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2、精霊

『ん?呼んだ?』



「…」



(状況を整理しよう。空中を飛んでいる何かが俺の前にいる、精霊…と言ったら目の前にそれっぽいやつが現れた、以上。…いや以上じゃないが。)



「精霊…?見えないんじゃなかったっけ?」



『精霊…その呼び方嫌い!ピネアって呼んで!』



「えぇ…でも精霊なんだよね?」



『そうだけど!貴方も他の種族から名前じゃなくて人間って呼ばれたら嫌でしょ!』



(…なるほど。こんな小さな子に論破されてしまった。)



「ごめん、えっと…じゃあピネアはなんでここに居るの?」



『貴方が呼んだんじゃない。精霊〜って。』



(言ったっけ…)



「…俺はなんでせいれ…ピネアのことが見えてるの?」



『うーん…分かんないけど…貴方のお父さんかお母さんが精霊見える人なんじゃない?たまに遺伝するらしいわよ。』



「それって本当?」



『ほんとほんと。このピネアちゃんを信用しなさい!』



嘘をついている感じはしなく、ピネア自身も絶対的な自信があるようだ。



(親…まぁ公爵はないだろう。そんな力を持っていたらもっとひけらかすような人だろう。となると母親…アナはマーガレット様って言ってたっけ。)



「もしかしたらそうだったのかも。でもそれだけで見えるようになるものなの?」



『多分?でもまぁそれを抜きにしても貴方凄いわよ?私たちが好きなタイプだしね。』



「幼女に好かれてもあんまり嬉しくない。」



『貴方も子供のくせに…ませちゃったのね!』



(もうすぐアナが昼食を持ってきてしまう。あと一つ二つくらいなにか聞きたいが…)



「…俺が精霊に好かれるのはなんで?」



少し悩んだ末にピネアに問う。



『私たちは人間の魔力を食べてそのお返しに魔法を出してあげてるの。だから魔力量が多くて魔力の質が良い、つまり美味しくていっぱい食べられる魔力を持ってる子のことが大好きなの。』



(なるほど…)



「他の人には見えな…」



コンコンコン。

「アラン様、昼食をお持ちいたしました。失礼します。」



「あ、」



他の人にピネアが見えるのかどうか質問したかったが、残念なことに時間切れになった。



(まぁ恐らく見えないだろうが…万が一が怖い。アナなら見られても口が堅いだろうが…)



『うん?なに?』



俺はピネアの方を1度見てから覚悟を決め、アナを招き入れる。



「ありがとうアナ。」



「失礼いたします。こちら昼食でございます。食べ終わりましたらいつも通りベルにてお呼びください。」



「分かった。昼食後はなにか予定ある?」



見えてはなさそうだが、ピネアとアナが同じ視界内にいる事に冷や汗が出る。



『この子は魔力量はそれなりね。目の前にご馳走があるだけで悪くはないのだけれど…』



(怖いから人のいるところで喋らないでくれ!!)



「昼食後は1ヶ月後に控えた第1王子との面会のためにマナー指導を行います。」



「分かった。ありがとう。じゃあ食べ終わったらまた呼ぶね。」



「承知いたしました。では…」



アナがドアから出ていったのを確認し、ピネアに話しかける。



「ふぅ…焦ったぁ…ピネアの姿は他の人には見えないんだね。」



『そうよ。貴方が変なの。』



「変?特別とかじゃなくて?」



『えぇ変よ。私たち精霊も定期的に情報交換をするのだけど…貴方の年齢で、しかも魔法を使っていない子供が私たちを認識しているなんて見たことも聞いたこともないわ。』



「確かに特別ってより変って方がしっくりくるな…というかピネア以外にも精霊が居るんだね。」



『えぇ。数自体は少ないのだけれど注意して探さないでも見つかるくらいにはいるわよ。』



(話を聞けば聞くほど疑問が湧き出てくるな。)



「…ま、いいか。結局答えは出ないし諦めた。」



そう言い俺は昼食を食べ始めた。





──────





「それでは、マナーの勉強を始めます。ですがまずは王家についていくつか注意点があるのでそれについて話します。」



「はい、よろしくお願いします。」



昼食を食べ終わり、予定通りアナによるマナーの授業が行われる。ピネアには気が散るのは嫌なので家の中を散策してきてもらっている。



「現在、王家には3人の子が居ます。第1王子、第2王子そして第1王女です。今回アラン様には公爵様の指示より、第1王子のお相手をしてもらいます。第1王子はアラン様と同じく5歳なので友達にさせて王家との繋がりをより強くしたいのでしょう。」



(自分が無理だからって子供を使うなんてすげぇな公爵様。)



「…そして大変言い難いのですが…第1王子はとても気難しい方と言いますか…使用人たちや国王が手を焼いているとの事です。」



(なるほど俺の役割は爆弾処理か。)



「どんな感じなの?」



「気に入らないことはやらない、気に入らない人はクビにする、気に入っても飽きたら捨てる、とても上に立つ人とは思えない、どうか第2王子に次代の国王になって欲しい、というのが聞き込みを行った使用人たちの評価です。」



「…」



(聞く限りは最悪じゃないか。それの相手をしないといけないのか…)



「今まで城につれてこられた友達候補全員に手を挙げたという報告もございます。」



「…分かった。もう大丈夫だよ。」



「…本当はアラン様に会わせたくもないのですが…仕方がありません。なるべく穏便に済ませられるように今からマナーを学んでもらいます。」



そう言ったアナの顔には不安と怒りの感情が合わさって出てきている。



「うん。じゃあよろしくお願いします。」




(まぁ…子供の扱い方なんて分からないからなるべく何も起きないように祈るしかない…よな。)



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