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鄙の海へ
初めて見る海は、二人の姫にとって衝撃であった。陽射しを受け、煌めく水面は美しい事この上なく、二人の姫は輦車の窓から顔を覗かせ、護衛につく衛士を何度も注意された。それでも、宝物の様に輝く海は格別だった。近江国の琵琶湖は二度ほど見たことがあった二人の姫であったが、海は湖とは別格であった。
兵庫を過ぎると、行き交う人もまばらになる。山陽道にある播磨国にも近く、国境は住む人も極端に少なくなるのだ。兵庫の先で小休止した一行は、数刻で祖父母の住む鄙の海をに辿り着く。
初めて見る海は、二人の姫にとって衝撃であった。陽射しを受け、煌めく水面は美しい事この上なく、二人の姫は輦車の窓から顔を覗かせ、護衛につく衛士を何度も注意された。それでも、宝物の様に輝く海は格別だった。近江国の琵琶湖は二度ほど見たことがあった二人の姫であったが、海は湖とは別格であった。
兵庫を過ぎると、行き交う人もまばらになる。山陽道にある播磨国にも近く、国境は住む人も極端に少なくなるのだ。兵庫の先で小休止した一行は、数刻で祖父母の住む鄙の海をに辿り着く。