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裳着
時は流れ、二人の姫は13歳になる。裳着の儀式も済ませ、大人として扱われる。衛士を完全に掌握している二人の姫は、暇を見つけては右京や左京に足を運んでいた。余程危険な場所に足を踏み入れない限り、警護役の衛士は口を出してこないし、二人の姫も前もって京の治安を頭に入れていたので、危険は少なかった。13歳になって困ったことと言えば、大人になったことで、夜這いの対象になったことである。二人の姫は変わり者と評されており、まして右京の外れに来るような貴族はいなかった。たまに物好きの貴族が忍んで来ようとしたが、衛士たちによって退治されていた。屈強の衛士に追い払われた貴族達が、あの屋敷は危険だと噂を流すことによって、屋敷に来る者は皆無になった。結婚など考えていない二人の姫にとっては格好の状況であった。二人の母が嫁の貰い手もないとぼやかれるくらいだ。




