表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

家紋武範様主宰企画参加作品

疑念


俺が通っている高校は男子校。


周辺の公立高校や私立高校のすべてが男女共学なのに。


明治維新のあと豪商が私財を投じて創立された私学校が前身なだけに歴史だけはある。


県内一の進学校で、学校がある地方都市と近隣市町村の市長、町長、村長それに市町村議員、県会議員、地方都市を中心とする地域から選ばれる国会議員の殆どが学校の卒業生。


県内の中小企業の中で頭一つ抜け出ていたり発言力があったりする会社の経営者の殆ども学校の卒業生。


そういう卒業生の普段は党派別で争っている議員達やライバル企業同士で仲が悪い経営者達なのに、男女共学に関しては団結して反対しているため県内で我が校だけがいまだに男子校って訳だ。


まあそれでも此処に入学できたって事で、エリートコースを歩むことが約束されたのだけど。


でもうちの学校は周りの高校の奴等に、学校の生徒全員が衆道の関係で結ばれていると噂されているんだ。


そりゃあ生徒の中にはそういう関係の人たちもいるらしいけど全員じゃ無い、極僅かな人たちだけなのに。


でも半分以上妬みを含んでいるその噂は県内中で囁かれていて、うちの高校の生徒は学校を卒業するまで女の子達と敬遠になる。


俺の両親が良い例。


地方都市出身の父と県庁所在地出身の母は東京の同じ大学にそれぞれ進学し、大学のサークルの新入生歓迎会で知り合ったのだけど、母は父と付き合いだすまで父を男色家だと疑っていたらしい。


それで何でこんな愚痴を溢しているかって言うと、今日、中学校のクラス会があって出掛けて来たんだけど、他の高校に進学した仲の良かった男友達の全員が、付き合い始めた恋人の自慢や友人になったクラスメイトの女の子達との会話を口々に披露したからなんだ。


畜生………………。


女の子とお付き合いしたい、友達になりたいと思い願ったせいか、学校の外階段に腰掛け可愛い女の子と缶コーヒーを飲みながら駄弁っている夢を見た。


挿絵(By みてみん)


【遥彼方様画】


でも、駄弁っていた女の子、知らない子なんだけど何処かで見たことがあるんだよな。


何処で見かけたんだろう?


首を傾げながら家を出てバスに乗る。


俺の制服を見て、バスに乗っていた他校の女子生徒全員が数歩遠ざかり、クスクスと笑いながら俺を指差す。


学校の前のバス停で降車、校門を潜る。


電車やバスを利用している生徒全員の顔は暗い。


その一人の俺は肩を落とし校舎の出入り口に向け歩む。


トボトボと歩む俺の肩が叩かれ後ろから声をかけられる。


「おはよう!


朝からなに黄昏ているんだ?


元気出せよ」


振り返ると入学してから最初に仲良くなった自転車通学の友人がいた。


そいつの整った顔を見て思い出す。


この顔だ、夢で見た女の子の顔はこの顔だった。


俺にその気は無い、無いよな? 無い筈、無いと思いたい………………。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ランキングからお邪魔しました♪ とっても可愛いお話でした! 仲は良くても特別には意識していなかったはずの男子、夢でそんな風に登場されてしまうとその後の付き合いに影響しますね。夢で見た姿をい…
[良い点] 男性でも好きな顔っていますよね。 深くは言わないけどね。 企画参加ありがとうございます!
[一言] 家紋武範様の「夢幻企画」から拝読させていただきました。 はっはっは、私も男子校出身で女の子の夢はしょっちゅう見ましたが、幸い、顔がクラスメートに似ていたことはありません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ