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手習ひ  作者: MOCHA
第2章 徒然
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文士

 梅雨も半月も過ぎると、二人の姫は祖父母の屋敷の離れの部屋で横になっているか、うとうとと微睡(まどろ)んでいた。気温が高くなったせいか、夜も眠れぬ日々が続いていたのだ。

「何か面白きものはないか」

 が二人の姫の口癖になっていた。

 ある日、祖父がそんな二人の姫を見兼ねて、文士(ぶんし)を呼んでみないかと言う。

 二人の姫は、

文士(ぶんし)?」

 と首を傾げる。聞き慣れぬ言葉だった。祖父が文士(ぶんし)とは物語や随筆を書くことを生業(なりわい)にしている者だと説明する。物語や随筆を書くのはてっきり女官(にょかん)だと思っていた一ノ姫は意外に思う。祖父は祖母に意味ありげに睨まれ、コホンと咳払いをする。

「もし、お前たちがよければ、だな」

 と取ってつけたような言い(ぐさ)をする。二人の姫は顔を見合わせる。

「まあ、無聊(ぶりょう)を慰めてくれるのでしたら」

 と祖母も同調する。

 祖父はこんな雨続きでも足繁く外に出掛けていた。祖母に行く先を聞くと、

「また、()()に行ったのでしょう」

 と溜め息交じりの返答しか返ってこない。二人の姫は首を傾げるばかりだった。

(この様な(ひな)文士(ぶんし)などと教養ある人がいるとは)

 一ノ姫は不思議に思う。

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