2
「殺人鬼が女子高生を刺したら幽霊だったという話(仮)」
そんなタイトルじゃあ意味合い違ってくるんですけど、その話の構想を今日も練っていきます。
殺人鬼の設定ですね。女子高生の方の設定も悩んでいるところなんですけど。病気設定のほうがよくないか? と思い始めてしまって。
ヒロインが病死者だと、多分、生や生活への執念のキャラになるんですよね。それが、殺人鬼と偶然出会ったとしても倒す動機になって、対決感が増すのではないか。
そうなると幽霊設定を練らなきゃですね。あれ……今日は殺人鬼のことを考えるんじゃなかったのか……。
元病人で今は元気というギャップから生まれる悲壮感が魅力になりますよね。ほんとそんなキャラ他にも見た気がしますけれど。
人を殺す殺人鬼に対して、死んでるのに生きようとするヒロインですから、いい対比な気がします。
で、設定……
執念のキャラですから……もともとは見えなかったけど執念で可視化した……執念で念力も使えるようになった……なんてどうでしょう。
適当すぎだろうか。
執念で役所のデータを捏造した。執念でアレコレ手続き済ませて、誰かの養子になって、執念で高校入学! そして夢の学生生活を謳歌している!
やる気があって、時間さえかければいけるんじゃないかな……。十年前ぐらいの死者かもしれないですね、この人は。
個人的には、パワースポット説よりこっちでいきたいけど……。パワースポットは幽霊っていえるのかどうなのかわからないし。「刺したら幽霊だった」という部分が少し崩れちゃう気がするんですよね。
もうちょい幽霊の設定考えなきゃいけないかも。
少し考えてみて、パワースポットの方が魅力的な気がしてきました。病死幽霊はありがち、執念はあるかもしれないけど、ヒロインの魅力としては、死んだらたまたまパワースポットの影響で特殊な状態になってしまったという奇妙な運を持っている方が物語的無敵感があって素敵なのではと思って。
「肉体が壊れて念力に化けた」「ありえない場所にパワースポット、実は異次元の穴」など設定が詰まっているのもいい気がしました。
じゃあようやく、その女の子の宿敵の、殺人鬼の設定を考えます。
もうすでにある程度考えてはいるんですよ。
やはり敵役も、ヒロインに釣り合うぐらい魅力的にしないといけないと思って。殺人鬼を魅力的にするには殺人をする理由が甘っちょろかったらいけませんよね。
これは殺しても仕方ないよな、抗えない宿命かもな、と思わせるような理由ということで私が考えてきたのがこちらです。
『虐待を受けていた』
甘えんな! それでも悪いものは悪い!
と言われそうですけど。
ただの虐待じゃないです。こいつは芸能人一家の末っ子で、幼児期から美少女の姉たちに性的虐待を受けてきました。そのため美少女……美しい顔とか体が怖くなってしまった。そのことが彼に殺人をさせます。美少女の美しい部分を破壊して、中身をさらけ出させて、美しいものの正体を暴かないと安心できなくなるんです。
なんか、美少女というのは完璧な存在で、彼はそれに虐待をうけてきたからその完璧さが怖くて……なんか、美少女を神みたいな絶対的なものと思ってしまってるんですね。その神に自分は虐待された。まるで世界に拒絶されたようなショックを受けています。だからある意味防衛本能で、美少女は完璧じゃないんだ、神なんかじゃないんだ、ほら腹をさけばうんこが出てくるし、顔の皮をむけば他の人と同じで醜いじゃないか、そんなふうに美少女の醜さを定期的に確認してしまう人間になってしまった。
で、彼は芸能人一家の末っ子。今は十九歳ぐらいですかね。超美形で、人気の若手俳優です。
演技ができますから、ドラマの撮影で美少女と対面してもその場で精神がおかしくなったりしません。ただ定期的に美少女を殺してしまいます。
この犯罪を、完全に隠れてやっていて死体も見つかっていないものにするか、それともガッツリ公開してむしろ世間にアピールしているものにするか、迷っています。
隠れてやるなら、犯行が用意になると思います。死体が見つからないので騒ぎになりにくい。
逆にアピールして、例えば共演したアイドルを悲惨な死体にしてどこかに磔にするとか、そんなふうに何人も殺して、世間を恐怖に陥れる的な……
これだとよほど頭よくないと逃げ切れませんよね。だって犯人は有名人ですよ。今どこにいるか割と把握されちゃってる人です。
こっそり殺すバージョンのほうがいいかな……。アピールする意味がわからないですもんね。美少女が怖いのは、彼の中では重大なことですけど結局彼一人の問題なので。
ああ、そして、虐待者である彼の姉たち。なんで彼は姉たちに直接復讐をしないの? となると思うんですが、お姉さんたちはもうそれなりに歳を重ねてきれいな女性になってしまっており、もう美人は美人なんだけど美少女の頃のような完全無欠さは失われている。大きくなった彼にはもう飽きていて虐待もしないし、あの頃恐れていたものは姉たちの中にはない。代わりに、今現在美少女てある人たちを惨殺したくなってしまっている。彼は今そういう状態です。
お姉さんたちは皆美人女優です。
人数は……七人ぐらい。多すぎ?
じゃあ四人かな。
三十、二十八、二十六、二十四歳。問題の彼が三歳のときに、一番上の姉が十四歳。彼が十歳のときに一番下の姉が十五歳。いつまで虐待されていたんだろう。姉たちは芸能人で、みんな外で恋愛ができず、その感情や欲望を全部弟に向けたんでしょうね。
かわいそうですね。どうにかこいつを救ってあげられないんですかね……。
刑務所ぐらいでは効かないでしょう。幼児期からのトラウマですし。
やっぱりヒロインが変えてあげるのかな。
ヒロインは「壊せない美少女」で「醜くない美少女」で、「老いない美少女」でもあり、彼が思う神そのものなんですよね。
その上で彼女が優しい言葉でもかけて、本来姉たちに望んでいた優しさをもらえれば、彼の中の歪んだ世界観が壊れて正常になるんじゃないでしょうか。
とりあえず彼は捕まったあと、檻の中でヒロインが気になって仕方なくなります。
そのあとどうなるんだろう。
そのあとといえば、ヒロインも問題を抱えているっちゃいるんですよね。半幽霊っていうよくわからない状態で、今後不可視になっちゃうかもしれないし、消滅してしまうかもしれないし。
パワースポットの異次元穴の件がありますけど、
………………
おはようございます。
一晩寝たら、ヒロインのキャラ像がまた自分の中で一変しました。
昨日、殺人鬼のキャラを作ったことで、彼がヒロインによって改心させられるというイメージができました。
その天使のようなヒロイン像をよく考えてみたところ、車にひかれたのになんかしらないけど半幽霊として生活できてるラッキー女より、病死した美少女のほうが適任なのではと思いました。ただ、病死美少女の設定をもう少し考えました。
執念キャラの予定でしたが、執念だけじゃだめなんです。天使になるには。
『努力』!
健気にがんばっているんです。勉強してるんです。人助けをしてるんです。彼女は病死してしまって幽霊として彷徨っていたけど、あるとき、ほかの幽霊から生き返る資格試験の存在を知らされます。それはものすごく勉強をしなきゃいけない。可視化や念力の原理とか、念力の物理作用、実は幽霊だとバレないための実践的な理論、現世との良い関わりにかんするあらゆる思想。
そして人助けをたくさんしなきゃいけない。彼女は飛び回って、火事を見つけては資格保有の幽霊に知らせたりなどして、ついに認められ、現世に干渉するための可視の霊体と不可視の力を手に入れます。
戸籍だとか、家とか、学校入学手続きとかは、全部資格協会側が整えてくれます。協会にはもう、書類捏造の専門職の方々がいらっしゃるんです。その方々も資格保有者です。生前役所におられた方々だと思います。
そして彼女は夢の学生生活をしながら、……ふいに触れられたら幽霊だとバレるのでアレルギー持ちだと言っていてなかなか友達はできませんが……、幽霊から聞いた火事を周囲に知らせたり、場合によっては火事現場に飛び込んだりと、現世干渉資格者として人助けも続けているという素晴らしい若者です。
彼女が殺人鬼と対決し、念力で攻撃した際に彼の思念にも触れてしまい虐待云々の事情を知ってしまう。ショックをうけた彼女は「あなたはかわいそうな人です」と、思わず彼を抱擁します。それは多分彼が本来姉たちにしてもらいたかったことで……。
逮捕された彼は牢獄の中で、「あいつは何なんだ」とつぶやきながら、無自覚な涙を流す。
というところまで構想できました。
すごく天使な、いいまとまり感ができあがったような気が……。
「現世干渉資格協会(仮)」
新しい組織がでてきましたね。
幽霊たちの組織なのにこれ、多分万能じゃないですよね。ただ資格者に限ってはいますが現世干渉や念力という強力な力を与えられるので、後ろに神が控えてるのかな。
幽霊たちの現世干渉が管理されていなくてやりたい放題だった時代があって、神罰がくだったことかあって、それから協会ができて干渉は資格制になったとか。
なんかそのへんぼやっとしてますけど。
何らかのやりかたで協会は神とコンタクトをとり、資格合格者に現世干渉の力を与えます。可視不可視の切り替えはできません。ずっと見えっぱなしです。神の力は一方通行で融通がきかないものです。もしかしたら神というのはコミュニケーションのとれない機械のような存在かもしれません。……でも神罰は与えるんだよね……なんでだろ。
資格ですから、不適格とされれば剥奪もありえます。そしたら力は奪われ、資格者はただの幽霊になります。
ふと思ったんですけど……この資格者って、飛べますよね?
まず体が物を透けるわけですから地面も透けるはずですし、そこをどうにか念力で立ってるんですよね。で、念力で重力に干渉して普通に歩いているように見せている。
……そこまでやるなら念力で他人に触れられるようにするでしょうよ。
このへんはどうしましょう。
あれ、これ難しいな。
ああわかった。そこまでするのは大変だから、なるべく他人に触れられないようにしてるんです。あのー、念力はMPかなり消費するから。重力に干渉するのと地面に立つようにすることでかなり消耗します。それプラスドアノブとかも回す場面がありますから、ふいに触られても大丈夫なように念力で体をコーティングみたいなことはしていないんです。それに念力に触れた感触は体に触れた感触とは全然違うので、触られたら結局アウト。バレます。
彼女、服を着ていて、その服も霊体の一部です。自分の姿を著しく変化させることはできないけど、服ぐらいなら変えられます。生前の自己イメージを著しく変化はさせられないということですね。
もうですね、念力のプロでベテランの有資格者なら、念力で常に実物の服を身にまとっていて、ちょっと触れられたぐらいではバレないようにカモフラージュしてます。
幽霊は歳をとっても姿が変わりませんよね。彼女は大人になりますけど、外見はずっと幼いままです。
資格協会ってどこにあるんでしょう。資格協会のつまり日本支部ですね。
なんとなく高いところがいいかなと思って。スカイツリーの最上階非常口から出ると、そこに見えない入り口があって、そこからさらに階段をのぼっていく。するとオフィスにつきます。資格協会日本支部です。
各支部に一つずつ『神』と呼ばれる発光体があって、そいつに触れることで現世に干渉する力を与えられたり、逆に力を返したりします。
普段、資格者と協会はなんとPHSで連絡をとります。ヒロインは携帯とは別にPHSもってるんです。
そのPHSの原理は?
……。
わかりました。テレパシーですね。
幽霊は自分がイメージしやすい形で自分を形成します。PHSは資格をとると貰える第三の能力が具現化されたものということにしましょう。
そのPHSに、どんな連絡がありますかね……。現世によくない干渉をして、それがバレたりするのなら、連絡がそりゃくるでしょうけど。
そういうルール違反者が出たから急ぎで捕まえてくれ! っていう連絡はあるでしょうね。
ああ、あと、無資格の幽霊が空から見つけた火事とかの連絡ですね。
無資格幽霊は、有資格者の監視もしてるんでしょうね。基本信用されてるとは思うんですが。
なんだかだいぶ設定が整ってきましたね。
これでリアリティ、生まれるんでしょうか。
しかしこれまで私は設定とか面倒でしたことなかったんですが、面白いですね。小説って、世界を作ることなんてすね。
どんな短い小説でも、その物語の舞台である世界は存在している。そこに突っ込みどころがあると萎えてしまうから、整える。そうすることで説得力が生まれるかもしれないし、新たなエピソードが必然と湧いてくる。
へーーー! こうやって長編って書くのかも! これが、私が今まで長編を書けなかった理由ですかね、もしかして!
本編書いて、面白くなるといいんですけどね。
これだけやって全然誰にもうけなかったらそれはそれで面白いんですけどね……。
それじゃあ、このへんで切って次に続きます。




