問題追求
ごめんなさい、お待たせしました。
「さて、どういう事か説明してもらおうか」
白斗がドスの効いた声で言う。
現在、神崎家リビングにて。白斗は父親とこの国の王子である理仁を椅子に座らせて仁王立ちしている。
「いやー、徴兵令出したの僕だけどさー、学校行けるわけないじゃん?」
「それはそうだけど、本人の確認もなしに何やってくれてんのぉ!?」
「え、でも保護者には確認とってあるし……」
「え?」
父親である満に視線が集まる。
当の本人は、やたら視線を泳がし汗をダラダラかいていた。
「いや、まず話が急だったからさ……あと、仕事終わって久々に帰ってきて安心してたから完全に頭から、そのね、なんていうかさ」
「おう」
白斗の目は冷めきっていた。
「忘れてた!テヘペロ☆」
「よし、親父てめぇ表出ろ。今なら理仁先輩が人払いしたばっかだから人いねぇだろうし、思う存分できるわ」
「やめて!?非戦闘系能力にお前が本気出したら軽く三昧卸になるだろ!」
「だったら、なんでせめて昨日のうちに言ってくれなかったぁぁぁぁぁぁあ!!!」
白斗の体から白い魔力が漏れ出て部屋に充満し始めていた。
青筋を立てて切れまくっている白斗に理仁が追い打ちをかける。
「今日徴収することにはなっていたけど、その事を神崎博士に伝えたのは1週間前だよ」
「親父、追加だ」
「な、なんだ?」
椅子から若干腰を浮かせて逃げようとしている父親を尻目に堂々と言い放つ。
「息子の大事な話なら真っ先に俺に連絡を入れるだろうが普通!容赦しねぇ、手加減しようと思ってたけどできそうにねぇわ!」
「悪かった!悪かったてばぁ!」
はたから見たら完全なDVである現場を見て、理仁がにこにこしている。
「なんだよ、ニコニコしないでください。怖いな」
「いや、白斗にこの上なくいい話があるんだけどもなぁ」
「どうせ、ろくでもないことでしょ?」
父親の襟首を持って吊し上げながら返す。
正直、ここまで独裁的なことをされると信じられるものも信じたくなくなってくるものだ。それが本当のことだとしても。
「空乃ちゃん」
「!!!」
「ぐぇっ!?」
理仁の言葉にビックリし、掴んでいた手を離す。当然落下して尻を床に叩きつけ悲鳴をあげる。
だが、白斗にはそんなことは聞こえてもないし、話したことを近く出来ていない。
白斗に重要なことはそこじゃないのだ。
「空乃が何だって?」
「空乃ちゃんが通っている学校がね偶然僕と同じ学校なんだよねー」
白々しい。偶然な訳あるか。
白斗はそう思った。
けれど、
「来る?その学校にさ」
その問いには
「あぁ」
頷く。
白斗に拒否する理由がない。
学校を退学させられ、行く宛がない状況で学校への切符が出されているのだ。乗るしかない。
そして、空乃。
その子に久しぶりに会いたいと思ったのも事実。
どちらにしろ得がある。
「ただ、徴兵令としてはどう処理されるんだ?」
「いや、その学校はさ軍学校なんだよ。だから問題がないよ。」
そこで、ため息をつく白斗。
正直1日で、ここまで環境を変えることになるとは思いもしなかった。
満に振り返る。
「異論は?」
「あるけど言えないわ」
完全に数瞬の間空気になっていた満はプルプル震えながらそう返した。
不定期なりがちなので頑張る。