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プロローグ
雑踏の中を僕は歩く。
暖かい日差しの中。
僕は考え事をしながら家に向かっていた。
そんな春の爽やかな風が吹くある日。
僕は初めて君に出会った。少女はとても綺麗な黒髪を風に踊らしながら堂々と道を歩いていた。
(綺麗な黒髪だな。)
僕は素直にそう思った。
少女はこちらに気が付き僕を見て驚くような顔をしたが直ぐに笑顔になるとこちらに手を振って歩き出してしまった。
(今の子華奢な体つきにしては手足がすらりと長くて長いまつげと大きくて吸い込まれそうな黒眼が可愛かったけど…
存在感が少し薄いような…でも、可愛かったな。
でもあの子は何で僕に手を振ったんだろ?
きっと見知ってる人に似ていたのかな)
この時僕は単純に考え過ぎていた。
僕の人生はこの女の子と出会った時から歯車の様にくるくると廻っていたのだろう。
止まらない歯車のように。




