『おもと』とは?? (アイ氏『おもと』を熱く語る!)
『おもと』は漢字で書く『万年青』と書く。
その名前が示す通り、年中青々とした美しい葉を鑑賞する植物である。
(花や赤い実も付きますが、やはりメインは葉の鑑賞です)
日本で鑑賞が初まったのは500年前位、室町時代辺りと言われている。
その万年青の鑑賞熱が、もっとも高まったのは、徳川家康が江戸城入場の際に家臣から献上された万年青を喜び、万年青を持って入城した事から、はじまる。
それ以降、万年青は引っ越の祝いに送られ、縁起物として大名や武士、商人達にも広まりどんどん発展する。
(権力者や有名人は今も昔も大変影響力がありブームを巻き起こすのは変わらないのです)
現在(2024年)万年青の品種は一二七七品種である。
その上、熱心な愛好家が、日々、新品種作りに励んでいるので無銘を入れれば、それ以上である事が推察される。
まず万年青には、昔ながらの『専門用語』が色々と存在する。
一番最初に覚えるワードは、『木』であろう。
何故いきなり『木』?と突っ込みを入れたいだろうが聞いて欲しい。
万年青の世界では万年青の事を『木』表現する。
例を上げれば「この『木』は良いね」とかである。
万年青は植物学的には『常緑多年草』の『草』になる。
なので本来なら「この『草』は良いね」と言うのが正しい筈だ。
だか、『万年青の世界』では『万年青』は『草』では無くて『木』なのである。
アイ氏は、最初こそ違和感を覚えたが『慣れ』とは恐ろしいもので…。
最近は、全然違和感を感じない。
そして最近では、初めたばかりの素人にも関わらず、知ったかぶりして、自らも『木』と言い出す始末である。
次は葉芸を紹介する。
葉芸とは、薄葉、羅紗系統に多く見られる葉脈に沿って隆起したり、葉の形の特徴である。万年青の鑑賞はこの葉芸と柄を主に楽しむのだ。
熨斗葉*葉が熨斗を折った様に折れるもの。
獅子葉*葉先が、巻いた葉。巻き方にも柔らかな丸巻きと、力強く巻く角巻きがある。
剣葉*剣のように葉元から細く長く尖った菅状の葉。
郡雀*葉の先端に現れた雀の口ばし状の突起の葉の形。
甲竜*(竜)葉の真ん中に入る 突起したヒダの呼び名。
二面竜*突起したヒダが2本入るもの。
雅糸竜*竜が細かく幾筋にも現れたもの。
玉竜*雅糸竜の中に出る玉コブ状の突起。
跳ね竜*甲竜の先端に甲竜状の突起が現れたもの
裏雅糸竜*葉の裏に現れた雅糸竜
万年青の斑は柄とも表現されます。
葉が全てが緑なものは『青葉』そして柄(斑)には昔から、それぞれ名前が付けられたている。
覆輪
葉の縁に表れた斑。深いものは大覆輪、細いものは糸覆輪、また葉が青の紺覆輪も存在する。
縞
葉の根本から葉先まで入る筋状の斑。万年青の世界では全面に細かく均一に入るのが良いとされる。
虎
白や黄色の大小の斑点。
高隈虎
葉の中程に大きく現れた白い虎斑。
矢筈虎
矢羽根状に現れた虎斑。
曙
葉の首下から中央まで黄色又は白色になる斑。
図
葉の基部から先にかけて白い大小の斑点が入るもの。
絞り図、網の図、木目図と様々な図がある。
胡麻斑
全面に胡麻をふりかけた様に黄や白の小斑が現れたもの。
根岸斑
白地に細かい線状の青い斑を散らし、折り込んで白く窪んだやうな斑。
砂子
葉の縁から中央の緑に混ざるまでの白い斑こと。
また万年青によっては複数の柄が入る品種が存在する。
アイ氏宅の『坂東吹雪』は、虎+縞+覆輪が一枚の葉に全て入っているのだ。
このように斑の入り方も色々あるのが万年青の魅力である。
そしてざっくりとした大きさによって万年青は区分されている。
大葉
野生種の万年青に近く、葉の長さが25cm~50cmの大型万年青。
その堂々とした姿は、迫力がありアイ氏は『獅子万年青』の次に大好きな『木』である。
アイ氏宅は『獅子』と『大葉』が大半を占めている。
アイ氏お気に入りの大葉は沢山あるが、一押しならば『残雪』である。
大葉の万年青でアイ氏が一番魅力を感じるのは図物である。
『残雪』は江戸時代から存在する古い品種であるが、その美しさ故に、未だに人気の『木』である。
濃い青葉に冴えて入る雪白の図は正に雪の様に見え。
そこに『しかみ』と言われる独特の葉の皺が入り、なんとも言えない、美しく風情がある『木』なのだ。
中葉(薄葉)
葉肉が薄く葉の長さが10cm~30cmの万年青である。
とにかく個性的な『木』が沢山ある。
細かく系統に分けられ、一文字系、獅子系、太陽.縞甲系、千代田系と姿形で細かく分けられている。
アイ氏の好きな、獅子万年青もこの中葉に属する。
中葉は色々と有るので一押しが難しいが、アイ氏が押すのは『四君子』だ。
異議の方も沢山いるだろうが…。
『獅子万年青』を最も愛するアイ氏なので、獅子贔屓は多目にみて欲しい。
では何故、数ある獅子の品種の中で『四君子』かと言えば、力強い角巻きと縞覆輪の柄、そして、甲竜や雅糸竜の葉芸。これら全てが揃った『四君子』は、本当に見応えがある獅子万年青なのだ。
また獅子は図や虎柄の場合は、葉先に柄が現れても葉が丸まって隠れてしまう。だが縞柄は、葉先から葉元までしっかり柄が入る。誰でも簡単に美しい柄を楽しむ事が出来るのだ。
(四君子の最大の問題点は高額な事です。働く貧困層アイ氏には残念ながら買えません…)
小葉(羅紗万年青)
葉長3cm~15cmの小型の万年青。
現在もっとも人気があり登録品種が多いのも羅紗である。
この羅紗の魅力はなんと言っても葉芸である。
この小さな『万年青』は年を重ねる度に葉芸が進化する。それを楽しむのが羅紗の最大の魅了だ。
また羅紗には縁起の良い名前の『木』も多い。
『新生殿』『大黒殿』『お多福』『瑞泉』これらは価格も安く『万年青』の葉芸の真髄を楽しめる『木』だ。そして縁起の良い名前で贈り物や、丈夫で育て易い為に初心者にオススメの『木』として良く名前が上がっている。
風水的にも良いと思われるが、アイ氏は羅紗に興味がなかった。
アイ氏の万年青の鑑賞対象は葉芸では無くて、ただ美しい柄や可愛い葉形を鑑賞の対象としているからだ。
だから、この文章で羅紗の魅了が上手く伝えられ無いのが申し訳ない。
ただそんなアイ氏が羅紗で一押しの品種を上げるなら迷わず『力和』である!!
この『力和』の小さな円形の丸葉は『プリティ♡』の一言に尽きる。
『力和』の様な可愛い小さな丸葉はアイ氏の好みであり鑑賞の対象の範囲である。
羅紗には興味が無いと言いながらも、実際にアイ氏は何度も、『力和』の可愛い丸葉を目にする度に購入したい衝動に駆られているのだ。
更に万年青の世界では、種から生まれた苗実生も存在する。
そのため、親木が登録品種でも実生は○○実生とか呼ばれ登録品種とは区別されている。
分かりやすく例を上げると『玉獅子の虎』と云う品種の種から生まれた万年青は『玉獅子の虎実生』言う名前で流通し『玉獅子の虎』とは別もの扱いをされるのだ。
無銘の実生万年青の中には個性的な万年青が数多く存在し、アイ氏は好みの実生万年青を何点か購入している。
アイ氏が購入した実生で一番のお気に入りは、
『黒達磨×大像観』である。
(黒達磨は、正式に品種登録されていません。そのため人によっては『山千代』と言う名で呼ぶ場合もあります。『黒達磨、又は山千代』と書くのは大変なので、以後の表記は『黒達磨』で統一させて頂きます)
この実生の一番の鍵は『黒達磨』なのだ。
この黒達磨は、大葉で葉幅がとても広くい丸葉で愛嬌のある『木』なのだ。
だが黒達磨に一つ残念な点があるなら、それは柄が無く『青葉』な事だ。
アイ氏は『この黒達磨が柄入りだったらな~』と良く思っていた。
そんな思いはアイ氏だけではなかった様で、この黒達磨の丸い葉をベースに柄を入れる品種改良が、愛好家達によってされていた。
アイ氏の持つ、この実生は残念ながら黒達磨ほど、大きな丸い葉ではないが、縞とやや丸葉の見た目はとても愛らしいのだ。
他にも実親と言って、新たな品種を作る為の万年青や黄色の実を付ける万年青も存在する。
万年青の楽しみは人各々で、現在ある品種を保存繁殖し美しい万年青を作る事を目的にしている方もいれば、実生から新品種を作り出す事を楽しんでいる愛好家もいるのである。
この『伝統園芸の世界』に、アイ氏のヲタ脳は大いに刺激された。
だが『伝統園芸の世界』は、古い歴史が有り、とても奥が深い。
残念ながらアイ氏の脳ミソでは、『全てを完全に把握し理解している訳では無いと断言する!!』ので書いた事が間違っていたら本当にすみません…。
下手な文章を長々と書いたが、『万年青は古くから縁起の物の植物で、色々な品種や大きさ、柄、葉芸と呼ばれるちょっと変わった葉を鑑賞する植物で、昔ながらの独自の専門用語も有るが、今も新な品種が生まれ進化し続ける魅力的な植物だよ』と伝われば幸いです。
そして少しでも『万年青』を知って頂き、身近に『万年青』を語り合う『ヲタ友』が出来ないかな…と願う。
『哀れボッチなヲタ』それがアイ氏である…。