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手習ひ  作者: MOCHA
第1章 序章
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鄙への旅路

 京は周囲を山に囲まれ険峻(けんしゅん)である。道は広いものの、ニノ姫の容態を窺いながらの旅になるので、何度かの休憩が入り、なかなか進まなかった。一ノ姫も気疲れした。二人の姫にとって初めての旅であり、乗り慣れない輦車(てぐるま)で車酔いもした。輦車(てぐるま)の周りを衛士(えじ)に守らせているものの、夜盗や賊に備えなければならず、山を越えるまでは油断ができなかった。京の政変で、五畿七道(ごきしちどう)も整備がされなくなり、道のあちことに(わだち)でできた窪み穴があり、車輪が(はま)る度に車が大きく揺れるため、二人の姫は悲鳴を上げた。野犬の遠吠えにも怯える始末で、二ノ姫の心身は細るばかりであった。幸いなことに、夜盗や賊に襲われる事なく峠を過ぎる。


 山を越え、京のある山城国(やましろのくに)を過ぎると淀川沿いを平野が開け、今までの歩みが嘘かの様に海に辿(たど)り着く。下り坂が続くこともあり、車の引き手も楽になったのだろう。輦車(てぐるま)の速度も上がった。また、賊が蔓延(はびこ)る盆地である京から涼しげな風が吹く淀川沿いに入った事で精神的な余裕が出来たからかも知れない。付近は海の潮の香りが辺りを覆い始め、二人の姫は浮足立った。


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