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手習ひ  作者: MOCHA
第3章 鄙の君
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囲碁三昧

 暑い日が続き、体調が回復した二ノ姫も連日の暑さに耐えきれず、()せる時があった。眠っている二ノ姫の邪魔をしない様、二ノ姫と正綱は祖母の部屋を借り、囲碁を打っていた。石を打つ度に凛とした音が響き、二人の集中力が増した。

 対局の最中、二人は局面に集中しているため、本当に他愛のない会話に終始する。

「姫は祖父殿とも打たれるのですか?」

「ええ・・・最も、祖父の期待に応えられる様な相手ではありませぬが」

「戦績は?」

「そう・・・3分7分(くらい)ですか」

「えっ」

 正綱は思わず石を落としそうになった。

「?」

 二ノ姫は不思議そうに正綱を見る。直視するのは相手に失礼と思ったのか、二ノ姫は頬を染める。

「いえ・・・何でも」

 正綱は言葉を濁す。実際、姫の祖父と正綱の棋力は差がありすぎ、平手(ひらて)では祖父がよっぽどの失敗を犯さぬ限り、勝つことはなかった。最初は置き石も増える一方で、全く勝てる気がしなかった。棋力に差がある場合、置き石と言って碁を始める前に石を予め差に応じて置けるのだ。将棋で言う駒落ちと同じである。ただ、同じ相手に同じ置き石では()いてしまうので、たまに平手(ひらて)で打つ事もするのだ。正綱は祖父殿が孫娘に対して手加減しているのかと思った。

 二ノ姫が石を打つ音がする。

(!)

 厳しい手だった。受けを失敗すれば右隅の黒石は全滅する。

(3分7分・・・か)

 二ノ姫の言葉が偽りでないことを正綱は身を()って知った。

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