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災厄の蟲使い 前編  作者: トワ
狂った街
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能力

ゼフは生徒達にとりあえず自分にやったように今召喚できる1番強い魔物を召喚させた。しかし、召喚した魔物は予想はしていたがあまりにも弱い魔物であり、つい溜息が溢れる。


「なるほど…… カイモンはウルフ、デニーはハイスライム、アヴローラはフレアバード、歩夢はリトルドラゴンか……」


ゼフは他の3人はともかく勇者はもう少しマシな魔物を召喚できると思っていたので改めてこの世界のレベルの低さを実感する。そして、生徒達はお互いの魔物を褒めあい、特に勇者の召喚した魔物にはより一層褒められていた。


「みんなすごいな、僕なんかただのウルフなのに上位の魔物を召喚できるなんて」


「あら、カイモンのウルフも使い方によっては強くなるはずよ、私もウルフを召喚できるようになりたいわ」


「歩夢さんすごいね。 ドラゴンを召喚できるなんて」


「そうかな? みんなの魔物も強そうだよ」


「でも、歩夢のドラゴンがこの中では一番強いわね」


「ドラゴンを召喚できるなんてすごいよ、それにドラゴンを召喚できるから他の種族も召喚できる筈だよ」


「えへへ、みんなありがとう」


ゼフはその光景を見て虫唾が走る。そして、生徒達の話の中の気になる点を見つけたので口を開く。


「残念だが、お前らドラゴンが強いというのは昔の話だ。 今は種族関係なしに一定の化け物はいるもんだぞ」


「そうなのですか? それよりもどうですか私達の魔物は」


「この際だからはっきり言わしてもらうが、そんな雑魚じゃ話にならない」


「「「「えっ……」」」」


生徒達はゼフにはっきりと言われ、ショックで固まる。確かにデスワームと比べれば弱いだろう。だからか妙にのだ納得する自分がいた。


「それに今の会話からなぜ召喚士が不遇な職になっているかだいたい見当がついた。 お前ら召喚できる種族はどれくらいだ?」


その質問にショックを受けている生徒達を代表して自信満々にアヴローラが口を開く。


「私は計5種族の魔物を召喚できますわ」


「他の奴もそうか?」


デニーとカイモンは頷く。歩夢だけは何が何だかわからずあたふたしている。それを聞いたゼフは頭を抱えながら重い口を開く。


「種族は1種類に絞れ」


ゼフから放たれたその言葉は生徒達にとって衝撃的だった。この世界では召喚士は普通種族の弱点を補うために複数の種族を持つことが一般となっている。だが、ゼフはそれを全て否定したのだ。アヴローラはその疑問を解消するべく質問する。


「ゼフ先生、 そんなことすれば弱点を補えなくなるじゃないのですか?」


「それに関しては問題ない。 言ってもわからないと思うから自分でやって実感した方が早い」


そう言われアヴローラ達は渋々了承すと、ゼフに言われそれぞれどの種族にするのかを考え始めた。そして、全員が決めたと思ったところでゼフは何にしたかを聞くため口を開く。


「お前ら決まったか?」


全員が首を縦に振り頷く。ゼフはデニーを見据える。


「まずはデニーから教えてくれ」


「僕は種族をスライムにしました」


それに続いて他の生徒達も答え始める。


「僕は獣を選択さしてもらったよ」


「私は一番使う鳥を選ばしてもらったわ」


「私はよくわからないけどドラゴンを選んだよ」


「とりあえずは最初の種族選択は合格というところだな。

ちなみに1種族に絞ったからって今すぐに効果は出ないから勘違いはするなよ?」


「ゼフ先生合格というのはどのような基準で行ってるのですか?」


カイモンがゼフに質問すると少し笑いながら答える。


「簡単な話だ、自分の今召喚できる最強の魔物の種族を選んだら合格、選ばなければ不合格というわけだ」


「理解しました、ありがとうございます」


カイモンはお礼を言うと下がる。


「他に質問はあるやつはいないか?」


誰も質問することがないとわかるとゼフは次のステップに進むため話を続ける。


「さて、じゃあ次にお前らにやってもらうのは自分の限界まで魔物を召喚しそれを維持するだけでいい」


「それは一体何の特訓なのよ」


「これは基本魔力向上の訓練だ。 お前らを見る限りかなり魔力が少ないようだったからな」


生徒達は歩夢以外は召喚士にとっての魔力の大切さを理解している。だから、首を縦に振るだけだった。


「そんなに魔力って召喚士に重要なの?」


ゼフは歩夢からの予想外の発言に少し戸惑うが落ち着き冷静に返答する。


「かなり重要だ、それになくなれば召喚士は何もできないからな」


「そうなんだ、教えて下さりありがとうございます」


歩夢が本当に理解しているかわからないので、少し言葉を添える。


「もし、わからないことがあればまた聞きに来たらいい。 俺は毎日この時間にここにいるからな」


生徒達がそれを聞き頷くのを確認すると、再び話し始める。


「それじゃあ今日は少し早いがこれで終わりにする。 帰るときに魔物を最大限に召喚してどれくらい維持できたかを明日報告するのを宿題とする。 では、解散」


そう言うと生徒達は立ち上がり魔物を召喚しお礼を言って戦闘場から出て行く。ゼフも生徒達が出て行った後立ち上がり明日授業で使うものの準備に取り掛かり始めた。









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