一話目?
昼休み。
僕は背筋を伸ばしながら窓の外を眺めていた。
晴れ渡った春の空は暖かく眠りを誘う空だった。
「一夜、じじくさいんじゃないの。」
隣から明るい感じの声をした幼なじみが椅子から立ち上がりそう言った。
上坂智絵
(かみさか ともえ)。
小学校からの友達で
基本明るいかわいい感じの子、男子の美人ランキングでも上位にいつも食い込んでいる。
「そうかな?」
と僕は少し笑って。
「日差しが気持ちいから、眠くなって。」
「確かに一夜の席は日差しがよく当たるからね。」
と楽しそうに智絵は、
「明後日は行けそう?」と聞いてきた。
「明後日?…あ、大丈夫だよ!一緒に買い物に行く約束だろ」
それを言うと智絵は笑顔になって
「そっか、よかった……覚えててくれた。」
と笑っている。
「逢坂 一夜君は智絵君とデートかな?」
後ろからもう一人の幼なじみがにやにやと笑いながら寄ってきた。
八代 新
(やしろ しん)
中学の時に偶然知り合いそれ以来親友のような感じの付き合いだ。
「デートじゃないよ。ただ二人で買い物に行くだけだよ。」
すると新は
「世間ではそれをデートと言うんだよ。」
と僕と智絵に言うとはやすように
「デートだデート」
僕は呆れて新を見ているとさっきから智絵が話しに参加してない事に気が付いて智絵を見ると顔をほんのりと朱くした智絵がいた。
智絵は
「デート…一夜とデート…」と呟いていた。
「どうしたの智絵?」
心配になったので声をかけると智絵は飛び上がるじゃないかと思うぐらいに驚いていた。
すると新が
「智絵、残念だな。一夜は超が付く鈍感だからな。」
「そうなんだよね…」と二人から諦めたような責めているような視線を感じた昼休みだった。
その後、三人で購買部に行った。
僕と新はおにぎりを智絵は牛乳を買う為に。
廊下を歩きながら、
「一夜は幸せだな、智絵みたいな可愛い幼なじみがいて。」
と新がからかうような声でそういうと。
僕は、
「確かに智絵は可愛いから自慢出来るね。この子は僕の幼なじみです。てね」
と智絵の方を見ると、智絵は壁側で深いため息をついていて新は黙って智絵を見ていたが、
「はあ」と首を振って僕の方に顔を向けて
「俺にも来ないかな〜春。」
智絵は
「もっと積極的にアプローチしないと解んないのかな…」と呟いていた。
昼飯を三人で食べた後、僕は図書室に向かった。
借りていた本を返す為に。僕は自分で本を買う事は滅多にないだろう。
たまに勉強の資料として図書室に無い時に買う位だ。
返却を終え、時間が有ったので書架の間を見て回る。
本棚の中程まで見て回ると一冊の青いカバーの文庫を見つけた。
僕は何となく手に取ると読み始めた。
話しの粗筋は、交差点で偶然に目があった。二人の少年と少女の悲しい話しだった。




