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プロローグ
――澄み切った青空。雲ひとつない晴天であり、太陽の光が地に平等に注がれ、上をぐわっと見上げれば地球が丸いということが身を持って実感できる。
地上では桜の花が満開で、風が吹けば儚く散ってしまいそうなほど。
季節は、春。花粉が飛び始めているが、花粉症になりにくい体質であれば比較的過ごしやすい季節だ。体感気温も寒くもなく暑くもなく。道では真新しい制服に身を包んだ学生たち、かっちりしたスーツをぎこちなく着た新社会人たち。
春といえば? ――出会いの季節。
その出会いが、もしかしたら人生をぐるりと変えてしまうかもしれない。もしかしたら何も変わらないかもしれないが…ともかく。
四月上旬、本日は晴天なり。