1話 転生します。
[異世界に行ってみたい]
それが僕、八木沢晴斗の夢である。
中学生2年になった頃に異世界モノのラノベにハマり、そんなことを夢見るようになった。
···まさかその夢が叶うとは、思ってもいなかった。
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今年から高校生になり、それなりに充実した日々を送っていた。
成績は中の上。
スポーツは平均レベル。
友人もそこそこいる。
彼女はいない。
···最後のは充実してないが、今の日常には満足している。
学校に行って授業うけて軽く部活して友人と駄弁りながら帰宅して。
そんな毎日がこれからも続くんだろうと思っていた。
その日もいつも通りに学校に行って、朝のホームルームが始まるまでの空いた時間に教室で友人の田中と駄弁っていた。
(因みに田中は中学生の頃からの友人で、僕と同じくラノベ好きである。)
「八木沢、昨日のニュース見たか?どっかの高校生が1クラス丸ごと行方不明になったってやつ。」
「あぁ、たしかそんなのやってたね。」
「あれな、異世界召喚されたんじゃないかって思うんだ。」
「だったら羨ましいな。」
···なんて事はない日常会話だった。
でも、それが田中と僕の人生最後の会話だった。
突如教室の床に歪んだ円に囲まれた複雑に絡み合う線が現れ、眩い光を放った。
教室のあちこちから声が聞こえる。
「なんだなんだ!?」
「え?!何だよこれ?!」
僕は確信した。
これは間違いない。
異世界に召喚されるやつだ。
そう思った直後だった。
体がふっと持ち上がるような感じがしたと思うと、全身に激痛が走った。
そして、意識を失った。
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気がつくと、辺り一面真っ白な空間にいた。
これは···女神的な人にスキル的なものを貰う流れだな。
そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた。
「どーもー。君の世界と君達を召喚した世界を繋いでる男神のオデインです。」
振り向くと後ろには小学生位の体格で、中性的な顔立ちをした男が立っていた。
「···神様なのに随分軽い口調なんですね。」
「神に会って第一声がそれかい?それに君、死んだってのに随分落ち着いてるんだね。」
···え?
どゆこと?
え?
「え?」
「何?」
「僕、死んだんですか?!」
「うん。」
「召喚されたとかじゃなくて!?」
「うん。まぁ、召喚される筈だったんだけどね。」
「何でですか?!死因は?!」
「えーと、···召喚時に時空間の移動をする際に肉体が負荷に耐えきれず体が破裂して死亡した。···って報告書に書いてあるね。」
「マジですか。俺だけ死んだんですか?」
「えーと、26人の召喚対象の内、召喚に成功して無事に異世界に行ったのが8人。召喚に失敗して教室に取り残されたのが14人。僕がうっかりミスで全然違う世界に飛ばされたのが3人。つまり死んだのは君一人だね。ドンマイ。」
「···貴方のミスで別世界に飛ばされた人はいきてるんですか?」
「うん。多分大丈夫だよ。で、このまま君が死んだままってのも可哀想だし、召喚されるはずだった世界<ペルス>に転生させてあげよう。」
まぁ、召喚であれ転生であれどちらにしても憧れていた異世界に行けるなら嬉しい事だ。
「ありがとうございます。」
「それでね?転生させてあげる代わりと言っちゃあれだけど、やって欲しいことがあるんだよ。」
「何ですか?」
「えーと、君の転生するペルスについて教えてから説明した方がいいかな。」
====ペルスについて(要約)=======================================
·魔法や魔物が存在する、ファンタジーな世界である。
·RPGのように、魔物を倒すなどするとLVが上がる。
·剣士や魔法使いなどの天職というものがある。
·スキルという、便利な能力を10歳の時に1~5個与えられる。
·スキルには、戦闘系、生活系、特殊系の3種類が存在する。
·この内、戦闘系と生活系は鍛練を積むことによって習得できるが、特殊系だけは与えられる事でしか入手出来ない。
·純人族、亜人族、魔人族といった種族が存在する。
·魔人族の中で最も強いものは魔王と呼ばれ、世界を脅かす存在とされている。
·しかし実際は人間にとって有益な魔物を生み出したり(意図はしていない。)増えすぎた人口を減らしたりと世界の均衡を保つのに不可欠な存在である。
·魔王が力をつけすぎて、純人族と一部の亜人族が全滅しかねない状況になった場合、[勇者]などの強大な力を持つ天職を持つ子供、英雄候補が1~4人位生まれる。(神がランダムに与える。)
·魔王が倒されたとき、倒した者が英雄となる。
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「と、まぁそんな感じでバランスを保ってきたわけだよ。で、ここからが本題。僕のうっかりで英雄候補の子供が生まれ過ぎちゃってね。ざっと22人。だからパワーバランスが崩壊寸前なんだよ。なのに異世界からも強い力を与えられた人を召喚しちゃったんだよ。つまりバランス崩壊。完全にOUT。魔人族全滅。人口爆発。飢餓地獄。世界崩壊。みたいな未来が待ってる。」
···それは普通に神にも責任があると思う。
「···でね?君にお願いしたいことってのが、英雄候補の{間引き}なんだけど、いいかな?」
「間引きって言いますと?」
「早い話、殺して数を減らしてくれって事だね。」
「嫌ですよ!世界を救うためとはいえ、人を殺せるほど精神が強い人間じゃないです。多分。」
「英雄候補なんて言われてるけど、何も善人とは限らない。力があるのを良いことに、好き勝手に暴れまわってる人もいるよ。それにやってくれるなら、特典として君が憧れるチート的なものをあげてもいいんだけどな。」
「やります。いや、別にチートが欲しいとかって訳じゃなく、困ってる人を助けるために。」
「そりゃあ良かった。じゃあこの中から転生特典を選んでくれ」
神がそう言うと、目の前に半透明な黒いボードが現れた。
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·鑑定[全] 視界に入ったものに使うと、対象について調べることができる。
対象が生物なら名称、Lv、能力値、スキル、天職を調べられ、
対象が無生物なら名称、用途が調べられる。
·多機能収納(無限) 無生物なら無限に収納できる空間を作り出せる。
·無限魔力 魔法を使うときなどに消費する[魔力]を、無限に作り出せる。
·全魔法適正 ありとあらゆる魔法を使える。
·神器入手 10~15才の間に神器(神が作り出したすごい武器や道具)が手に入る。(ランダム)
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「さぁ、どれがいい?3つまでいいよ?」
まさに異世界転生って感じの能力だな。
しかしまあ、1ページ5つで100ページあるってことは、500種類ぐらいあるんだな。迷う。
戦闘系の特典を取れば英雄候補を間引きやすくなるかも知れない。
「因みに、今回の魔王軍は今までで最強クラスの実力を持ってるから、異世界の英雄候補と現地の英雄候補の中から、6人くらい間引いてくれれば、魔王とその部下達でも英雄候補と互角になるかな。」
6人間引けばいいんだな。
間引くなら当然戦うわけだ。
どのくらい強いのかぐらいは知っておきたい。
「勇者達の実力ってどのくらいなんですか?」
「まぁ、強大な力を持つとはいっても、3人居たら小さい街位なら1日で滅ぼせる程度だね。」
···街を1日で滅ぼせるのか?!
「転生特典を受け取ったところで勝てる相手じゃ無くないですか?!」
「大丈夫だよ。現地の勇者達が持ってるスキルよりも転生特典のスキルの方が強いし、異世界の英雄候補達に与えられるスキルは転生特典のスキルと同等のものが1個だけだし。」
「だとしたら、戦闘系スキル3個取れば勝てるってことですか?」
「そうなるね。でもただ強くなったとしても間引きの対象者を見つけられなきゃ意味がないからね。28ページ目上から3個目の、[選別]ってスキルがオススメだよ。その世界に存在する生物の中から、条件に合う生物の場所や詳細を調べられるスキルだよ。」
「便利ですね。···あれ?それだと1ページ目の鑑定がショボく見えてくるんですけど。」
「[選別]は、詳細を調べられるといっても、名称と天職、Lvしかわからないからね。性能で言えばまぁ互角ぐらいだよ。」
なるほど。
とりあえず、1つは[選別]にするとして、残りはどうしよう。
数十分掛けて500個に及ぶ転生特典に目を通す。
···どれも捨てがたい。
どうせなら魔法系もとっておきたいなぁ。
でもなぁ、あれもいいし
「···長いよ!かれこれ50分も待ってるよ?!早く決めてくれない?!」
「いや、でも、迷っちゃって、つい、なんというか、その。」
「···もういいよ。悩むんだったらどれ取っても同じってことだよね?」
そう言うと神は僕の目の前のボードを奪い取り、残り二つを勝手に決めてしまった。
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·神器入手 10~15才の間に神器(神が作り出したすごい武器や道具)が手に入る。(ランダム)
·適応 どんな環境でも、すぐに適応できる。
·選別 全生物の中から、条件に合う生物を調べられる。
調べられる事は、名称、天職、Lv、現在地の4個である。
以上三点を転生特典とします。
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「じゃ、これで決まりね。」
「なんで勝手に決めちゃったんですか!あと適応って何ですか!?」
「···そうだ。転生特典が利用可能になるのと記憶が戻るのは10歳になってからだよ。」
「せめて適応について教えてくださいよ!」
「あと、折角君の夢が叶ったのにすぐに死んだりしたら勿体無いでしょ。だから、一回だけ死を無効化する[加護]をあげるよ。」
「もういいですよ。···ありがとうございます。」
「うん。じゃ、頼んだよ。」
オデインがそう言うと、死んだときに感じたような浮遊感の後、意識を失った。
学生が暇潰しに書いた、適当で、行き当たりばったりな作品です。
生暖かい目で見守ってやってください。
更新ペースは不定期です。