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クールでとっつきにくそうな公爵令息と婚約しましたので様子を見ようと思います  作者: はるくうきなこ


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31/37

29王宮に呼び出されました3


 「まずは俺から話をした方が早いだろうから」

 そう口火を切ったのはエディオ殿下だ。

 「父上、まずはゾラとの婚約は解消したい」

 「ほぉぉ、それはまたどういった理由だ?ゾラはバーラ国の王女。国との約束を違えるにはそれなりの確固たる理由が必要だぞ」

 「はい、先ほどの態度もそうですがゾラは1年前に子を産んでいます。これは確実は筋からの情報で証拠もあります」

 「「「「えっ?」」」」

 全員が素っ頓狂な声を上げる中マリー様とヴィントはいたって冷静だった。


 「大叔母様。証拠を」

 エディオ殿下がそう言うとマリー様がすぐに持っていた書類を国王陛下に差し出す。

 「これは1年前にゾラ様が出産した修道院での記録です。魔映写機で撮影されたお腹の大きなゾラ様。そして生まれた赤ん坊と一緒のものもあり他に出産の補助をした修道女の証言も書かれています」

 「でも、ゾラ様はまだ18歳ですよ。それなのに‥」

 王妃殿下の声は震えている。 

 私だって驚きではくはくと呼吸がままならない。


 「父上?これで婚約は破棄でいいですね?」

 「ああ、そんな王女をエディオに押し付けたとは‥バーラ国には責任を取ってもらう」

 「責任なんか取ってもらわなくていいです。ゾラを追い返してもらえれば、あいつがいたらまたアマリエッタに何をするかわかりませんから」

 「ああ、彼女だけじゃない。ゾラは酷すぎるからな、よし、すぐにゾラには見張りをつけて国に送り返る手はずを整える」

 「はい、お願いします」

 国王陛下はすぐに護衛にゾラを部屋から出さないようきつく言いつけた。


 「それでは‥俺はアマリエッタと婚約したいと思っています」

 ちょ、ちょっと待って。

 「アマリエッタ嬢か‥いや、待て。エディオさすがにそれはお前の一存ではなぁ」

 国王陛下も考え込む。

 エディオ殿下はくるりと私に顔を向ける。

 「もちろん彼女の気持ちが一番です。どうだろうアマリエッタ。ヴィントとの婚約は解消して俺の婚約者になってくれないか?」

 私の気持ちはパニック。

 そ、そんなエディオ殿下の婚約者って‥無理無理。

 「それは無理です殿下」

 「どうして?」

 殿下こそどうして?

 「だって‥ヴィント様と私は婚約してるんですよ?エディオ殿下。私が貴方を好きだって言いましたか?あなたが私に愛を告白しましたか?いえ、貴族ならば政略での婚姻はあります。でも、私たちはエディオ殿下の婚約者候補として3年間王子妃養育を受けて来たんですよ。そしてやっと婚約者がゾラ様に決まり、私達は3年間の宙ぶらりんな状態から晴れてそれぞれが婚約を結んだんです。今のお話ですとこれまでの3年間は茶番だったと言われているとしか思えません。私だけではありませんローザンヌやリスティも同じ気持ちだと思います。そんな事ならばどうして最初から私を指名されなかったのですか?エディオ殿下の言い分は全くのわがままとしか言いようがありません」

 言ってやった!

 今更?私の気持ちはどうすればいいのよ。とは言ってもこの想いが叶うはずもないんだけど‥

 それでも3年間ローザンヌやリスティと過ごした時間は楽しいときもあったけど辛い事や大変な事もたくさんあったんだから。


 「それは私も同感です。エディオ殿下。今さらアマリエッタとの婚約をなかったことにしろとおっしゃっている。それは勝手としか言いようがありません」

 そう言ったのはヴィントだった。

 おかしい。あなたは都合がいいはずなのに、それ、あなたが言う?

 それに彼は何やら怒ってもいるようだ。


 「そ、それは仕方がないだろう。俺だってアマリエッタを婚約者にしたいと言ったんだ。でもゾラが出て来てあっという間に婚約が決まって。王子の結婚に恋愛感情は必要ないと片付けられたんだ!」

 「また、そのような事を‥殿下はたまたまゾラ様があのような方だったから誰か別の人にしたかったからじゃありませんか?」

 「違う!俺はアマリエッタが好きなんだ。初恋なんだ。ずっと好きだったんだ。だから、アマリエッタと婚約したいんだ」

 気づけばエディオ殿下が私の手を握っている。


 私は彼の真っ直ぐな瞳を見つめてそっと首を横に振り手を振りほどいた。

 「エディオ殿下。それでも私には無理です。はっきり言いますけど私は殿下の事は友人としか思えません。まあ、私の婚約者もシルフィ様とおっしゃる想い人がいらっしゃってお婆様であるマリー様のこの婚約には反対されていますし‥いずれにしても婚約は解消されるでしょう。だからと言ってエディオ殿下と婚約しますとはいかないんです」

 「どうして?それなら俺と婚約すればいいじゃないか。告白が遅くなってごめん。アマリエッタに好きになってもらえるよう俺は頑張るから‥それではだめか?」

 「人の心はそう簡単にはならないものです。私はこれ以上心を乱されたくはないのです」

 私は泣きそうになってぎゅっと唇を噛みしめた。

 もうここにいたくない。

 でも、ヴィントとちゃんと話が出来るチャンスはもうないかもしれない。

 こうなったら言いたいことをはっきり言ってやるんだから!











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