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手習ひ  作者: MOCHA
第3章 鄙の君
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鄙の君、命名

「年上の殿方を(いみな)で呼ぶのは(はばか)りがあると思うの」

 ある日、二ノ姫がそんな事を切り出した。

「そうね」

 宮中でも殿方どうしは(いみな)は使わず、官職で呼ばれることが一般的である。源氏物語で光源氏が近衛中将や大納言と呼ばれていたのと同じである。

「とは言え、官職を持っているようではないから」

 一ノ姫は至極(しごく)真面目(まじめ)に答える。

「そこでなんだけど」

 二ノ姫は勿体(もったい)ぶった言い方をする。

「?」

 物語を読んでいた一ノ姫が二ノ姫に視線を()る。

()()の君なんてどうかしら?」

 二ノ姫は心なしかドヤ顔で言った。(ひな)の海と掛けているのだろうか。

「姉様の思う通り、(ひな)の海を掛けているだけど」

 二ノ姫は言葉を切る。

「その、私の(ひな)も掛けてるのよ」

 二ノ姫はもごもごと言った。その一言で一ノ姫は全てを察する。二ノ姫の本名は「高階(たかしな) (ひな)」。「(ひな)の君」に「(ひな)の君」を掛けているのだと察した。

「ふうん・・・(ひな)の君、ねえ」

「な、何かしら?」

「正綱様が『ひな』の意味を知ったらねえ・・・直截(ちょくさい)的だわ」

「・・・・・」

 ニノ姫は顔を真っ赤にさせ、二の句も告げなかった。

 

 後日、(ひな)(ひな))の君と呼ばれるようになった正綱は面映(おもは)ゆそう。それでも、正綱と本名で呼ばれることに不安を感じていたので、一安心といったところ。まあ「(ひな)」ではあまりにも失礼に当たると思い、一ノ姫は事実を正綱に説明したが・・・

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