原爆投下
原爆投下
そしてすぐ、ドガンッ! と大きな爆音が届き、地面が揺れた。瓦礫が崩れているようだったけれど、その音はかき消されて届いてこない。
「伏せろ!」
隊長が大声でそういう。僕はとっさにしゃがんだ。隣の隊長は、頭を抱えてベタッと地面にうつ伏せていた。僕は横目でそれを見て、すぐに真似をした。
グワッー! と爆音が波に乗って向かってくるような音が響いてきた。それと同時に、空気が揺れ、爆風となり僕と隊長の頭の上に襲い掛かってきた。地面に伏せていても感じる衝撃、服はバタバタとなびき、手にはビリビリと痛みを感じていた。
その時間はかなり長かったと思う。頭の上では、瓦礫や石などだけでなく、いくつもの悲鳴が通り過ぎていくのが感じられた。人間や悪魔、妖怪たちも飛ばされていたと思うよ。
風が止んでからも、隊長は少しも動かなかった。死んでしまったのかもしれないと思ったよ。僕の体には触れなかったけれど、飛び交う瓦礫などが服を掠めたり、すぐ近くの地面にぶつかる音などが聞こえていた。
「生きていますよね?」
僕はそういいながら隊長へと顔を向けた。隊長の首が、ゆっくりと動いた。
「あぁ、もう大丈夫だな。第二波がくるかとも思ったが、一発で片付いたようだ」
隊長が立ち上がるのを待ってから、僕も立ち上がった。
「人間の仕業・・・・ なんですね。核を使ったということですか? 映像で見るとの桁違いですよ。いったいどこで? あんなに大きなきのこ雲が、あんなに遠くに浮かんでいる」
立ち上っていた煙の塊は、宇宙にまで届いているようだった。
「この世界は、本当に終わってしまうかもしれないな」
僕と隊長が立っているその場所に、それ以前の瓦礫の山は無くなっていた。地面にいくつかは転がっていたけれど、三百六十度の荒野が広がっていた。
「どこの国が落としたんですか?」
「君は知らないかもしれないが、この国も核を持っていたんだ。こういうことがあるかもしれないからな。他の国でも投下しているはずだ。我々は自分たちを守るためにと、敵へ攻撃をする。それが自分たちへ返ってくることを考えずにな。俺と君は被爆者だ。死んでしまうかもしれない」
そんなセリフを隊長は真剣な眼差しでいっていた。笑ったりはしなかったけれど、僕は少し、おかしく感じてしまった。
「他の隊員は、死んでしまったんですか?」
「それはわからない。けれどここからなにも見えないということは、そうかもしれない。我々の部隊はここからそう遠くないところで戦っていた」
「天使たちも?」
僕がそういったとき、遠くに浮かぶ人影が見えた。僕にはそれが、天使たちであることが自然とわかったんだ。何故なのかなんて聞かないでほしいよ。わかるもはわかるんだとしか、いいようがないんだから。




