日本おもと名品展 ② (アイ氏『東天光』を購入する!)
ドキドキしながら、扉を開けて会場に入れば…。
そこはぶっちっけ『おじ様』だらけの世界だった(笑)
そう『万年青は男の世界』と言われる程、愛好家は男性が多い。
そして比較的ご年配が多いと思われる。
だから生物学上♀のアイ氏は、少し居ずらさを感じた。
だが、アイ氏の好奇心は止まらない。
そして入って一階のフロアでは、おもと屋さん達による万年青即売会が行われており、二階には愛好家の人達が手塩に掛けて育て上げた素晴らしい万年青が展示されている。
アイ氏が13時までに会場に入りたかったのは、土曜日は展示されている万年青の見所の解説も開催されると書いてあったからである。
ちなみに日曜日には、おもと教室あり、プロの指導による万年青の植え付け教室が開催される。
引きこもり気質のアイ氏に2日連続で、東京に遠征をする体力は残念ながら無かった。
だから万年青の解説が起こなわれる土曜日を選んだ。
何故、解説の日を選んだかと言えば購入した『縞獅子』は、プラスチックの植木鉢に植えられた状態で送られて来たので、暫くは、そのままで問題が無いと思い、万年青の解説の方を聞きたいと思ったのだ。
一階の即売会では、見たことも無い沢山の珍しい品種の万年青が沢山売られていた。値段も数千円~万単位のものまで、ピンキリで色々とあった。
そしてその販売されている万年青の中からアイ氏は、大葉『東天光』と言う万年青を見つけた。
『東天光』は曙柄の品種で、葉の真ん中に黄色斑が出る日の出の様なおめでたい印象の『木』である。
曙柄の大葉は何種も存在し代表品種なら
『外輪山』である。
他にも『吾平の光』『薩摩富士』『霧島』『薩摩天光』この名前ネーミングで、お気づきの方も多いかも知れないが、曙柄万年青は今の鹿児島、江戸時代に薩摩藩で生まれた品種である。
(ただし、吾平の光は産地不明です)
今も大葉万年青は九州で愛され盛んに栽培されている。
そして残念ながら、この曙柄のを綺麗に出現されるのはアイ氏の住む北関東では難しいと言われていた。
それは光の当てたと、温度が重要だからだ。
北関東と九州で何が違うかと言えば、アイ氏は、冬の最低気温の低さと月日だと考える。
冬の最低気温が、どうしても九州と比べば低くなってしまう。
そして最低気温の日が九州より長く続くので、暖かい気温で斑を出現させる条件がある、曙柄には不利だと思われる。
そんな九州産の曙柄の万年青の中で『東天光』は少し違っていた。
名前の最初に『東』と付くのでお気づきの方もいると思うがあえて言おう!
『東天光』は千葉県で生まれた品種なのである。
その為、比較的、曙柄を出し易い品種と言われている。
また大葉の中では、比較的コンパクトなサイズで場所も余り取らない。
その為、アイ氏は曙柄で買うなら『東天光』と決めていた。
では何故、アイ氏が曙柄の万年青を欲しがったかと言えばフリマアプリで、この曙柄の『おもと』を何度も目にしており、最初は、この『木』の購入を考えていたからだ。
(ただし『宝船』『曙』の名前で売られている万年青は、薬品で人工的に斑入り物もあるので注意が必要です。元々は青葉のなので、どんなに日に当てても翌年の新しい葉は、ただの青葉に戻ってしまいます。『宝船』と言う品種は存在しませんし『曙』と言う品種は江戸時代の薩摩藩で生まれ品種ですが、今では大変、珍しく入手が困難な『木』です)
だが、偶然にも『縞獅子』に出会って購入を見合せたのである。
その後、色々と調べていく内に、薬品で斑を出す万年青の存在と、実在に曙柄の品種を色々と知ったのである。
アイ氏は、即売会で『東天光』が売っていたら買うつもりで、宝くじ購入資金とは別に万年青購入資金も用意していた。
そして幸いにも用意した資金で十分に買える価格だった。
アイ氏は、『東天光』を買う為に近くにいた人物に声を掛けるが、その人はお店人ではなかった……。
だが親切にも、そのおじさんが、お店の人を呼んでくれたのだった。
そのお店の人は、『おじ様』だらけの場所で、若いお兄さんだったので、近くに居たが失礼ながら、お店の人だとは思わなかったので合えて、おじさんの方に声を掛けたのだ。
更にはダメ押しでアイ氏は「お店の方ですか?」と失礼にも聞いてしまう始末である。
アイ氏のダメ具合が思いっきり発揮されてしまったのだった。
そんな失礼なお客でも、お兄さんは親切に対応してくれた。
アイ氏が、これから展示を見に行くと知ったら、購入した万年青を心良く『預かりますよ』と言ってくれたのだった。
こうして、アイ氏は展示会を見学しに二階へと足を運ぶ。
展示室では既に解説が開始されていた。
賞を取った万年青のどこが良かったのか、万年青の見所や歴史等が丁寧に解説されていた。
その解説でアイ氏が一番印象に残っていたのは、解説の方が御自身て出品された万年青だった。
その万年青を手に入れたのはなんと20年前で、そしてやっと今日の展示会に出せる万年青に育ったと言う話しだった。
20年間も枯らさずに立派に育た努力にアイ氏は、驚きと尊敬の念を感じるのだった。
そして解説の最後には、質問コーナーが開始された。
万年青愛好家の人達が熱心に色々と質問している。
アイ氏も質問したい事があったが、この熱心に質問をする、おじ様達の群れを押し退けて質問が出来るほどのコミュ力が、アイ氏にはなかった。
アイ氏は質問を諦めて撤退を決意するのだった。