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クールでとっつきにくそうな公爵令息と婚約しましたので様子を見ようと思います  作者: はるくうきなこ


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21彼の屋敷に行きました


 「お前らなぁ、もう参った。参ったから‥リビアン。お前調子乗り過ぎだぞ」

 ヴィントが床にゴロンと転がった。

 「お兄様?もうばてたんですか?」

 「ばか。どれだけおまえの相手をしたと思ってるんだ?」

 「リビアン、もう、そろそろやめよう。ぼくも疲れちゃった」

 ロニオもリビアンも顔が赤い。

 「そうね。ふたりとも汗かいてるみたいよ。ほら、顔を洗って汗を拭きましょうか」

 「「うん、お姉様」」

 「お前ら調子いいなぁ」

 「ぼく、おなかすいた」

 「ぼくも!」

 「そうね。そろそろお昼だわ。じゃあ、しっかり汗を拭いて庭で食事にしましょう」

 「よし、じゃあ俺が庭に支度をするように頼んで来よう。リビアン。アマリエッタお姉さんの言うことを聞くんだぞ」

 「当たり前です」

 「リビアンってすごくいい子ね」

 「そうですか?だってぼく、お姉様だいすきになりましたから」

 リビアンはまばゆいほどの笑顔で私を見た。

 可愛い。

 そう思っていたらロニオが私にしがみついた。

 「ぼくのお姉様です!」

 「そうよ。私はロニオのお姉様よ。でも、これからはリビアンもロニオの家族なの。だから私はロニオとリビアンのお姉様なのよ。ロニオもリビアンも一緒に遊んで楽しかったでしょ?」

 「「うん!」」

 「一人よりふたりの方が楽しいってわかったはずよ。だから、もう喧嘩はなしね」

 「リビアン、ぼくたち仲良くしようね」

 「うん、ロニオ。ぼく、ロニオがだいすきだよ」



 「みんな、そろそろ準備が出来るぞ」

 ヴィントが呼びに来た。

 4人で庭に出るとテーブルと椅子があり、テーブルの上には私が持参したサンドイッチがあった。

 使用人が数人お茶の準備や子供たちの飲み物。他にもフルーツやチキンのから揚げやポテトなどが盛りつけられた皿が置かれて行く。

 「うわぁ、おいしそう。ぼくおなかぺこぺこだよお兄様」

 「そうか。良かったな。たくさん遊んだからお腹もいっぱい減ったな」

 ヴィントはリビアンの頭をクシャクシャと撫ぜた。

 「アマリエッタとロニオのおかげだな。リビアンはいつもは食欲があまりなくてこんなリビアンを見るのは珍しいんだ」

 「そんな風には見えないわ。でも、ロニオもすごくはしゃいでいたのは確かよ。ふたりともすごく楽しかったみたいね」

 「ああ、ふたりともすっかり仲良くなったみたいだな」

 ふたりは席に座るともうサンドイッチを頬張っている。

 「ええ、同じ年だし男の子同士すっかり意気投合したみたい」

 私達はお互いに笑い合う。


 「ああ、ほら、アマリエッタも座って‥」

 ヴィントが椅子を引いてくれる。

 「ええ」

 私はさっきロニオ達と手を洗いに行った時に化粧を落とし持って来ていた薄いピンク色の口紅をつけていた。

 だって、もう鎧をつける必要がないって思ったから。

 ヴィントが私の横に座りふたりの距離は近くなった。

 「アマリエッタ‥その‥化粧を?」

 「ええ、おかしかった?」

 「そんな訳‥きれいだ。とっても自然で‥好きだ」

 「ヴィ、ヴィント様いきなり!!」

 「ち、ちがっ!その‥化粧がいいなと思って」

 「あっ、もっ!私ったら」

 私は口に手を当てておたおたする。

 「いや、それは俺が‥おかしなことを言ったから」

 ヴィントは髪をクシャクシャかき回し照れまくっている。

 ふたりともしどろもどろで。


 「ねぇ、お兄様。食べないの?ぼく、全部食べちゃうよ」

 リビアンが呆れたように次のサンドイッチを頬張る。

 「こら!リビアン、それおれの分だろ!あぁぁ~俺の好きな卵サンドが‥」

 「ヴィント様、まだまだたくさんありますから。はい、どうぞ」

 私はヴィントが好きと言った卵サンドを差し出す。

 「あ~ん」

 「へっ?」

 ヴィントが私に向かって口を開ける。

 「だからあ~ん」

 「もっ!ヴィント様。弟が見てます」

 「あっ!お兄様だけずるい。ぼくもあ~ん」

 「ぼくも」

 3人が口を開けて餌を待つ。

 私は母鳥ではないが。

 順番にサンドイッチを口に入れて行く。

 そうやって楽しい時間が過ぎて行った。



 「ヴィント様。こんな所にいらっしゃったんですの?まあ、アマリエッタ様じゃありませんか?」

 そこには薄紫色の美しいドレスを着たシルフィ様がいた。

 ダークブラウンの髪は紫色のリボンを編み込んで艶やかに煌めき薄桃色の頬やサクランボのような可愛らしい唇のひとつひとつがどれも私にはない物で何だか胸の奥がずくりと痛んだ。

 整然と整った庭に彼女の姿がしっくりと会う気がして何だかいたたまれなくなってしまう。

 それでも私はすっと平然を装い彼女に声をかける。

 「まあ、シルフィ様」

 「一体どうしてあなたがこちらにいらっしゃるんですの?」

 いやいや、それを聞きたいのは私のはず。


 「シルフィ失礼じゃないか。彼女は俺の婚約者なんだ。屋敷に招待するのは当然だろう。君こそ今日はなんだ?」

 「まあ、ヴィント様ったら私とあなたの仲じゃありませんか。大体アマリエッタ様との婚約。マリー様は新興貴族と婚姻などと言われて反対されてますわ」

 あなただってたかだか伯爵家ですけど。


 ふたりの間に見えない火花が飛び散る。











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