28王宮に呼び出されました2
~そして王宮に~
護衛兵に案内されて国王の応接室に通された。
どうして国王の応接室に?疑問を浮かべながら護衛兵について行く。
「失礼します。ロータネク伯爵とご令嬢をお連れしました」
「入れ」
どうやら国王も同席するらしい。
そんな大げさな話なのかと私は父と貌を見合わせる。
中に入るとそこには国王陛下と王妃殿下、それにエディオ殿下にゾラ様がいて、さらに驚くことにサルバート公爵とお婆様のマリー様とヴィントがいた。
「失礼します。国王陛下、王妃殿下にご挨拶申し上げます」父が挨拶をする。
私も続いて挨拶をする。
「急な呼び出しですまない。ロータネク伯爵。アマリエッタ嬢」
「とんでもございません。ところで今日はどのような?」
「ああ、まずはゾラ。この度の事で言うことがあるであろう?」
国王陛下がゾラに促す。
「はい、アマリエッタ様に暴力をふるった事深くお詫び申し上げます。本当に怪我をおわせてしまい申し訳ございませんでした」
ゾラは立ちあがって頭を下げた。私達はまだ立ったままだ。
「ゾラ様気にしておりません。怪我と言ってもほんのかすり傷程度、もう気になさらないで下さい」
「良かったな。アマリエッタ嬢ゾラに変わって私からも謝ろう。申し訳なかった」
国王陛下が自らあまたを下げられた。王妃殿下も同じように。
「とんでもありません。国王陛下が頭を下げられるようなことではありません」
そしてゾラ様は退室を促され応接室を出て行った。
「ふん!私は王女なのよ。あなたなんか‥何よ。エディオに色目使ってるくせに‥」
そう言葉を吐き捨てて。
エディオ殿下もこれには我慢が出来なかったらしく
「ゾラ!いい加減にしないか!」声を上げた。
国王陛下も王妃殿下も驚いた顔でゾラが去って行く姿を見つめていたがすぐに「ロータネク伯爵。アマリエッタ嬢誠に申し訳ない」頭を下げて下さった。
「国王陛下や王妃殿下のせいではありませんので」
父と私がまた頭を下げる。
やっと私達は座るように指示されてヴィント様達の向かい側に座った。
ちなみにテーブルが長い。
国王陛下と王妃様。その隣にエディオ殿下と父。私はその横にソファーに座った。
向かい側にサルバート公爵とマリー様とヴィント様が座る。
「今日はサルバート公爵荷も同席をしてもらうことにした。今日この場ではアマリエッタ嬢の本心を教えて欲しい」
国王陛下が私に言った。
「陛下お言葉ですがそれを言うならサルバート公爵令息にもそうおっしゃって下さい。私も彼の本心が知りたいと思っていますので」
「もちろんそのつもりだ」
陛下はうんうんと頷いているが、本当に公爵はヴィントは国王陛下を前に本心をさらけ出せるものなのだろうか?
そんなの無理でしょ。
だとすればこんな話し合い意味がない。
私はもうはっきりさせたかった。
「もし私たちに本心での話し合いをお望みでしたら陛下と王妃殿下に退室していただくことは可能でしょうか?」
国王陛下ははっとした顔をすると顎に手を当てた。
「ハハハ。それもそうだが、私達がいるからと言って遠慮はいらない。この婚約は王家の押し付けのようなものだからな、お互いがいやならいつでも解消には応じる。心配するなアマリエッタ嬢」
「それからエディオ。あなたも自分のことばかりでなく皆さんの気持ちに寄り添わなくてはなりませんよ」
「わかっています。ご安心ください。一方的に気持ちを押し付ける気はありません」
エディオ殿下は柔らかにほほ笑んだ。
さすが王族。
金色の髪がさらりとなびいて紺碧色の目が穏やかに揺らめく。
一気に整った顔かんばせから甘い雰囲気が漂い辺りの雰囲気が和んでいく気がした。




