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二ノ姫の療養
父から祖父母の住む摂津国への療養を命じられる二人の姫。二人の母親と別れ、住み慣れた京を離れるのに難色を示す。しかし、またいつ何時賊が忍び込むかも知れず、まともに衛士も雇えない様な状況ではどうにもならないと父は諭す。
健康面の不安もあった。いくら摂津国が近いとは言え、今のニノ姫の状態では徒歩で摂津国に向かうのは難しく、掾として赴任した国司の伝手で譲り受けた輦車(当時、皇族や大臣にしか乗車が許されていなかった人力で引く車)での移動を余儀なくされる。二ノ姫の病状を窺いながらの旅程になるので、困難な旅になるだろう。だが、若狭よりは旅程も少なく、療養には適していた。
二ノ姫は初め、二人の母と別れる事を拒んだ。二人の母も二人の姫と別れ別れになるのを嫌がった。一ノ姫は、自分が同行することで少しでも二ノ姫の不安を解消しようと努める。最後にはニノ姫も折れ、泣く泣く二人の母と別れて暮らすことを承諾する。