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入学したのに④
体が熱くなり、徐々に呼吸が浅くなる。
今にも飛び上がりそうだが、それ以上に入学できるという事実を受け入れ切れていなかった。
入学許可書が間違えられたものではないかと、何度も疑った。
だが、学園への入学は嘘でも偽りでもなく、本当の事だ。
そして、現在に至る。
窓の外に建ち並ぶ建物が映ると、「あ、見えてきたぁぁぁぁ!」と、もっと見ようと幼い子供のように顔を押し当てる。
地元では、電柱以上の建物を見ることは無かった。
王都へはいると、見上げても先が見えない建物がいくつもある。
駅のホームに入り、次第に列車の動きが落ち着いていく。
「あ、ちょっと……」
ゆっくり荷物をまとめる間もなく、列車から降りる人々に押し出された。
「す、すごい! 何もかもがキラキラのぴかぴかだ」
ガラス張りのホーム。
お洒落なカフェで談話を楽しむ人々。
見たことのない極彩色のアイス。
可愛い雑貨屋。
至る所に半透明の看板。
人も、物も目に入るもの全てが輝いて見えた。
荷物を引きながら、駅を出ると────巨大なクジラがいた。
ビルとビルを通りながら、町を優雅に泳いでいた。
吹き出された潮は、キラキラと輝き町へ降り注ぐ。




