18彼の屋敷に行きます3
私は、ほっと息を吐いてどさりとソファーに座り込む。
ヴィントはすごく申し訳なさそうな顔はしているが‥
ロニオまで心配そうな顔で私を見ていた。
ああ、ロニオにまで心配させてるじゃない。
まったく。仕方ない。
私は肩をすくめると「ヴィント様すみません。私、お婆様に嫌われちゃいましたね」口角を無理やり上げる。
ヴィントは少しほっとしたような顔をした。
勘違いしないで。私はロニオの為にそう言っただけ!
「いや、いいんだ。アマリエッタ気にしないでくれ。サルバート家は代々宰相を輩出しているせいか気位が高いと言うか‥祖母は特に元は王女だから‥それなりのマナーだとか節度だとか華美になり過ぎないようにとか色々うるさくて俺にもいつもあの調子なんだ。でも、それさえ気をつければ気さくでいい人だから」
「ええ、きっとそうでしょうね。でも私の事は気に入らないみたいですからこれからもずっとあの態度変わらないと思いますけど」
「いや、そんな事は」
私は何とか微笑むがすっきりとしない。
当たり前じゃない!
もう!しっかりしなさいよ。妻一人守れないなんて男じゃないんじゃない?
ほんとにこんな人と結婚してやっている訳?
私、あんな嫌味な人とずっと一緒なんて無理だから‥
ヴィントは何か言いたそうに口ごもる。
もう、はっきりしない男ね。言いたいことがあれば言ってよ!
「あの‥この前のドレスの時もあんな事を言ったが気にしなくていい。アマリエッタは自分の好きな物を身につければいいから。お婆様が何か言ったら俺が対処する」
「はっ、そんなこと出来るわけないじゃない!あなたがお婆様に強く出れない事はもうわかったわ」
「いや、そんなことはない。アマリエッタは俺の婚約者だ。俺がいいと言ってるんだ。お婆様の事は気にしなくていい」
どうしたんだろう。
今日のヴィントが頗る頼りがいのある男みたいに見えるんだけど?
今までは無口だし嫌な奴なのかと思っていたけど‥
私を庇って守ろうとしてるわけ?
ほんと私って単純だからちょっと優しくされると答えなきゃって思うのよね。
私も意地を張ってないで本当の自分を知ってもらった方がいいのかも‥
「ヴィント様。実は私、見かけは派手ですけど本当はあまり派手なものは好きじゃないんです。服も大人しい感じの淡い色が好きですし、アクササリーや靴だって履き心地のいいものが好きなんです。まあ、今日はさすがに少し気合を入れたんですけどね」
私のドレスは淡いグリーンとベージュでハイネックですっきりしたデザイン。
だが、華美ではないしいやらしさもない。
それにもちろん一点ものだけど。
それにネイルは赤色。でも、爪は短いんだけど。
化粧はまあ、少し気合を入れたから‥口紅はネイルと同じ赤色。目元もくっきり。
これでも悩んだのよね。
彼の色って黒か金色だから。こんな色をいれたらド派手になっちゃうし‥
「アマリエッタ化粧もネイルも良く似合ってるから。その爪も調理をするから短くしてるんだろう?」
「あっ、わかりました?ええ、そうなんです。もちろん調理をするときはネイルも落としますよ。だから安心して下さい」
「ああ、そうだと思っていた。やっぱり君は俺の思っていた通りの人だ」
「やだ、ヴィント様。私の事かい被り過ぎですよ。期待外れさせても知りませんよ」
お婆様の一言にはさすがに引いたけど彼がこんな優しい人なら大丈夫かな。
なんて思うと気負っていた気持ちがすっと落ち着いていた。




