教育勅語概要~今の日本に必要な道徳の教材~
0,教育勅語について
教育勅語は明治時代に日本政府が策定した教育指針である。この教育勅語が生まれた背景には明治維新以降の日本に欧米文化が流入し、欧米文化に対する憧れなどから学校教育に極端な個人主義や自由主義が取り入れられ、教育そのものが荒れたことに危機感を持った明治天皇陛下や政治家などが自国の教育指針を明らかにするために制定したものとされている。
教育勅語は明治天皇陛下の側近であった儒学者の元田永ざねと井上毅が中心となって編纂したものだ。
教育勅語の内容は後述するが、御名御字、つまり、明治天皇陛下の御言葉で語られると言う形式で構成されており、これは明治維新以降の日本が国家元首たる天皇陛下の下で国家を形成した立憲君主制の国民国家と言うことを示すために、この形式が取られたそうだ。
当時の日本は文化的な発達は目覚ましかったが、軍事技術などの科学分野が欧米諸国よりも遅れていたことから、国民の団結を通して、欧米からの侵略から身を守る必要があったことと当時の日本政府および日本国民が欧米諸国からの侵略に危機感を抱いていたことも背景にある。
これらの日本の外向的な事情や教育事情などからそれらを改善するために策定されたのが教育勅語である。因みに、教育勅語は英語、ドイツ語、フランス語、漢語などで訳されており、各国から道徳の教材として高い評価を得ている。
この辺りのことは育鵬社が出版している日本史の教科書などに日本の立場から詳しく書かれているので、教育勅語が誕生した背景をより詳しく知りたい方はそう言った本を探すことをお勧めする。
私はこの教育勅語はもっと人の目に触れることを願い、教育勅語本文を解説をすることで教育勅語の復興を行いたいと思って、これを書く。
参考図書は産経新聞出版の渡辺昇一氏監修の「国民の修身」と言う本である。また、ここでの教育勅語の本文は読みやすいように一部改変をしている。
1,教育勅語概要
本文:朕思うに、我が皇祖皇宗が国を始めること宏遠に徳を樹つること深厚なり。我が臣民は良く忠に、良く孝に、億兆の心を一にして、世世その美を成せるは此れ我が国体の精華にして、教育の淵源また実にここに存す。
概要:私(ここでは明治天皇陛下)が思うに、私の祖先である皇宗(天照大御神の子孫とされる神武天皇)が建国をし、永きに渡り、国が続いてきたことは、その徳が広く及んでいるためだろう。我が国の民は国に忠義を持ち、孝行の心を持ち、国民が心を一つにし、代々その美徳を成せるのは国体の成果であり、これが教育の本分が実を結んだ結果である。
解説:ここでは、日本と言う国家が永く続いてきたのは日本国民が国に忠義を持って、孝行をし、心を一つにして、それらの美徳を成してきたからであり、それこそが国体の成果であり、教育が目指すべきものだ、と言うこと。国が永く続いてきたことと教育の本質についてを述べている。
本文:爾、臣民、父母に孝に、兄弟に友に夫婦相和し、朋友相信じ、恭儉己を持し、博愛衆に及ぼし、学を修め、業を習い、以て知能の発達を啓発し、徳器を成就し、進んで公益を広め、世務を開き、常に国憲を重んじ、国法に遵い、一旦緩急あれば、義勇公に奉じ、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし。かくのごときはひとり朕が忠良の臣民たるのみならず、また、以て爾祖先の遺風を顕彰するに足らん。
概要:国民は父母に孝行をし、兄弟、友人、夫婦仲良くし、友人を信じ、常に謙虚になり、周りには親切であるよう心掛け、学業を身に修め、それを通じて自分自身を磨き、徳のある人物となって、自ら進んで社会の役に立ち、仕事に精を出し、常に国の憲法を大事にし、国の法律を守って、一旦国難があれば、勇気を持って国に身を捧げ、それを通して国の末永い平和を成すべし。これは私(天皇陛下)も国民も守るべき祖先から受け継いだ遺訓であり、これを体現するために努力をしなくてはならない。
解説:国民の心得を説いている文章。親孝行をしましょう。兄弟や友人や夫婦仲良くしましょう。傲慢にならず、常に謙虚な気持ちを持って、周りには親切にし、学業に努めて、これを修めて、徳のある人になりましょう。そして、社会をより良くするために働き、仕事をきちんと行い、憲法を大事にして、国の法律を守りましょう。また、国が脅威に晒されたならば、勇気を持って、国のために身を捧げ、国の平和を守りましょう。これは明治天皇陛下も国民も守るべき祖先の遺訓であり、これからも成していくべきものです。と、国に属する人ならば、誰もが納得するような常識的なことを明治天皇陛下が教え諭す形式で書かれている。これを軍国的だと言う方もいるかもしれない。しかし、親孝行が美徳であることは今も変わらないことだし、謙虚に学ぶことも美徳であることは今も変わらないことだし、憲法や法律の遵守は改憲をするにせよ、しないにせよ、一般論としては当たり前のことだ。また、国が災害などの脅威に曝されたとき、多くの人が募金やボランティアなどを行いましたよね?勇気を持って国に身を捧げることは何も軍隊に入ることだけではない。本当に自分の出来るささやかなことでも、それを実践することで国に身を捧げると言うことになる。つまり、社会貢献をしなさいよ、と言うことだ。それらの常識や美徳には、どこかの国のように特定の国への憎悪を植え付け、その国の民が特定の国に攻撃的な姿勢を取らせるような軍国主義的な発想はどこにもないのである。まぁ、どことは言わないですけどね。
本文:この道は実に我が皇祖皇宗の遺訓にして、子孫臣民の共に遵守すべき所を古今に通じて誤らず、これを中外に施して、悖らず、朕爾臣民に拳拳服膺して皆その徳を一にせんことをこい願う。
明治二十三年十月三十日 御名御字
概要:この道は私の祖先であり、建国の父である皇宗の遺訓であり、国民やその子孫は皇族と共に古今を通じて道を外れずに遵守すべきものだ。これは国内外で実践し、この道の道理を守り、私と国民はその道理を心にしっかりと留めて、その徳を皆で成し遂げることを私は望む。
明治二十三年十月三十月 御名御字
解説:教育勅語全文にある人として踏まえておくべき道徳を皇族と国民は一緒になって、その道徳を実践出来るように努力をし、それを国内・国外で実践しましょう。と言うことを明治天皇陛下の御言葉で語られている。
3,私見~日本を普通の国にする小さな一歩を~
読者が賛同するかしないかは置いて、私個人の意見を最後に述べさせてもらいます。
「教育の最終的な目標とは何か」と言うことですが、国家が行う教育の最終目標はその国の立場に立って、行動したり意見をしたりすることが出来るようになることにあります。
更に、世界への貢献などは、まずは自国への貢献から始めていくことから始まるものだと、私は考えています。
最初から世界に貢献しようとしても、結局、人はどこかに属していなければ、まともになにかをすることは出来ないのです。
国際貢献であれ、自国への貢献であれ、国のバックアップや企業のバックアップや家族の支えがあって、始めて実現するものだと私は思います。
そして、自分のアイデンティティーとは自分の故郷やその生まれた国で培った思い出などから形成され、それがその人の人格形成に大きく関わるのだと思います。
ところが、今の祖国である日本を見ると、教育現場ではそう言った当たり前のことをきちんと教えるのを嫌ったり生徒を育てるはずの教員が生徒に暴力を振るうなどの本来はあってはならないことが横行している現実があります。
正論を言えば、感情的になり軍国主義的だの右翼だのと騒いで、何も考えずに他人の意見を封殺しようとする人が多いとも思います。
これがなぜ起こるのか?私自身は、それは現代の日本で道徳と言う人が社会で生きていく上で必要な共通認識が欠如した結果だと、そう考えています。
道徳はその社会における共通認識、つまり、常識です。だから、イスラム教圏やキリスト教圏などの道徳にはその宗教圏の色合いが強くなっています。
何が言いたいかと言いますと、単刀直入に言えば、こうなります。他人の持病を公の場で嘲るような人や国家元首に対しての礼儀を弁えない人などが日本に数多くいるのは、こうした道徳の欠如から来るものであり、その空白がある限り日本は一向に良くならないのではないか、と言うことです。
国を作るのは良くも悪くも、その国に住む国民です。ならば、国を変えるにはその国に住む人が意識的に変わる必要があるのではないか、と私は思っております。
今の私も含めた日本人に足りないのは、教育勅語に記述されているような人として、その国の民として、ごくごく当たり前かつ遵守すべき普遍的な道理なのだと思うのです。
私達日本人が変わるには、まず、私達が意識的に道徳と言うものを見直して、その道徳を一つ一つ着実に実践していく必要があるのではないでしょうか?
正論を正論として述べられる社会。故郷を愛し、故郷を想える社会。親を大事にし、子孫を守り育てられる社会。他にも、日本人が理想とする社会の像があるとは思いますが、それを実現するにはその国を成す大きな要素である国民の意識改革が必要なのです。
「すぐに変われ」とは言いません。ただ一つ一つを積み重ねて、一つ一つを一人一人が変えていくことが大事なことだと思います。
そのために、今の私達日本人に足りていない道徳と言うものを手始めに「教育勅語」から学んでみませんか?
あなたが理想とする社会を形成するには、一人一人の力が大切なのだと少なくとも私は確信しております。
そして、それが日本人が切望している戦後の呪いを絶つための最良の一手であるとも確信しております。
ある日本人の内心であります。
4,余談
教育勅語の学習方法について触れます。簡単な方法は「音読」をして、教育勅語を自分自身に馴染ませることが一番良い方法だと思います。
それから、教育勅語について、自分なりの理解をしていくと良いでしょう。
また、教育勅語にあることを一つ一つ小さなことから実践してみること。たまに親孝行をするとか、困っている人に親切にしてみるとか、そう言った小さなことから積み重ねることで大分変わることもあると思います。
この教育勅語は産経新聞出版から出ている渡辺昇一氏監修な「国民の修身」と言う本に、戦前の教科書である修身と一緒に掲載されております。
興味のある方はそれを読んでみるのも良いかもしれません。
この文を読んでくださった方々には感謝の意をここで述べさせていただきます。
参考図書:国民の修身 渡辺昇一監修 産経新聞出版