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災厄の蟲使い 前編  作者: トワ
狂った街
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悪魔

魔晶石のようなものは激しく光りだすとその光を強めていく。それはこの場に相応しくないほど幻想的で、見る人を魅了するような者だった。それと同時にとんでもない何かが出てこようとしているのが直感ではあるが感じとる。


「封印石か……」


そんな中ゼフは呟く。


「へえ、よく知ってるね」


「何度か見たことがあるだけだ。 それにしてもこの封印石……」


「知ってるならわかるよね。 この中にどんな化け物が入っているのか」


「ああ、分かっている」


ゼフは口には出さないが、この部屋にある封印石はあまりにも小さい。ゼフが今まで見た封印石は最小でも皇城ほどの大きさがあり、最大は太陽ほどの大きさを持っていた。もちろんそんなものに入っている化け物に挑む覚悟はゼフにはなかったので挑まなかったが、少なくとも数百万の犠牲が出たと言われている。


「そろそろだね」


レンがそう言うと、封印石に少しずつひびが入りはじめ、隙間から白い聖なる光が漏れだす。


「それにしても君が、この間に僕を殺そうとしないなんて意外だよ」


「お前には生きて罪を償ってもらうからな。 こんなとこで殺してしまってはもったいない」


(勿体無い?)


レンはゼフの言い回しに違和感を覚える。しかし、それは自分の考えすぎだと思いすぐに忘れる。何故なら、封印石が放っていた聖なる光が漆黒に染められたからである。


「君は後悔するだろうね。 僕を殺さなかったことを。 そして、最強の怪物が現れるのを待ったことを」


「ククククク、お前も後悔するだろうな。 死んでいないことを」


次の瞬間、封印石はが割れる。その中からゆっくりと姿を現したのは異形のものだった。体長は3mほどあり、頭の右と左にツノが付いている。爪は鋭く、牙は鋭利である。目つきはこちらを絶望に落とすほど混沌である。そして、極め付きは筋肉である。腕や足は丸太のように太く、これで殴られてしまえば、ひとたまりもないと思えるほどである。


「悪魔か……」


「そうさ、それにただの悪魔じゃない。 数百人という勇者の聖なる魂を取り込んだ最強の悪魔さ」


レンはその悪魔に近づくように歩く。


「頭が…… 頭が……」


悪魔は野太い声で苦痛を訴える。


「やあ、僕はレン。 早速で悪いけど契約してもらうよ」


「契約か、我の満足する生贄はどこにある」


「ここにあるよ」


「ふむ、たしかに普通の魂が2つ、聖なる魂が4つ、

そして……」


悪魔は黙とゼフを凝視する。


「我が見たところお前は人間のようだが、本当に人間か?」


「人間だ、悪魔共は口を揃えてそれを言う。 全く不愉快だ」


「人間ということにしといてやろう。 それで契約だが、現在を持って完了した。 レン、お前は我と一心同体になり、その力を得る」


「それは光栄だよ。 フフフ、これでもう僕に勝てるものはいない。 さあ、ゼフどうする?」


「大したことない、それにお前は俺に勝てない。 その悪魔も含めてな」


「我が勝てない? ハハハ、たとえお前のような異様なものでも42柱が1つ剛腕のデーモンであるこの俺が負けるはずないだろ」


「大層なものだな。 そんなに言うなら来いよ?」


「そうだな、お前を殺して、ここにある聖なる魂は美味しくいただくとしよう」


デーモンは体を震わせる。それによってデーモンの体は数倍に膨れ上がる。


「死ね、人間が」


デーモンが拳を振るう。その拳はゼフに当たるが、ビクともしない。


「なんだと⁉︎」


「デーモン、あそこの蟲を殺さないと奴にはダメージが遠らはないよ」


デーモンはアイアンGを見る。


「そういうことか」


デーモンは再び拳を握る。


「お前如きがアイアンGの防御力を突破できると思うのか?」


「残念だが、人間。 お前は少し勘違いしてる。 俺が突破するんじゃない。 この蟲がどれだけ耐えれるかだ!」


大地を震わすほどのその拳はアイアンGを軽くひねりつぶす。そして、ゆっくりと拳を上げると笑う。そこには潰されてしまったアイアンGの姿があった。


「おかしいな、この建物を壊すつもりで殴ったんだが……」


ゼフは内心焦っていた。


(こいつ化け物か。 俺が咄嗟に城全体に防御魔法を何重にもかけなかったら、皇都がなくなってたぞ。 それに、アイアンGが一撃でやられた。 つまり、俺の攻撃魔法は効かないに等しいな)


ゼフは攻撃魔法は下位のものまでしか使えなかった。だが、防御、隠蔽、阻害などサポート系や妨害系などの魔法は超位まで使えた。魔法には下位、上位、超位、絶位の順であり、下から15段階、10段階、5段階、1段階に分かれている。ちなみにゼフはサポートだけは超位の3段階まで使うことができる。


「さて、次はお前だ」


「なかなかやるな。 まさか、アイアンGが一撃とは」


「ふん、あの程度どうってことなどない」


(こいつおそらくインセクト・ドラゴンなどの凶種と同じレベルの強さだな…… 少々厄介だな)


ゼフは少し考える。結果、こんなとこで勝てないよりマシだという結論に至る。


「俺は慈悲深い。 最後の言葉ぐらい聞いてやらんでもないぞ」


ゼフはその場から動かない。そして、ゆっくりと口を開く。


「お前は強い。 だからこそこんな手段を取らざるを得ないことを残念に思う。 誰も勝てない圧倒的な化け物を持ってお前を排除する」


「恐怖で頭がおかしくなったのか? まあ、いいだろう」


デーモンはゆっくりと近づき拳を構える。ゼフは相変わらずその場からうごない。但し恐ろしい化け物の名を口にする。


「遊んでやれジ・ザーズ」


デーモンは拳を放ったが、それは届かなかった。


「――テレポート――」


デーモンはゼフによってその場から飛ばされてしまい、他のものは呆気に取られるのだった。


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