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第9話:何とかしてやる

第9話:何とかしてやる


王都会議室

「アルベルトは消失。相手は完全に人間に擬態、軍の探知網から逃れたアンノウン」

ナノハは視線を動かした。人形のような美青年に話しかける。

「ユゴス。あなたの知り合いに、こういう人間に化けるタイプは?」

ユゴスは肩をすくめる。

「……あいにく、僕は友達が少ない方でね」

ナノハがため息をついた。


「アルベルトの敗因の分析。アンノウンに魔法が通用しない可能性が高い。

対抗策は物理攻撃」

ナノハの視線が、――ゾティークで止まる。


「ゾティーク、魔王軍の戦線は伊織とユゴスに任せる。

あなたは敵の位置を特定して。

無限に蘇生できるあなたなら、増援と包囲を完了させるまでの時間を稼げる」

ゾティークは立ち上がる。


「……アルベルトは、俺が元の世界へ連れて帰るはずだった一人だ。

それを殺されたんだ。……身内として、ケジメだ」

ナノハが示した地図の「盤外」――道なき点を、ゾティークは睨みつける。

「概略位置はここよ。道はないけれど……」

「……ああ、俺は死なない。いや、『死ねない』、だったな。――何とかしてやる」


ゾティークが会議室を退出する際、ユゴスの足元から、分体が音もなく分離。

それはゾティークの影に溶け込み、彼を監視・追跡し始めた。


ゾティークが「何とかしてやる」と口にした瞬間。

ナノハは召喚された遺跡の記憶を思い出す。

恐怖に震えていたナノハの前に、一人のおじさんがいた。

「何とかしてやる。お嬢ちゃん、アメ食べるか?」

差し出されたアメ玉、その手も自分と同じように少し震えていた。

「私、高校生よ。この制服、みんなと同じでしょう!」

「……そうか。小中一貫校だと思った」

「それを言うなら中高一貫校でしょ!?いや、そもそも中学生じゃないわよ!」

そんなくだらない言い合い。それが、あの時のナノハにとって唯一の救いだった。


扉が閉まり、ゾティークの足音が遠ざかる。

ナノハは違和感を覚えた。

「……ユゴス。あなた、なんだか少し縮んでない?」

ユゴスの分体がゾティークの追跡に向かった分、彼の本体の質量は減少していた。

しかしユゴスは首を傾げた。

「……君の背が、伸びたんじゃない?」

ナノハの表情が動いた。

「えっ……本当に!?本当に伸びたの!?」


:世界一不運な骸骨

概略位置を最短ルートで突き進んだゾティーク。

しかし、彼が足を踏み入れたのは、ゲンゾウの悪意と工夫の結晶とも言える、

トラップ地帯だった。

劉斗と亜智が、茂みの奥から響く不穏な音に身構える。

全身にトリモチを浴び、その上に色とりどりの枯れ葉と、

蛍光ピンクの粉を蒔き散らした光り輝く不審な骸骨騎士が現れる。


「……聞きたい、こと、が、あ……」

ゾティークがそう言った、その瞬間。

巨大なタライが、落下した。

午後の静かな森全体に響き渡るような凄まじい乾いた音。ゾティークは沈黙した。

数秒後、ゾティークはフラフラと立ち上がる。


茂みからひょっこりとゲンゾウが姿を現し、感心したように深くうなずいた。

「驚いた、トラップを全部踏んでくるとは。今のは『鳴子』だ。いい音だろう?」

ゾティークは即答した。

「……嘘つけ。死なねえからって……全部ぶち当たってきたんだ」

ゾティークは燃える眼窩を亜智に向けた。

「で、何があった?」

アルベルトと何があったか、亜智が説明する。


だがゾティークが大剣をゆっくりと構えた。

「劉斗の憎しみは正当。だが、仲間の仇を討たない、

そんな無様は死んでも御免だ。もう死んでるがな、笑えよ?

劉斗、一騎打ちだ。受けてくれるな?」

劉斗も剣を構えた。

「アルベルトの暴走を知っても、それでも、それでもやるの!?」

亜智の叫びが虚しく響いた。


王都・作戦司令室

『ディープブルー』の地図上にゾティークを示すナイトの駒の隣に、

ノイズの混じったポーンが表示された。

「……接敵ね、確実にアンノウンを仕留められる戦力を編成する。戦力の逐次投入の必要はない」

ナノハが言う。


隠れ里

ゾティークを二度倒した劉斗。しかし、骸骨騎士は復活する。

「ゾティーク、剣を引いて、決着はついたはずよ!」

亜智が叫ぶ。

「ゾンビアタックだ、俺には伊織みたいな才能はない。

何度も倒され、復活すれば相手のクセや剣筋は覚える。非効率だろ?」

ゾティークが自嘲する。


「そろそろ日没ね。夜は不死者の時間、そうなったら手に負えない」

亜智は魔女の瞳に戻ると、劉斗の剣を『愚者の黄金・炎』で炎の剣に変える。

夕日を背に、劉斗の炎の剣が、ゾティークを再度切り伏せた。

だがゾティークは愉快そうに笑った。

「物知りな亜智でも、見た目に騙されるんだな」

亜智が口元をおさえた。


「しまった!不死者は日中に活動しない!」

「不死者には炎、それは正解だ。だが、俺の不死は不死鳥フェニックスの力。

火に焼かれれば、それだけ早く『生まれ変わる』のさ!」

燃える骸骨騎士の再生速度が、加速していく。

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