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第13話:ずるいわ、亜智

第13話:ずるいわ、亜智


1.日常:合理に塗りつぶされた王都

停戦交渉のため、劉斗、亜智、ゲンゾウが訪れた王都。

街の掲示板には『バランスバイク民生品発売・予約受付中』という広告。

軍用に開発した技術を即座に経済へと転換し、

利益を回収するフリーダの抜け目なさ。


『選べる仕事、軍、工、農――あなたの適性活用』

と書かれた求人広告が並んでいます。

「職業なんてものは、親の背中を見て継ぐもんじゃろう」

ゲンゾウが嘆く。


中央広場には、ラウンドアバウト(円環交差点)ができていた。

奇妙な乗り物の治安維持員たちが巡回していた。

「なんだ、あの二輪車?」

劉斗が驚きの声を上げます。

それはナノハが現代知識で再現したバランスバイク。

機動力とコスパを両立させている。


2.デリカシーのない「使者」

交渉を前に、一行が通されたのは、王都の新交流拠点、コーヒーハウスだった。

オラクルとフリーダに出迎えられ、

芳醇な香りを放つ直火式エスプレッソを振る舞われた。


亜智が店内を見渡すと、壁のポスターが目に入った。

『運命を越えた逃避行、舞台化決定!』

『あらすじ、王宮を飛び出した魔女が森で出会った少年を救い、

追っ手を振り切りながら愛を誓う』


亜智は引きつった笑いを浮かべる。

「(銭ゲバ)フリーダ。どこかで聞いたような話ね?」

フリーダは涼しい顔。

「身分違いの恋愛劇は、『ロミジュリ』からありますし。

続編のアイデアがあれば相応のお支払いを」

亜智は頭を抱えた。主犯のオラクルは扇で口元を隠し、微笑む。

「時間ですね、ではご案内いたします」


3.交渉の幕開け:信義

王宮の会議室の円卓には、銀髪のビスクドールが置いてある。

伊織、ナノハが椅子に座っていた。


「伊織。停戦交渉のテーブルに、その『お人形さん』を座らせるわけ?」

亜智の問いに、伊織は即答した。

「姿がどうあれ、彼はC9の一員。戦友は見捨ない」

亜智がドールを凝視する。

「チートの燐光、ユゴスと同じ」

人形が返事をした。

「テケリ・リ」

劉斗が椅子に座った。

「わかった。伊織、あなたは信用できそうだ」


4.システムの誇示:蒸気の胎動と「銀輪」の拒絶

ナノハが立ち上がる。

「コーヒーのお味はどうでした?直火式エスプレッソは単なる嗜好品ではない。

あれは蒸気機関のプロトタイプよ。外を見てくれる?

私たちは、個人の武勇を失っても、組織と技術力を手に入れつつある」


広大な練兵場では、先ほどの(バランスバイク)銀輪部隊が、

一糸乱れぬ動きで陣形を展開した。

「銀輪により、魔法使いや歩兵の機動力は飛躍的に向上。コストも最小限」

亜智がため息交じりに言う。

「『閲兵式』には出さない方がいいわ」

ナノハが首を傾げる。

「規律や新技術を誇示する、普通でしょう?」

亜智のため息が大きくなる。

「兵士たちが必死に地面を足で蹴って進む姿、

現地人からは馬を買えない貧乏軍隊に見えるわ」


「文化の壁、ね。次」

大砲が爆音とともに、何かを打ち出す。

「火薬がないなら、『爆発魔法』を砲身内に発現させ、弾丸を射出する」

魔法使いが3グループに分かれ、交代で1点に連続して打ち込む。

「三段撃ち、詠唱のタイムラグをなくし、面制圧を実現。これが私のカード」


ナノハが亜智に小声で話しかけた。

「……ゾティークをお墓で弔ってくれたと聞いた。おじさんの最期を教えて」

亜智は思い出すように言う。

「最後まで勇敢だったって、ナノハに伝言してくれって」

「……!ちょっと、それ、『伝言してくれ』の部分は言っちゃダメだよっ!」

思わず漏れたナノハの本音。完璧な元帥の仮面が剥がれ落ちた。


「おじさん、劉斗に一騎打ちを申し込んだの。亜智とは戦いたくない、

死んでも嫌だ。……もう死んでるけど?って」

「……おじさんらしいわ。本当に、バカなんだから……」

ナノハは椅子に座り、溢れそうになる涙を必死に堪える。

亜智は真っ直ぐ問いかける。


「私はおじさんの気持ちを尊重したいと思ってる。ナノハ、あなたはどう?」

「……ずるいわ、亜智」

ナノハは視線を落としました。


6.女王の出奔と不穏な兆候

亜智が室内を見回す。

「そういえばレギーナは?」


ナノハが立ち上がった。

「龍脈遺跡のピケットライン(哨戒線)に魔王軍が多数。

新たな召喚を警戒して集まった?このシンボルはーーレギーナ!」

伊織が立ち上がり、装備を手早く整える。


「すまぬが、交渉は中断だ。先行するぞ、ユゴス」

王宮の外では街道へ向け銀輪部隊が戦地へと展開していきます。

ナノハは亜智と劉斗に言います。

「私が指揮を執り、魔王軍は私が引き受ける。

だからクイーン(レギーナ)を頼むわ!」

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