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災厄の蟲使い 前編  作者: トワ
狂った街
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亀裂

たとえ信頼できる仲間だとしても信じてはいけない。この言葉を出てくるときにゼフから言われ歩夢は自分の部屋のベッドの上で悩む。もしかすると圭太が嘘をついてる可能性があると。この結論に至った理由としては単純で、ゼフが圭太が言うような悪人には思えなくなってきたからである。


(ゼフ先生は私達が強くなるために特訓してくれたり、私達の心配をしてくれている。 本当に圭太が言うような人なの?)


歩夢は頭を使い考える。ゼフが魔力眼を持っているものを協力者で探しているのを助けるために圭太を紹介すべきなのだろうか。


(もし、ゼフ先生が犯人だとするなら魔力眼を持つ人物をそばに置いたら危険はずなのに……)


その他にも、もし圭太が言っていたことが本当だった場合、アヴローラの事件の犯人だとバレる可能性があるからである。


(だけど、もしも、もしも…… 圭太が嘘を言っていた場合……私達が危ない)


だが、ゼフにもそこまでしてでもやらなければならない他の狙いがある可能性もある。だが、歩夢はそこまで思い至ることはできなかった。


「さてと、今だけはこのことを忘れよう」


そう言い頬をパシャリと叩く。


「それにしても楽しみだな〜」


歩夢は期待に胸を膨らます。なんと言っても今日は城でのパーティに初めて参加するのである。


「服はどれがいいかな?」


歩夢は無邪気に服を選び着替える。そして、服を選び着替えて10分後にに扉がノックされる。開けるとそこにはいつもの3人がいた。


「歩夢、準備できたかい?」


「できたよ」


そう言い出て行く。その姿は水色のドレスであり、非常に綺麗であった。真里亞は赤であり、男性陣は全員見たことないスーツのようなものを着ている。


「うん、似合ってるよ歩夢」


圭太にそう言われると、お世辞とはわかっていても頬を赤らめてれてしまう。


「お前、何言ってんだよ。 この天然やろーが」


翔太は圭太の背中をそう言いながら叩く。


「歩夢、あんた似合ってるわね」


「ありがとう。真里亞も似合ってるよ」


「そう言ってもらえると嬉しいわ」


それぞれが今の服装を褒め終わったところで会場となる部屋へと向かい出す。


「そういえばみんな最近調子はどうだい?」


歩いてる途中に圭太が不意にそんなことを聞き出した。


「全然大丈夫だぜ」


「私も」


翔太と歩夢がそう言うと真里亞が口を開く。


「私は前よりも確実に強くなってるから順調と言うべきかしら」


真里亞がそれを言ったことによって圭太が何を聞きたいか2人とも察する。


「俺も強くなってるから安心してくれ」


「私も前までの私じゃないです」


「そうか、よかったよ。 これで問題なく進めれるよ」


圭太が決意のこもった顔つきになる。歩夢はそれを見るが、彼が何を考えているかわからなかった。一体誰が本当で誰が嘘か。


「今日は、みんなには前に言ってた僕が信頼できる人に会ってもらうけど大丈夫かい?」


「ああ」


「うん」


再び歩夢と翔太が答える。


「別に大丈夫だけど、そういうことはあまりこういう場所で言わない方がいいわよ。 まぁ、聞かれてたとしても誤魔化せる内容だからいいけどね」


「ごめん真里亞。 次から気をつけるよ」


話してるうちにこの城にある扉の中で一際豪華な扉の前に立つ。間を空けずに開くとそこには巨大な部屋が広がる。いくつものテーブルが並べられておりその上に豪華な食事が並んでいる。すでに人は200人を超えるであろう人数がいるが、まだスペースには余裕がある。


「あれ? もしかして勇者様じゃない?」


勇者達が初めて入ったその部屋に見惚れていると、すでに部屋にいた1人の貴族の女性から声が上がる。


「本当だ、勇者だ」


そこからどんどん広がり最終的には入り口が詰まりそうなほど人が寄ってくる。


「勇者様、お初にお目にかかります。私エナーと言います」


「わたくし、ドルモンテと言います」


次々に挨拶をしていく。この者達は勇者達に気に入られ上の階級に行こうと必死なのである。


「勇者達が困ってるじゃないか」


ふとそこに1つの声が響く。貴族達は後ろを向いて見てみると、そこには一人の男が立っていた。赤く染まった服が似合った男であった。そう、その人物こそが皇都の現ギルドマスターであり、圭太達が今日会う人物である。


「レンさん!」


圭太はレンに近づいていく。貴族達は勇者の知り合いがレンと知ってからか、はたまた別の理由かはわからないが、さっきまでのことが嘘のように静かに元いた場所に戻っていく。


「やぁ、久しぶりだね圭太」


「お久しぶりです、レンさん。 さっきはありがとうございます」


「別に大したことはないよ」


そんなことを話していると歩夢達が圭太に追いつく。


「この人がそうなの? 圭太」


「ああ、そうだよ。 紹介するよ、この街の冒険者組合ギルドマスターのレンという人だよ」


「レンというものです。 勇者様方」


「そんなにかしこまらなくていいですよ。 それに例の件の協力者ですから」


「そうかい、それならそうさせてもらうよ」


「とりあえずは1時間程したら例の場所に来てください」


「わかったよ。 まあ、まずはパーティを楽しみなよ」


「はい、ありがとうございます」


それを言うと離れていく。それからは勇者達は時間の許す限りパーティを楽しんだ。翔太と真里亞は圭太が信頼する人物と言っていたのでそこまで疑うことはなかった。しかし、歩夢の心の中にはさっきのこともあってか完全に信用することができなかった。そうしてあっという間に1時間が経った。









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