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バーに逃げる大人たち

作者: 宮智沙希

たまに行く小さなバーがある。


よそ者排除感が半端なく、よそ者の私には決して居心地がいいわけでもないのだが、600円でちゃんとしたカクテルが飲め、一人でやっている妙齢の女性バーテンダー、ナナさんの作るつまみが旨いので、今回で三度ほど足を運んだ。


どうやら、店に集うのは、ほとんど常連さんで、50代、60代の男性が多いようだ。彼らの話を聞くともなしに聞いていると、


「えっ、孫がいるの?淳ちゃん、今、いくつなの?」

「もう50っすよ」


「早いねえ。うちは四人子供いるけど、孫はまだだなあ」

ナナさん「四人も子供いたら、孫は何人になるのよ!お年玉、大変よ~」

「そうだなあ」


ワッハッハー とその場にいた私含め、四人が笑う。


ナナさんは、よく喋り、よく飲む。淳さんが頼んだワインのハーフボトルの半分はナナさんが淳さんについでもらって飲み干していた。


やはり常連らしい、おじいさん(こちらは70代ではないか?)が現れ、いつものと言われ、ウイスキーの水割りを作って渡すと、ナナさんは自分にも同じものを作って、「ごちそうさま」と言いながら飲み干す。いつものお決まりの習慣らしい。


ナナさんが語りだす。


「私が若いころは免許とったら車買って、乗り回すのが普通だったけど、最近の子って、レンタカーとか多いわよね。私、18で就職して、車の維持費払って、家賃払って、キツキツで毎日、社食でざるそば食べてたもん」


「そうだよな~、今はリースとかなんだろうな」


そこから、車の車種の話が盛り上がっていたが、私は車は助手席にしか座らず、必要な時に男友達がレンタカーを手配してくれるので、話題には全くついていけない。ひとり、ジントニックとメイクラブする。(PIANOMANといつ歌に making love with his tonic and ginという歌詞がある)


そのバーに集まる人々は、なにか物悲しい。


友人と一緒に飲みに来たという人は見たことがなく、みんなナナさんをかいして共通の話題を盛り上げ、笑っているが、毎晩のように来ている人が多いみたいで、なんとなく、帰りたい家はないのかなあと思わせる。




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― 新着の感想 ―
[良い点] いきつけのバーなんてあるといいですよね。 少し羨ましいです!
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