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手習ひ  作者: MOCHA
第3章 鄙の君
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四季折々

「そう言えば、3日前(くらい)から雨が降らなくなりましたね」

 会話の合間(あいま)に一ノ姫が何気なく呟く(つぶや)。正綱は暫し(しばし)思考した後、

「梅雨が明けたのかも知れませぬ」

 と宣う。

「梅雨、明け・・・ですか?」

「日ノ本では四季があります。冬・春・夏・秋・・・梅雨は春と夏の間にあります。梅雨が明けると本格的な夏が始まります。気温が高くなり、この地方では(なぎ)が多くなり、とても暑くなる」

 正綱の申す通り、ここ数日は暑く蒸す様な天気が続いている。

「我慢できん」

 二ノ姫が御簾(みす)を上げてしまう。余程(よほど)暑さに耐えきれなかったようだ。正綱と一ノ姫はぎょっとする。この時代、女性が未婚の男と御簾(みす)もなく顔を合わすことがなかったため、二ノ姫の行動は大胆だった。一ノ姫も負けじと御簾(みす)を上げる。ぽつんと座っていた正綱は二人の姫の顔をまじまじと見てしまう。二ノ姫の容姿を見るのは初めてだった。一ノ姫は祖父殿と囲碁を(たしな)んでいた時に見たことがあるのでそれほど驚かなかった。美しき一ノ姫と可愛らしき二ノ姫。見目は違うものの、異母姉妹の割にはよく似通ったところがあると正綱は思う。

(父親似なのかな)

 正綱はふと思う。

「私と妹の母達は姉妹なのです」

 正綱の思いを察した一ノ姫は、二人の母は姉妹であることを告げる。

 正綱は合点(がてん)がいったように手に持った扇子(せんす)を手で叩く。


 それ以後、二人の姫は御簾(みす)を上げたままで対面するようになり、正綱も屈託のない二人の姫に慣れていく。

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