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えーと、これを書くにあたった経緯を説明しないとね……。
私は小説を書いていて、またそれが超おもしろおかしい小説を目指しているので、ネット上でアドバイスをいただいたりしているんですが、その執筆の際、「他人に見せられないプロット」というのが存在してるんですね。
それは別に、アレな単語が含まれてるとかではなく、単純に、他人に見せるつもりで書いていないもの、ということです。
プロ小説家はプロット提出をさせられたりするらしいんですね。その時点でその作品がアリかナシかを判断されて、まぁ微妙なプロットをもとに長時間かけて執筆するという無駄な仕事をしなくて済むという、そんな感じらしいんですが、その手法、私もとりいれなきゃダメだろ! と思いまして。
人に見せるつもりで作品を構想してプロットを書けば、その段階で致命的な穴を埋めることができて、クオリティの高い作品が書ける!……んじゃないかという検証ですね。
まぁ本当に、これまで人に見せないのをいいことに適当な構想とかプロットで書いていたので。私のような暴走機関車は自分への縛りってマジで大事だろうと思って。
はい、では以下から、私のぼやっとした構想が始まります。
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私はライトノベルを書きたいと思っています。
ライトノベルには魅力的な美少女キャラクターが必須だとよく言われているので、そこから考えます。
美少女を、じゃあ、プラモデルのように一から作るとかどうだろうと思いましたが魅力的な気がしません。愛着は湧くかもしれませんが。
では逆に美少女をバラバラにするというのはどうでしょう。
魅力的な気がしません。
というか、どんな魅力的な美少女もバラバラにされて皮を剥がれてしまったら魅力的には思えない気がします。
ということは、バラバラにできない美少女はどうでしょうか。幽霊で、誰かがむりやり醜い部分を見ようとしても見られない。これは魅力的な気がします。
他の美少女は殺されて醜い部分をさらしてしまうのに、この美少女はそうはならない。という相対的な魅力をヒロインの魅力にしようと思います。
となると自動的に、美少女をバラバラにして生皮を剥いで殺す殺人鬼を登場させることになります。
その二人の対決を書く話にしましょう……。
殺人鬼がヒロインを殺そうとするんだけど、ナイフが体を透けて殺せない、というシーンを、作品のピークのような部分にもっていきたいです。
ヒロインの設定思いつきました。こういうストーリーを書くとなると、幽霊だと思われずに生活する幽霊ということになるので、潔癖症と周囲に言って触れられないように注意している人ということでいきます。
そのヒロインの過去を考えなくてはいけませんよね。なぜ生きているふりをして生活をしているのかにもつながる部分だと思います。
以前殺人鬼に殺されたことにしましょうか……。でもそうなると変な因縁のようなものが出会う前からできてしまうので、殺人鬼とは対決のときに初対面のほうがいいような気がします。話が小さい範囲に収まってしまう気もしますし。
幽霊で、死んだ時期すら作者が自由に設定できるので、こうなると私はめちゃ昔の人ということにしてしまいがちです。前にもそういうキャラ書いた……。
実は大正生まれのおばあさん、というのは魅力ですかね……?
いやいや、決まりました。比較的最近、病気で死んだ人ということにします。
小さい頃からずっと病気がちで普通の学生生活に憧れていた……ありがちだけどこれです! これが生者の生活にこだわる理由になるでしょう。
で、このヒロインの幽霊状態の設定ですよね。なにに触れられてなにが透けるのか。可視不可視はどうなっている……浮いたりできるの? など。
とりあえず周りには見えてるけど、触れられなくて透けちゃうんですよね。で、殺人鬼のナイフ攻撃が透けるという大事なシーンが控えているので物体も透ける。
じゃあ物に触れないぞ……。服や持ち物は彼女という存在の一部という扱いでいいけど、学校でテスト受けるときとかさあ……。
ああ、念力でペンを動かしましょう。この人は念力が使えて、触れられないものは念力で動かして触れているように見せかけて日常生活を送っている。いいですね〜これ。殺人鬼をぶっ倒す武器もこれでいけます。
念力でドアを開ける。念力でペンを持つ。念力でお茶を飲む……お茶は体を透けてしまうので、彼女は人前で飲料を飲みません。食べ物も食べられません(笑)たまに食べてるふりや飲んでるふりぐらいはしなくては怪しすぎるので、念力でどこかにふっとばしたりして誤魔化しています。
……こいつはどうやって学校に入学したんだ?
書類を何から何まで偽造すれば幽霊でも一人の日本国民として生活できますが、それをやった人物……幽霊とコンタクトできて便宜をはかれる人物が要りますよね。そうなるとなんか、幽霊が一部で認知されている世界観になってしまいます。なんかそれは、殺人鬼と関わるシーンで邪魔になる気がします。幽霊は人間社会にとって完全にイレギュラーなものにしないと、殺人鬼とであったときのコントラストが生まれないんじゃないかと。
じゃあ、幽霊側の神様系の人が便宜をはかってくれた……そうなると、病気で死んだ可愛そうなヒロインのために全部整えてあげた神様という感じになります。それって安直だしほんわかしてるけど大丈夫か……不安になります。
第三案、ヒロインが自力で居場所を整えた。
こいつは潔癖症の設定を作ったり念力でカモフラージュしてまで学生生活をしようとする執念の女ですからね。イメージ的にはこれが合ってますしかっこいいですよね。
このキャラはもうお約束的に女子高生でいこうとおもっているんですが、女子高生に書類の偽造、役所や学校のデータの改ざんって難易度高いですね。
ていうかそもそもなんで幽霊なのに見えてるんだよ……。
可視不可視、自分で変えられるのかな。いやそんなフレキシブルなのややこしいですよね。他の幽霊もできんのかいって話になるし、だいたい幽霊みんなが念力や可視特性で世の中に鑑賞できたらえらいことになってますから。
そのへんから考えても、こいつは幽霊、っていうか死者の中で異端ということにするのがいいかな。
なんで異端が生まれたの?
えー……そこまで考えないといけないか……。
なんか、細かいところまで考えれば考えるほど、先のエピソードまで生まれてきて、長編向きのネタになっていきますね。長編の書き方ってこんな感じなんですかね、もしかして。おもしろいですね。
なんで異端が生まれたかはちょっと保留しましょうかね……。それってやっぱり本人の生への執着と絡んでくるんでしょうか……。異端っていう特別感もまたヒロインの魅力になりそうですね。
さあ、この女子高生は生者から見えてしまっている幽霊。念力というオプションも備えている。
どうやって生者になりすまして、女子高生をやっているのか!?
生者になりすますのだけなら割と楽にできそうですね。どこかに所属するのが難しい。やはりなりすましですかね……。ぼんやり思い浮かんだのが、可視幽霊ホームレス生活をしていたヒロインが、たまたま、ある女子高生の死にでくわす。で、その子になりすます。
うーん……。
やっぱり異端の理由から考えることにします。学校に入学した方法をいくつか考えてみたんですが、どれもそもそも異端の理由に絡んできそうな気がしました。異端の理由を先に決めましょう。なんでも根っこの問題から解いていくのがいいはずです。
あーいやいや、ここでひらめいた。彼女は病死ではなくて事故死。車に轢かれて死んだと思ったらなぜか生きていた。でも体が透けるようになった。これでいいんじゃないですか?
これならちょっと、親とか友達に「なんか透けるわ……」とか言えないでしょう。言ったら騒ぎになるし、言ったら自分が消えてしまうとかそんなルールがあるかもしれないし。
じゃあ、なんでそんな半幽霊になったんでしょう?
①いやいや、誰だって事故にあったら半幽霊になるんですよ。それでもし半幽霊なのが誰かにバレたら、事故時点に時間が戻ってその半幽霊さんは消滅です。
これだと世の中に潔癖症のひとがうじゃうじゃいることになります。
あ、いや、半幽霊の大多数は自分が半幽霊だと気づかずに誰かに触られたりなどして消滅している。ヒロインは早い段階で自分が透けることに気づいたので存在していられる。
……ああ駄目です。このヒロイン、結局殺人鬼にナイフで攻撃されて半幽霊ばれるじゃないですか。
ばれてもすぐに念力で殺せばセーフにする? いやいやこの殺人鬼もちょっと敵として魅力あるキャラにしてヒロインとは因縁っぽくしたいのでそれはだめです。殺人鬼は念力でやっつけられて、警察につきだされる。檻の中で、異常な存在である半幽霊ヒロインのことが頭から離れない殺人鬼……そういうふうにしたいので。
となると半幽霊がバレたら消滅というのは使えませんね。なら死んだらみんなが半幽霊になるというのもなしです。
普通は死んだら幽霊になるけど、ヒロインは半幽霊になった。それってヒロインが備えてる念力と関係がありそうですね。
ヒロインはもともと念力体質で、生きているあいだは使えなかったが、事故死と同時に覚醒。生きていたいという願いが肉体と霊体が混ざりあった半幽霊になった。……これどこかで見た設定な気が……。気のせいかな。
いや、やっぱり、「ヒロインは事故で、身体という、物体に干渉するためのものを失った、と思われたが失われておらず、不可視の力としてヒロインの中に未だ存在している」修復不能なぐらい壊れてしまった身体が、念力に変化したと。そういうことにします。
で、なんでそんな事になったのか??
神様とか、別次元の存在は出したくないので、ここは磁力とかパワースポットのお陰にしとくか?
ヒロインが事故った場所ではなぜか電子機器がつかえなくなったりコンパスが狂ったり……。世界有数の、とにかく強力な磁場が発生している。そこで死ぬやつなんてそうそういないが、死ぬとこういうことになる……。
で、その真相をどうやって物語的に明かすか。なんか知らないけど事故現場がパワースポットとして有名になっている……そんな感じで。明かすタイミングとか重要だと思うんですけど。
失われた身体=念力の設定を明かすのは、ヒロイン本人の独白で、「念力で物に触れると、体をつかって触れたような感覚がある。あの事故で失くした体が念力に変化したのかもしれない」とでも言わせとけばオッケーでしょうか。
少し前に長編とか言いましたが、やはり二人の対決をハイライトにもってきたいとしたら、そこまでの尺の短編で締めるのがいいですよね。となると身体=念力を明かすのは対決中でしょうか。パワースポットを明かすのは……対決前ですかね。ヒロインが友人と事故現場を通りかかる。人だかりができている。パワースポットだとわかる。ちなみにそこが事故現場だと知っているのはヒロインとひき逃げ犯だけですね。死体は残らず事故は発覚していないので。
事前にパワースポットだと明かしておいて、対決中の独白でそこが死亡現場だと語る。「原理はよくわからないが、私は強い磁場の中で死んだ。そしてこうなった」そんなふうに言わせておきます。
……バトル中に独白しすぎですかね……。なんか、それまで自分の素性に関してだんまりで、いきなりネタバラシしはじめる人ってのもおかしいし。いや、これまでずっとそういう作品ばかり作ってましたけど。
にしたって、今回はネタバラシで語る要素が多いです。ナイフが体を通り抜けて、「私は幽霊だ」「見える幽霊」「去年、◯◯交差点で車にひかれて、気づいたらこうなっていた。なんでこうなった? あそこがパワースポットだから?」念力を披露して、「遠くのものに干渉する見えない力。でもなぜか、この力で触れると、もう何にも触れられないこの手に感触が残る。失われた身体が、この見えない力に変わった……そんな気がしている。学校でペンを持ったり、ドアノブを回したりするときは、結局この力で物に触れているけれど、そうすると生きていた頃、普通にペンやドアノブを持っていたときと同じ感覚になれる。それは自分の死を忘れられる瞬間で、私はつい、笑顔になってしまうんだ」
ここまで語るんかい……。
笑顔になってしまうんだ……はノリで入れたとこらなので、こだわってしまわないように削除候補にしときましょう。
でも、めちゃ語ってるけど、自然な気がしてきたなぁ。
なんだけど理想は、その、ナイフが体を透過した瞬間に全てのことが一気にわかる感じなんですよね。
そうなると、ヒロインが友達と歩いているときに「ここで去年他校の子が車にはねられて死んだんだって」と友達が噂する。で、ヒロインは去年やってきた転校生であり……。「ヒロインちゃんってその他校から転校してきたよね? 事故のこと知らない?」ヒロイン「あー、うんうん。他のクラスの、よく知らない子だったけど。緊急全校集会が開かれて気をつけろって言われたなぁ」そんなのを伏線にしておく。
うーん……これまでに考えた設定ぜんぶ吹っ飛ぶなぁ。やめとこう。これだといろいろ辻褄合うようにできない気がする。
でも伏線というのは大事です。
評判になっているパワースポットを通りかかったとき、友達が、「でもここ、やばい場所だって言われてるよ。去年、そこのおじいさんが最初に見つけたんだけど、ものすごい量の血溜まりができてて。私も見たけどすごかった」他の友達が「マッチョな人が車にひかれたんでしょ。そんで車は逃げて、マッチョはイテテ……って言って家に帰った」「イテテで済む量じゃないんだってそれが。道の端から端まで真っ赤で、事故だとしたら絶対に致死量だって言われてた。おじいさんが『邪魔だから』っていって勝手に片付けちゃったからそれ以上騒ぎにならなかったけど」「へー」「おじいさん曰く、『これは鶏かなにかの血だ。嫌がらせに違いない。きっと三丁目の連中だ。こういうことは昔よくあった』でも血溜まりを拭き終わったあとから、ほら、そこに残ってる、とんでもないブレーキ痕が出てきたんだよね」「なんかこわっ」「その場所が、今はゼロ磁場のパワースポット。これぜったいなんかあるよ」
ヒロイン「ね〜お腹すかない? クレープたべにいこうよ」
どうなんだこれ……。自然にぶちこめるかな……。
今調べてわかったんですけど、パワースポットというのはゼロ磁場といわれている場所が多いようですね。そのへんの説明もヒロインの友達にさせましょう。
住宅地にゼロ磁場のパワースポットがあるってどうなんだろう。変じゃないのかな……。うーん。でもとにかくここだと、携帯のGPSが機能しなくなるし、コンパスの針は狂いすぎてバキッと壊れます。それでみんな、世界一のパワースポットだとありがたがっているという。「住宅街にパワースポットとかあるの?」「結構あるらしいよ。ここの他にも見つかってる」「インチキくさいな……新手の町おこしかな」
ゼロ磁場というのは地面の断層のところに発生するらしいんですね。その断層がおおきいところにものすごいパワースポットができるんだとか。だから断層云々いわれていない普通の住宅街に世界一のパワースポットができるのは異常なことになります。
もうそこはなんか、魔界の仕業ってことにしましょうか……(笑)そこに異次元穴があいていて、ヒロインは最終的にそこの敵と戦うんですよ。刑務所から脱獄した殺人鬼を連れて……。
こんなふうにブラックボックスをつくっていいんだろうか? なんにせよこれ以上は保留ということで。
文字数も多くなってきて携帯の動作もおかしくなってきたので、今回はこのへんで切って、次は殺人鬼の設定を考えます!




