藁灰 (アイ氏『お説教』を喰らう!)
そして植える苗と鉢が配られた後は、万年青の講師の方が、お手本として説明しながら植え付け披露する。
そして、それを見学後いよいよアイ氏が植え付ける番である。
先ずは万年青の植え付ける向きを決める。
この時、見栄えがする方を正面に決めると、講師の方のチェックが入る。
アイ氏の選んだ、万年青は割とはっきりと、正面がわかり易かったので、直ぐにOKが出た。
そして、鉢に大粒の軽石を入れで、万年青を鉢の正面にセット、棒で根を広げて中粒、小粒の順に軽石を入れる。
ここでアイ氏は少し、軽石を入れている最中に万年青の向きがズレてしまったらしく、講師の方が直してくれた。
水苔を万年青の鉢の淵からちょっとだけ隙間をあけて巻く様に乗せていく。
こうして植え付けが終わる。
そして植え終わり水の張ったバケツの中に鉢ごと水に
浸けしっかりと灌水させる。
こうして全ての作業が完成である。
その後アイ氏は配られたたビニール袋に『雪雷』を入れてから、二階へと移動する。
万年青教室に誘われた為に、未だに二階で展示されている、万年青を見ていなかったのだ…。
そして今回アイ氏が、一番気にいったのは、山千代(黒達磨)×山桜の実生である。
そう正に黒達磨に見事な縞斑が入った万年青だ!!
大きな丸葉の姿は、大変に可愛く今までに無いニュータイプの大葉である。
そしてアイ氏も黒達磨の実生が欲しくなってしまった事は言うまでもない。
さてアイ氏は、再び一階へと戻って、販売の万年青を色々と見て回る。
そして、アイ氏にしては珍しく万年青屋さんに話かける。
主な相談は葉が黄色っぽいので、一応は寒肥を与えたが、その対処で問題が無いか心配だったからだ。
そしてアイ氏の判断は間違ってなかった。
また、その後の話の流れのなかで『アク水』の話になった。
アイ氏は北関東のド田舎に住んでいる。
その為、近所には田んぼも、あれば会社の同僚には、お家が農家と言う人も普通にいた。
(その為に稲藁は簡単に入手出来るのでは?)と単純に考えていたのである。
そうアイ氏は万年青屋さんに、自分で藁灰を作るつもりである言ったのである。
すると万年屋さんは、藁灰の作り方を親切丁寧に教えてくれた。
その中でも、一番肝心なのは、雨あたった稲藁では、栄養成分が抜けてダメだと教えて貰った。
単純に稲藁ならなんでも良いと思っていた、アイ氏はその話で更には、藁灰作りのハードルが上がった事を感じるのだった。
こうして藁灰の知識を付けたアイ氏は、翌日に早速、会社の同僚に、稲藁を貰えないか打診する事にした。
勿論、稲の収穫は秋であるが……。
収穫後に雨に打たれて栄養が抜ける前に、刈り立て一番の稲藁をお願いしておく事を考えたからである。
そして早速にお願いしてみたが、一人は、「うちは、稲藁は田んぼにすきこんで、肥料にしているので無理」との答えが帰ってきた。
そう、収穫後の稲藁は細かく裁断されて肥料として再利用されていたのだ。
その後も、他の同僚にも聞いた。
そうすると今度は、「灰を作るって、消防法とか色々あって、簡単にその辺で燃やせ無いから止めとけ!火事に成ったら大変だぞ!」とお説教が飛んできた。
至極真っ当な、お説教と元々のハードルの高さもあってアイ氏は『稲藁』の入手を諦めるしかなかった。
こうして自作の藁灰作りは、秋を待たずに頓挫した…。
だから未だに『草木灰』にお世話になっている。
そして、段々と季節が進み暖かくなってくれば、万年青の鉢も少しづつ乾き易くなって来たのを感じる。
2月の後半には、再び万年青達を完全野外で管理しはじめた。
3月中旬になり水やりの期間が3日におきに変わる頃、『雪雷』に何となく違和感をアイ氏は覚えた。
どことなく萎れた感じがするのだ。
アイ氏は、この異変はおそらく根っ子からではと思い緊急性を感じ、雪雷を鉢から抜く事を決断した。
案の定、雪雷の根の一分がダメになっていてたのだった。