20私の結婚観
私の家は先々代が商人で港を持っていたレイローリ伯爵家と故意にしていたらしい。
先々代のレイローリ伯爵の紹介で王族の病気を助けたとかで男爵位を賜った。
そして先代は更に商人として成功してローラレッタ国に多大な貢献をしたらしい。
例えば他国から良く育つ麦の作付け方法を伝授してもらうとか、金属加工の技術師を連れて来るとか、進んだ技術を持つビアテ帝国から紙を作る方法を持ち込んだり布を織る新しい機織り機を導入したりとちょうど王政に暗い影が差し王家は新たな生き残り方法を模索していた時期とも重なったのが幸いした。
そして先代のロータネクは伯爵位を賜った。
そして広大な農地をロータネク領として賜ったのだ。
もともと商人魂の塊のような先代は、領民と一緒になって農地を改革していった。
水害にあう地域が困っていると聞けば川の氾濫を塞ぐ手立てをみんなで考え実行に移す。
干ばつで作物が被害にあえば池を作ったり用水路をの整備をしたりととにかく領地が豊かになり領民が潤う事に尽力したと言う。
それが敷いては金を産み国への貢献にもなると分かっていたから。
そんなおじい様の子供である父ロベルトはそれに輪をかけたような馬車馬のような人だった。
領民の為、家族の為にいつも一生懸命で家族の事は思っているんだろうけど、とにかく忙しい人だった。
幼いころは父が嫌いだった。
病弱な母をひとりにして仕事にばかり追われていて、でも、そうではなかったんだと今ではわかっているけど。
でも、もう少し態度や言葉で愛情を示してほしかったな。
だからこそ、私は夫となる人にはほんの少しでもいいから愛を伝えてくれるような人がいいと思っていた。
週に一度でもいいから優しく甘えさせてくれるような。
病気の時はずっとじゃなくてもいいから、寝る前に少しの間手を握っていてくれるような。
そんな結婚がいいと思っていた。
だけど現実は呆気なく決まって。
確かに貴族の結婚は政略で家の利益のためにされることは知っていたけど、うちは元は平民で伯爵家。そんな堅苦しい高貴族と結婚出来なくてもいいのに。
でも、今日ヴィントと一緒にいてこんな生活をやって行けたら良いなぁって思ってしまった。
ロニオもリビアンも可愛いし、ふたりの楽しそうな姿を見ていたらすごく幸せだなって思ったから。
こんなふうな時間がずっと続けばいいのになって。
もちろん、あの口うるさそうなお婆様の事もあるし、まだまだ迷いはあるんだけど。




