鶴の舞 (アイ氏『薄命』の万年青を購入する!)
繁忙期の怒涛の正月も終わり、アイ氏の心には、少しゆとりが生まれはじめていた。
そしてアイ氏はの万年青熱は未だ熱く、美しい万年青を見つけたらまだまだ買ぞ!と思う気持ちは変り無い。
そして見つけたのが『鶴の舞』である。
『縞柄の獅子万年青』の代表格ではあるが、何故か余り見かけ無い『木』だ。
そして売られていた『鶴の舞』は、大変派手な縞でアイ氏の好みにドストライクな万年青。
アイ氏は、どうしても購入したくなった。
だがこの美しい万年青には、素人のアイ氏では手に追えない問題があったのだ。
それは芋痛み品だった。
万年青に取って『芋痛み』は、大変な病気である。
奇跡的に、一度治っても、また肥料をやり初めたら、再び発病するなんて事もあるらしく完治は難しいのだ。
訳あり品の為に値段は格安だが、その一方で枯れる確率も高いので、素人は買わない方が良いのである。
当然、芋痛みが治れば、これ程の派手な縞の『鶴の舞』はお徳な買い物だが、プロでも難しい事をアイ氏に出来るとは思えない。
金をドブに捨てる様なものである。
だが、アイ氏は、その愚かな行為を決行する。
例え短命でも、その美しい万年青を近くで鑑賞したい。
これが『縞柄の獅子万年青』が大好きで堪らないアイ氏の『ヲタ心理』だ。
こうしてアイ氏は悩んだ末に『美株薄命』な『鶴の舞』を購入するのだった。
アイ氏は、一応、『芋痛み』を治す方法をネット検索して見たが、これといった決定的な方法は見つからなかった。
そしてあるブログサイトで『芋痛み』の原因は肥料過多にあるとあった。
人間で言えば、メタボな状態であろう。
その記事を信じアイ氏は購入した、『鶴の舞』にダイエットをさせる事にした。
先ずは、今年は肥料を与えず強制断食である。
ただしカリウムの補給は良いと書かれていたので、『草木灰』を溶かした、『アク水』だけは頻繁に与える事にした。
『アク水』とは、万年青独特の肥料で、そして本来『稲藁』を燃やして作った灰を水に溶かして作る肥料の事である。
ただこの『藁灰』は、その辺の『ホムセン』には取り扱いが無く簡単に入手できない。
当然、万年青屋さんでは売られているが、一年に数回なら良いが頻繁に与えるには、なかなかに高価な肥料だ。
この本来の『アク水』を頻繁に『万年青』に与えると、働く貧困層のアイ氏はカップラーメン生活になるため、アイ氏はカップラーメン生活を避ける為に、『ホムセン』で似た様な商品を探していた時に見つけたのが『草木灰』である。
アイ氏の近所の『ホムセン』では、『草木灰』が500gで390円で売られていたたのである。
アイ氏は、この『草木灰』を1gを1Lの水に溶かして使う事にした。
バケツに水と灰を入れて、よくかき混ぜてから、30分位時間そっとして置く、そうすると溶けなかった灰は底に沈み、残った上澄液だけを『ジョウロ』に入れてアク水を『鶴の舞』や他の『万年青』にも与える。
そうする事で、ジョウロの『ハス口』が詰まるの防ぐのだ。
この安い『草木灰』のお陰で、アイ氏は一週間に一回位の割り合いで、『万年青』に『アク水』の補給が気軽に出来たのである。
『アク水』の効果は、不明な点が多く使わな人も居れば、毎回の水やり事に与える人もいて、色々な意見がある。
アイ氏は、『鶴の舞』の芋痛みを治したいので『アク水』を通年頻繁に与える派である。
そして2024年現在も、どうせ作るなら他の万年青の分もと、10リットル入りのバケツを使って頻繁に作っている。
また鶴の舞の『芋痛み』が治っても再発防止の為に、これからも頻繁に与えたいと考えている。
そして『鶴の舞』には体に貯まっている栄養を使わせる為に、他の万年青よりも、日光浴をさせる事にした。
こうして、体の中に蓄えた栄養(窒素)を落とすのだ。
だからアイ氏は『鶴の舞』だけ特別に、置き場を別にして日光浴をさせていたので、他の万年青とは別の場所に置いた。
それが失敗だった。
その日の夜は最低気温がー6度の予報があり、とても寒い夜だった。
アイ氏は、仕事から帰って来て外に出していた、万年青達をしまう。
冬は、カゴに入れたまま、外に出してカゴごと家に入れる。
だが、『鶴の舞』だけは、少し日に当てよう、違う場所に出して置いたのだが、仕事から疲れて帰宅した、アイ氏は『鶴の舞』の事をすっかり忘れていたのだ。
ー翌朝ー
アイ氏は、万年青達を外に出すべく外にでる。そして玄関のエントランスに、カチカチに氷ってしまった『鶴の舞』を発見した!!!
緊急事態発生である。
アイ氏は、事前に万年青を霜に当てた時の対処法を勉強していた。
その対処法は以下の通りである。
先ず氷った万年青を、行きなり暖かい室内にしまっては、万年青の葉の細胞が壊れてベロベロな状態になって枯れてしまう事があるので、絶大にやっては行けない。
氷った万年青は、そのまま外の日陰に移して自然に解けるのを待つしかないのだ。
アイ氏は、『鶴の舞』を日陰に移した。
お昼頃まで気温が上がるのをハラハラした気持ちで待っていた。
そして気温が上がったお昼ごろ、アイ氏は、『鶴の舞』の様子を見に行けば、カチカチに氷っていた葉は元に戻っていた。
万年青は、一度や二度霜に当てても枯れない。
それは万年青の育て方を少し勉強すれば、良く聞く話しである。
そして、それは間違い無く真実だった。
アイ氏は計らずも病気の『鶴の舞』に真実だと教えられたのだった。
ー2024年現在ー
『鶴の舞』は、真冬に氷ると云う悲劇な目にあっても枯れる事は無く一年がたった。
そして現在も美し姿でアイ氏の目を楽しませてくれている。
ただし芋痛みが完治ったかは不明である…。