1/28
第一部 プロローグ
花束が空に浮いている。
それが弧を描きながらまっすぐに私の方に飛んできているのを見て、手を伸ばせば確実に私が手に取ることを悟った。近くには誰もいないのだから、私のものにすることができる。次に幸せを掴むための儀式。
これを受け取ったら、彼女とのすべてが終わってしまう気がする。それでも彼女は私に向かって、あの花束を放ったのだ。
清々しいほどに晴れた、優雅な青空が見える。花びらをほんの少しだけ散らしながら、段々と視界の多くを埋めていく花束が見える。
花束が――。
長さ的には短編になると思うんですが、なろうのシステム上長編作品として投稿します。
投稿間隔はゆっくりめだと思いますが、おつきあいください。