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クールでとっつきにくそうな公爵令息と婚約しましたので様子を見ようと思います  作者: はるくうきなこ


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11/37

10いよいよ昼食


 私達は遅刻寸前に教室に駆け込んだ。

 みんなが一斉に私たちを見てはっとしてつないでいた手を離した。

 クスリと笑うヴィント手があって私も微笑みを返した。

 席に着いた私にローザンヌが声をかけた。

 「なに?何だかいい感じじゃない?」

 「そんなんじゃないわよ。少しずつお互いを知ろうって話をしただけよ」

 「あら、そんなに赤くなって?怪しい。アマリエッタ。やっぱりあなたヴィントが‥」

 「こら、授業を始めるぞ」

 先生が入って来て話はそこで終わった。

 もう、ローザンヌったら。まだまだやっと一歩踏み出したばかりなのに。

 こっそりふたつ向こうの席に座るヴィントを見る。

 彼はすでに教科書やノートを出して真っ直ぐに前を向いていた。

 歯ぁぁ~、まだまだ先は長いわ。私はそんな事を思いながら教科書を取り出した。


 *~*~*


 午前中の授業が無事に終わり昼食の時間になる。

 いつものようにローザンヌとリスティと一緒に食堂に向かう。

 後ろから殿下が追いかけて来た。

 「お前ら、今日は一緒に食べるからな」

 「殿下。ゾラ様と一緒でなくていいんですか?」ローザンヌが聞く。

 「ゾラは休みだ」

 「ああ、そう言えばゾラ様いませんでしたね。いいですよ。久しぶりに7人で食べるのもいいですね」とリスティが。

 「ああ、今日はアマリエッタが差し入れを持って来たらしいぞ」

 「えっ?アマリエッタそうなの?何だ。教えてくれればいいのに。それで差し入れって何なの?」ローザンヌ。

 「プリンよ。昨晩作ったの。やっと完璧なプリンが出来たから持って来たの。でも‥」

 「でも?」リスティ。

 「あっ、うん。いいの。みんなで食べてくれると嬉しい」

 「何よ。ほんといいいの?もしかしてヴィントと食べるつもりだったとか?」ローザンヌがからかい交じりに聞く。

 「そんなわけないじゃない。みんなの分持って来たわよ」

 「当たり前だろ。アマリエッタがそんな事するわけないだろ。さあ、急いで席に着くぞ」

 私達はトレイを持つと今日のメイン料理を乗せていく。

 今日はパスタかチキンのクリーム煮。サラダは1種類で代わりにデザートがフルーツヨーグルトとアップルパイ一切れだ。

 私はパスタとサラダをトレイに乗せアップルパイを取った。

 ローザンヌやリスティもプリンがあると聞いて私と同じアップルパイにした。殿下も同じことを考えたのかアップルパイにしたらしい。

 

 

 殿下がアントールに言ったのだろう。

 すでにアントールが丸いテーブル席についているが料理はまだ取っていない。

 護衛のジヒト様はいつも別の席で食事をとるので心配ない。

 ローザンヌが席にトレイを置くとアントールに言った。

 「アントール。アマリエッタがプリン持って来たんですって。デザートはアップルパイでいいわよね?」 

 「ああ、プリン?アマリエッタが作ったのか?すげぇな」

 「あまり期待しないでよ。見た目はきれいに出来たと思うけど‥」

 そこにタロイがやって来た。彼は大もりのパスタにサラダとフルーツヨーグルトとアップルパイを乗せている。

 「タロイ。アマリエッタがプリンを持って来たんですって、デザート減らす?」

 「いや、俺どっちも好きだからこれでいい。それにしてもアマリエッタがプリンを作ったのか?楽しみだな」

 「もう、みんなあまり期待しないで。めちゃハードルあがるじゃない‥」

 こんな大ごとになるとは思わなかった。それにプリン6個しかないんだよ。まあ、いいか。私は家に帰ればあるんだしみんなに食べてもらえば。


 「どうしたんだ?今日はここで食べるのか?」

 そこに現れたのはヴィント。

 「ああ、今日は俺も一緒に食べる事にしたからな。ヴィントも座れ」

 殿下はすでに席についている。

 ヴィントのトレイにはパスタとサラダ。それにフルーツヨーグルトが乗っている。

 「ヴィント。お前デザートそれでいいの?アマリエッタがプリン持って来てるんだってよ。どうする?」

 アントールが聞く。

 「プリン?」

 ヴィントが何の話だ?と言わんばかりに私を見た。

 「ええ、そうなの。今朝ここで会ったのはプリンを保冷庫に入れてもらおうとしてたからなの」

 いきなりヴィントの顔がむすっとなる。

 「そんな事言わなかったじゃないか」

 「だって、あなたがあんなこと言い出すから」

 「それは‥」

 みんなが何?って視線を送って来る。

 ヴィントもまずいと思ったのだろう。

 黙って席に座った。


 殿下はすでに頭の中はプリンを食べる事でいっぱいらしく。

 「なんだ?いいから食べよう。アマリエッタ、俺が保冷庫からプリンを貰って来てやるからゆっくり食べろよ」

 「そんな事殿下にさせるわけにはいきません。私が持ってきますから‥」

 私はそれだけ言うと急いでパスタを食べ始めた。サラダ取らなきゃよかった。そんな事を思いながら。

 急いでパスタとサラダを食べ終わると私は席を立った。


 まだ食べ終わっていない殿下はジヒト様に声をかけた。

 「おい、ジヒト。アマリエッタについて行ってやれ」

 「殿下、私一人で充分ですから」

 私はボートン様に座っていてと合図を送って厨房の方に声をかけてプリンを貰って来た。


 すでにみんな食べ終わりトレイは片付いている。

 テーブルには小皿と小さめのスプーンが7個並んでいる。

 「準備は出来てるわよアマリエッタ」

 「ああ、ありがとうローザンヌ」

 どうしよう。今さら6個しかないって言えない気が‥‥

 もうどうにでもなれ!

 私は皿にプリンを移して行く。

 うんうん。良かった。すごくうまく出来てる。 

 最後の一皿が余って私は言った。

 「あの、実は私。今朝食べちゃったからみんなの分しか持って来なかったのよ。だからみんなで召し上がって‥」

 「そうなのか。あっ、籠に入らなかったんだろう?まあ、アマリエッタがそう言うんだ。みんな遠慮なくいただこう」

 

 殿下が手近な皿に手を伸ばした。その時!

 護衛のジヒトがすっと皿を取り上げた。

 「殿下!持ち込まれた食べ物を食べるのは無理です」

 










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