表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

7.花子さんの噂

9/17

苑内そのない吾良あがらの定点よりX-107Y64の地点に「花子さん」の目撃情報あり

調査を開始せよ


僕は逃げている。

時田衣名は既に気絶していて、僕は彼女を連れて独りで逃げている。

何からか?

吾良小学校の2階のトイレの一番奥から出てきた「何か」から。

僕と彼女はタクシーに飛び乗って逃げる。

運転手が「どこまで行きます?」と聞いてきて、僕は「駅まで」と返した。

「彼女さん大丈夫?病院までいってもいいよ?」

「いえ…その、実は『お化けが出た』って言って気絶しちゃっただけなんです」

「え?」

まだ「何か」が追ってきている。

僕は適当にそう返事したのだ、が。

「…小学校?」

「え?」

僕は驚いたが、そうだと答えるわけにもいかなかった。

「千坊トンネルって心霊スポットです。けど、小学校って?」

「ああそう、心霊スポットは知らないんだけどさ…吾良小学校ってのがあるんだけど。あそこ出るんだよ。私そこの出身でね」

「何か」は迫ってくる。

「2階のトイレの一番奥だったかなあ。女子トイレでさ、女の子の幽霊が出るって噂があってね。私の同級生が見に行くって言ってさ。私はトイレの外で待ってて」

衣名が目覚めたようで、小さく声を上げた。

「ん…?何?ここ…赤…?」

僕はタクシーのドアを蹴り開けて、衣名と共に飛び出した。


予想に反して、そこは硬いアスファルトではなくあぜ道だった。

どころか、何のスピードもなかった。

僕と衣名はただただ、そこに転げ出ただけだった。

僕はタクシーを見た。

そこにはボロボロに朽ちた放棄車両があった。

その運転席に、何かがいる。

「そしたら中から聞こえてくるんだよ、はーなこさーん!って。私怖くなっちゃって。あの子には申し訳ないんだけど、こっそり逃げ出しちゃったんだ」

何かは喋っている。

いや、「何か」?


その後、「何か」は追ってはこなかった。

僕と衣名は逃げ帰り、しかし僕だけは次の日に吾良小学校を再び訪れた。

「協力者」の手引きで、夜の校舎の2階のトイレの一番奥へ。

ノックを3回、呼びかけを2回。

「はーなこさーんはーなこさーん」

「はーい」

間延びした高い声がした。

僕がトイレのドアを開けると…そこには誰もいなかった。


***********************************************************


「まず中を確認しようとして、トイレのドアを開けたら『何か』がいたんです」

「ほう。つまり…呼び出す儀式をやると『花子さん』が、やらないと『花子さんでない何か』が現れるということか」

上司の神谷は猫をなでながら話す。

その手には引っかき傷がいくつもついていた。

「それでは…まるで守り神みたいだな、その『花子さん』とやらは」

「…そうですかね」

僕の心にはまた違う感想があったが、それを彼に話すことはなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ