9 ストレス発散は愛しの彼で
ふと見たら、お気に入り件数300ですと…!?(( ;゜Д゜)))
たくさんの同士の皆さんを発見できて恐悦至極に存じます!
つたない文章ではありますが、ゆるりとお付き合いください。
「沙耶!あの子、一体何者!?」
「え?普通のいい子じゃない?」
「絶対違う。くそう、沙耶の前では猫かぶりしてるな」
のほほんと首を傾げる沙耶は、絶対に蓮君の素の顔を知らない。知っていたら「普通の子」なんて単語は出てこないだろう。
曰く、大人びてはいるが、特に目立ってはいない。必要以上におしゃべりでもないから、むしろ目立たない方だとか。
あ、パーティーで飲み食いすることは、ほとんどないらしい。
何となく納得いくのが納得できない。
あの時どうして私に声をかけられる位置にいたのか、ずっと不思議だった。本当に隅の方にいたから、意図して来なければ会話なんてしないはずだ。
飲み食いしなければおしゃべりでもない、だったら静かな隅の方に来てもおかしくない。
おかしくないけど、もやっとする。
考えていても答えが分かる訳じゃないので、奈緒と一緒にカラオケでストレス発散する事にした。もちろん機種はジョイ一択ですとも!
「炉心融解いっきまーす!」
「あんたの高音域半端ないよねえ」
「任せろ、小学校からいつもソプラノ担当だ」
炉心融解ってカラオケランキングでもいつもトップ圏だけど、みんな本当に歌えているんだろうか。奈緒が呆れるのも当たり前なくらい高いよ、サビ。鬼畜音域だよ。
ちょっと頑張れば一番高い音にも手が届くから、現在の目標はこの曲が自由に歌えるようになること。いつになるやら。
次は奈緒が某ジャニーズの曲を歌って、二人で踊っちゃったりして。いいよね、Si!古いと言われようと、あの曲好きだ。ついでとばかりにセニョリータに抱いてもらって、アミーゴな青春もしてしまう。
「ちょい休憩。小春が歌ってて」
「はいよー」
さすがに喉が疲れたらしい奈緒とバトンタッチして、適当に何曲か入れる。全部ボカロなのは仕様です。暴走したレン君可愛いよ!ナースにメイドにスク水巫女服、どう見てもただの変態です、本当に(イヤァァァァァァ!)って、自分で墓穴掘ってお仕置きされるレン君可愛いよ!
歌いながら自分も暴走していると、休んでいたはずの奈緒から「落ち着け」と突っ込みをいただいてしまった。チョップが直撃した額が痛い。
サビはすごくいいのに、そこ以外がとても残念な曲だと思う。いや、好きな曲だけど。
右肩の蝶はレンバージョン。変調するところがすごくいい。リンとレンのどちらのバージョンが先にできたのかは知らないけれど、リンの方はレンよりも病んでいない気がするのは私だけだろうか。
ワールドイズマインは奈緒に歌ってもらった。見た目と性格的に、私よりも奈緒の方がしっくりくる。私はこっち向いてbabyまでしか無理だ。
その後も奈緒が男性グループの曲を歌ったり、AKBを二人で踊ったり、そんなことをしていたらストレスは綺麗さっぱりなくなった。
「あー、歌った!」
「相変わらず、あんたと行くとカオスね」
「自覚はある。直そうとは思わない」
「思え!」
はたかれた頭は痛いけれど、あの爽快感には勝てない。私からボカロの歌を取ったら何が残るというのか!ふた昔ぐらい前の曲しか残らないぞ!
あーやっぱりレン君可愛い。同じ名前でも蓮君とは大違いだ。
男の子は喰えない澄まし屋よりも、ヘタレでいじり甲斐がある方がいい。だって、男の可愛い仕草は、小さい時しか許せない。でかい男がやっても殺意しかわかない。
「……もう少し、可愛げがあればいいのに」
「誰が?」
「蓮君」
独り言のつもりが奈緒にも聞こえていたようで、肩をすくめたら苦笑された。一部始終を見ていたから、多分沙耶よりもずっと本性を知っているだろう。
「あの子強烈だよねー。小春があそこまで押し負けたの、初めて見たわ」
「まさかリアル中学生に負けるとは……」
「でもまあ、あれじゃない?蓮君ってボカロのレン君と同じ年でしょ?これを機会に三次元に」
「移行したら真正の変態だボケ!」
ショタ好きなのは二次元なんだってば!