【2025年版】実生 (アイ氏『種まき』に挑戦する!)
ー2025年春ー
アイ氏は『万年青』の植え替えや『芋切』の他にも春にしか出来ない万年青作業をしていた。
それが『種まき』だ。
2024年にやった受粉作業が、ここで実を結んだのである。
まずは『種まき』作業の説明の前に、改めて受粉作業と『斑』の遺伝性の有無等を簡単に説明したい。
『万年青』の花が咲くのは、5月中旬から6月初めの辺りでる。
最初は緑色の花が、黄色に変わり、そして甘い香り、(人によっては栗の花の様な匂いがする)頃や、雌しべに蜜と呼ばれる透明の液体が出だした頃が受粉のタイミングだ。
そして『万年青』の受粉方法は二種類ある。
ただ実を付けて楽しむ、また花を咲かせた『万年青』が一株しかない場合は、筆を使った自家受粉がポピュラーな方法である。
柔らかな毛の筆を用意して数日に渡り『万年青』の花を中をなぞるそれだけの作業だ。
そして、ちょと難易度が上がるのが、万年青から雄しべを採取して違う雌しべに受粉させる交配がある。
こちらは、主に『新品種』の作出を目的とした受粉方法だ。
では筆交配では、『新品種』の万年青が生まれないのかと言えば、そんな事は無い。
『薩摩天光』と言う大葉は一本の筆で複数の万年青を受粉させ誕生した品種だと聞いた事がある。
そう色々な『万年青』を同じ筆で受粉させていたのだ。
そうすると花粉が筆に付着して残っているので可能性は低いが、他の万年青の花粉が受粉するのである。
だからアイ氏も万年青の受粉作業は同じ筆で起こなっていた。
そして万年青の『斑』には遺伝するものと、しないものが存在する。
まず確実に遺伝するのが『縞』『千代田』『胡麻』『矢筈』『砂子』『曙虎』『白斑』で、そして遺伝しないのが『覆輪』『図』『虎』である。
そして縞甲の葉芸や羅紗は、専用の実親を使わないと万年青には現れない。
アイ氏が、今回『種』を取った万年青は葉芸や羅紗を生む実親では無く、ただの大葉万年青だ。
そしてアイ氏は、ここで一つ大きな勘違いがあった。
それは『覆輪』も遺伝すると勘違いしていた事だ。
アイ氏が『覆輪』が遺伝をしないと知ったのは、種まき作業の為に、もう一度、実生関連の本や動画を見た時だった。
だから既に種が出来上がっていた…。
そして貧乏性のアイ氏は、捨てるのがもったえないので青葉の万年青が生まれる覚悟の上で種をまいた。
アイ氏が今回種まき用に使用したのはプラスチック製の菊鉢である。
そして用土は、『日向土』だけを使用た。
種を芽吹かせる為には必要なのは用土の湿り気だ。
そして長く保湿が保てるのが理想である。
その条件なら『水苔』でも良さそうだが近年の夏の暑さは以上で鉢の中がサウナの様に蒸れて、折角芽吹いた苗がダメになるかもと考え止めた。
そして保湿力だけなら、硬質赤玉土や鹿沼土も良いが、そうすると今度は根が、砂利に対応出来ないので植え替えの時に困る。
だから砂利の中でも水持ちが良い『日向土』だけ作る事にした。
それにプラスして菊鉢を使用したのは排水性と保湿の両方を確保出来る鉢だからだ。
本来なら12月頃、赤くなった万年青の実を穂ごとハサミで切って保管するが、アイ氏は面倒なので2月末までそのままにしていた。
そして万年青を野外に出す頃に穂を切って収穫。
そのまま種まき作業に入った。
本来なら万年青の種まき作業は3月から4月なので、ちょっと早い『種まき』である。
赤い実を手で潰しすと中には白い万年青の種が入っている。
この時、アイ氏が驚いたのは赤い実の大さと種の大きさは必ずしも比例しなかっな事だ。
大きな実の中に小さな種が2つ粒入っていたり、少し小さな実の中に大な種が一つ、また実はちゃんと膨らんでいるのに種が入ってないと言う事もあった…。
その為、今回『実』が一番付いたのは『御殿加治木』だったが、種の数は『凱旋』の方が多かった。
そして『大葉根岸』に至っては、実は3個付いていたが、種が入っていたのは、たった一粒である。
収穫した種を今度は水を入れた容器でしっかり洗う。
『白い種』だけになったら、いよいよ種まきである。
取れた種は『御殿加治木』8粒、『凱旋』11粒 『大葉根岸』1粒。
まずは鉢の底鉢が見えない位に大粒の日向土を入れ、そして間を詰める様に中粒、最後に小粒を入れ、その上に種を蒔く。
万年青の種にはヘソと呼ばれる白く凹んだ大きな点があり、この反対側のちょっと尖った部分が発芽点だ。
だから種をまく時は、このヘソの部分を上にして蒔く。
そして種まきが終わったら『種』が見えなくなる位まで再び『日向土』の小粒を掛けた。
後は芽吹くの待つだけだ。
『水遣りの回数は?』と言えば、はっきり言って、どの程度の間隔がベストなのか、良く分からなかったので、アイ氏は芽吹まで毎日水をやった。
芽吹くまでは、しっかりと湿り気を維持したほうが良いと考えたからだ。
そして6月初めになって漸く動きがあった。
それは被せた土が少し浅かった様で発根した種が土から飛びたしていたのだ!
万年青は最初に『発根』してから芽が出てくるらしく、その根が伸びて盛り上がり用土を突き破ったのだ。
アイ氏は、その飛び出した種と根を見て『コレダイジョブナノカイ?』と思ったが取り敢えず『発根』したての根は柔らかく、ちょっとした衝撃で折れる事がある。
そうなると、それが致命傷となって枯れ事もあるのでそっとして置くしかなかった。
そして葉の元となる芽も段々と万年青らしい葉に変わった頃、ここでも『凱旋実生』に幽霊が誕生してしまった。
種は新芽に栄養が全て渡ると消えてしまう。
新葉と新根だけて、栄養を取って成長しないといけないが、当然幽霊では栄養が取れずに暫くしてから枯れ死した。
また大葉根岸は芽吹く事は無かった…。
芽が吹いた苗は『御殿加治木』6株
『凱旋』8本(幽霊が一本出来たので生き残ったのは7本)である。
初めてにしては上々の結果になった。
だが『万年青』全体で言えば今年は『実生大会』の出品が少なかったと聞いた。
酷い猛暑で『実生苗』が余り出来なかったのある。
そして2025年アイ氏宅でも数本、春に花芽が付いた万年青を受粉させたが、猛暑で親木の調子が悪く夏に実を付けた花芽がダメになったり、実は出来たけど膨らまず中に種が入ってない小さな実だけの物も出来た。
だから世界に一本だけの新品種を作る、夢と希望の『実生』作りは暫く悪戦苦闘の日々が続くきそうである。
ー続くー




