娘の名前
優菜が子供を産んでからの祐輔は、
毎日のように子供の様子を
見に来ていた。
優菜は、娘を愛おしく抱いて
授乳室で授乳をしていた。
娘の授乳は、混合でやっていた。
「あなた、来ていたんですか?」
「あぁっ、おまえと
大切な娘だからな」
「3時間ごとに授乳だから大変よ。
これが夜中にもするんだって。
家に帰ったら大変だわ。
あっ、そうだ。
この子の名前、決めなくちゃ」
「その名前だけどな、
父さんが決めたんだ。
オレたち夫婦をつないでくれた
幸せな子供という意味で
幸子とつけたんだ」
「幸子、この子に似合ってるわ」
「幸子がいたから、オレたちは
夫婦になれた。そして、幸子が
生まれてきて幸せをオレたちに、
もたらそうとしている。
優菜、これから幸子と一緒に
家族で暮らしていこう」
優菜は、幸せだった。
愛する人の子供を産むことが
できたことがうれしかった。
祐輔が、そばにいてくれる
だけでいい。
幸子を産んだことで、
幸せを感じていた。
祐輔も、同じ気持ちだった。
自分と優菜との間に、幸子が
生まれたことがうれしかった。
一時は、優菜も幸子も失うのではと
不安になっていただけに、
優菜が幸子を産んだことが
なによりの幸せだった。
これから家族のために、
一家の主として支えていきたい。
そう願うようになっていた。
「優菜、おめでとう。
よく頑張ったな」
「お父さん、お母さん」
「ご無沙汰しています。
お義父さん、お義母さん」
「今日は、初孫の顔を見に来たんだ」
「ありがとうございます、
娘の顔を見てください」
祐輔は、優菜の両親と
優菜と一緒に新生児室に行った。
「かわいい子だな。
顔立ちのはっきりしている娘だ。
祐輔くんに似たのかもしれないな」
「お父さん」
「優菜、祐輔くんと
幸せに暮らすんだよ。
父さんたちは、おまえたちの
幸せを祈っているからな」
こんなに祝われて幸子は、
本当に幸せな子だ。
祐輔は、優菜の両親の優しさが
うれしかった。
祐輔の両親からも大切にされて
幸子は幸せだと感じていた。
これから、家族が増えることに
なったとしても
幸子が生まれたことは
忘れないでいよう。
祐輔は、優菜の家族の温かさに
癒やされていた。
そして、自分も優菜と幸子のために
温かい家庭を築いていきたいと
そう思うようになっていた。