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眠りから覚めた時、昨日の出来事が嘘ではないことが分かった。
右肩から右肘までのびた切り傷。こめかみに鈍い痛みを感じ、視界も霞んでいる。
そうか。昨夜、俺は負けたのか。肩の痛みを堪え、ベッドから起き上がった。
頭が重い。針金で何重にも縛られているようだ。
そんな俺の頭を携帯の着信音が執拗に刺激する。
「もしもし。」
「あー、もしもし?副隊長!今何時だと思ってるんですか!」
ふと時計を見ると針は11時を指していた。
「10時から会議なの忘れてるんですか?」
「悪い。今から向かう。」
西野の甲高い声がまた頭を刺激する。
今日は1か月に1度開かれる連絡会議の日だった。
各部隊の責任者が集まり活動報告を行う。
倉田隊長に会うのも久しぶりだな。
重い体を動かし、本部へと向かった。