れる赤い内臓を傍観し、己が人でない事に気づき始める。
「死なないでよ!!レント!!」
少年の死んだ体に誰かが呼びかける。
(あの少女は誰だろう……綺麗な金髪だ……誰かに服を脱がされてるのか……)
「いやだぁ!いやだよぉ!!」
少年の目の前では、少女が暴漢に強姦されている。
少年は瞬きをした。
一瞬目を閉じた後に開ける、その僅かな間に自分の目の前、少女と自分の間のあたりに赤い目をした黒髪の、フェイクファーで作られたワークキャップとゴーグルをした少年が現れて語りかけてくる。
「お前に俺の体をやる……やるから頼む……あの男を殺してくれ……化け物のお前にならできるんだろ」
少年はゴーグルの少年に言う。
「分からない、どういうことだ……俺の目的は……ここは何処だ……何も分からない……こわい」
ゴーグルの少年は目から血を流して言う。
「頼むよ………解剖全書……俺たちの運命なんてお前にとっては何でもないものかもしれない……でも俺らはお前に関わったからこうなったんだ……お前に感情があるならあいつを殺せるはずなんだ!お願いだ!俺たちが信じた解剖全書!」
少年は流れ出した己の涙を指ですくうと言う。
「わかった……わかったよ……なんかかわいそうだし……やってあげる……」
立ち上がり始めた少年の体の傷がそこら中に飛び散っている死体から血を吸い上げて治っていく。
ガシャン!!
少年の手に付いていた小さなねじだったり、ビスだったりでできていた手錠が、部品ごとにバラバラに分解される。
バラバラになった手錠の部品は空に制止している。
「やだぁ゛!!」
「ふぃー」
少年は自由になった両手を気持ちよさそうに絶頂している男に向けて言う。
「えーと……取れたら死ぬ部位を抜いて?」
少年がそう唱えたその時、人体解剖のオーケストラが響く。
ブチィ!!ブシャァ!!ドチャァ!
赤い臓器が糸を引きながら男の胸から外に向けて全速前進した。
そのまま臓器はすぐ隣の建物の壁にぶつかり赤いシミになった。
ガチャチャチャチャ!
少年の手首に集まった部品が手錠になっていく。
少年は冷たい空気を吐くと、雨に濡れる男の遺体と少女の抜け殻を跨ぎ、市場の隙間から出ていく。
ザァァァ……
「俺はこれからどうすれば良いんだろう……おなか減った」
コツ……コツ……
雨に濡れる者が少年の他もう一人
齢は少年よりも2つほど上か……13歳程と見て取れる。
だが背はかなり低い……大体130㎝前後だろう。
威圧的にセットされた白い髪を潮風に弄ばせ、眼帯が付いていない右目に入った虹色の瞳で空気を震わせている、着ているフード付きの白いローブはオーバーサイズ気味でその下に着ている赤い服も同じくオーバーサイズ気味だ。
左手には自分の体より大きい刀を携えている。
刀の少年は少年を睨みつける。
「とうに街の者は非難させている………ここにおるのは某と其方だけである」
ゆら………
少年が流れる様に刀を抜く姿勢を取って言う。
「ならば驕らず、いざ参らん」
刀が鞘を滑り空を泳ぐとそれは起きた。
【WHITEOUT】
突如少年の眼前から刀の少年が消えた。
少年の目は瞬きすらしていなかったと言うのに消えたのだ。
しかし声は聞こえてくる。
「この世界から星を観測し罰せられるのはただ一人……某だけ……」
刀の少年の声が建物の上から響いてきている。
「っ!!」
少年が言葉の意味を理解できずにいると妙な感覚が全身を走る。
「其方は刹那、五度死んだ」
ブシャァ!!
気が付けば少年の体がバラバラに切断されていた。
がしかしこの少年にとってみればそれはピンチに至る程の事ではなかった。
なぜなら先ほどの殺した男の遺体がまだ残っていたからである。
少年は死体などから血を吸収することで不滅の存在になることが出来るのだ。
ジュゥゥゥゥゥ…………
男の遺体の血液が少年の体の方へ伸びてきて、少年の体が崩れる前にその傷を癒した。
「体を斬っても死なぬか………やはり貴様が解剖全書…ならば………」
グッ!
少年が戦闘態勢を取る。
しかし気が付けばもうすでに刀は鞘に収まっていた。
刀の少年は建物から飛び降りて、スタッと着地すると言う。
「某を飼う気は無いか?」
その時、日の光が空のベールを切り裂いて、海を照らし始める。
少年にとって視界に入る世界の全てが宝石のように輝いて、二人の出会いをライトアップしている。
せっかちなものだ………この物語はまだ始まってすらいないと言うのに。




