文化的排除
昼休みの時間だ。昼休みはこの会社ではたっぷりとある。まぁ、良いというべきか悪いというべきか...昼休みが長いか短いかよりも、古城にとっては仕事の内容を変えてほしいというのが本望であった。
休憩室へ向かっているとき、AI3体がお互い今の世界について話し合っている。
「あの地域のAIの生産数は今どうなっていますか?」
「生産数は現在4万3291体であり、このままのペースでは先月の25万812体よりも増加する見込みです。」
「どうやら新装置は効果を発揮していたようだな。やはり予測は裏切らない。」
...はぁ、そんなこと同年代の人間と話かったな...古城は落ち込みつつ廊下を進んでいると、休憩室についた。休憩室は人間とAIに分かれており、人間の方が割といろいろある。AIは充電器とか、椅子とか程度しかない。古城の家よりも少ない。
もちろん、この会社にも人間がいるわけだが、話しかけるどころか目線を合わせることすらしてこない。まるで、自分がAIにでもなったかのような錯覚だ。
「なんだか、今日は静かだなぁ...」
いつもならば何かしらドタバタしたAIが一体でもいるはずだが、今日はなんだか平穏だ。さっきの会話のように落ち着いた雰囲気に感じる。まぁ、裏を返せば違和感があるということではあるが...
先ほどAIの休憩室を説明したが、今度は人間の休憩室だ。AIによって自動的に調整できるベッドや安価な食料・飲料の自動販売機...まぁ、単調な作業の代わりといったところかな?
しかし、彼らは何をやっているのだろうか...全員VRゴーグルをつけて妄想の世界でかわいい女の子とイチャイチャというところか?あぁ、1人は女の子だから...レズビアンか?まぁ、そんなことはいい...いまはベッドで寝たいんだ。古城はそう思いベッドへ眠ろうとした。
...しかし、寝返りを打ってみると
「人間同士の雑談は10分程度まで」
の単調な張り紙を見るのは非常に不快だ。しかし、寝返りはやはり気持ちいい。そう思いつつ、彼は一旦眠りへとついた...
30分程度だろうか、またこの現実世界へと戻ってゆく。夢の中は自由に決められる。なんか、もう科学を超えた領域にいるよな。古城が起き上がって休憩室を見ると、いつの間にかここには2人しかいなかった。どうも、2人はトイレにいってのだろうか?古城はその同僚に話しかける。
「よぉ、調子はどうだ?」
「えぇ、まぁ...順調なんですが...」
「?、何かあったのか?」
「いえ、これからAIカウンセラーさんとの「孤独指数チェック」がありまして...」
孤独指数チェック。古城は受けたことがないのだが、何かAI心療内科が開発している診断らしい。何かよくないのが絶対あると思うのだが...
「あぁそうか...わかったよ。」
そういって古城は休憩室の外へと出て行った。古城はいったん外にでて新鮮な空気でも吸おうと考えていた。...あぁ、なんだか悲しい。俺とか、人間よりもAIカウンセラーとかと話す方がいいんだって?しんじられねぇ。
そうこう文句を言って外の新鮮な空気を吸おうとしたが、昼食を食うことをすっかり忘れていた。また休憩室へと向かっていった。
人間の休憩室でも、AIは入れる。ただ、AIの休憩室には清掃員などを除いて入ることが許されていない。おい、AIよ。お前らAIを生み出したのは俺たち人間様なんだぞ?なぜこの始末なのだろうか?
...あぁ、今日は普通にハンバーグだ。大量生産と自動化というのはありがたいな。おかげで価格が破壊されてこれでも無料だ。まぁ、確かに薄いが...和風おろしが乗せられたハンバーグにポン酢をかけて食べる。...しかし、前AIが食事するところを見たが、それはただの栄養パックのようなものであった。AIも食べなきゃいけないものなのか?
...そういや、ここに「人間向け」の機能って、あとどれくらいあるんだろうな。そんなことを考えながら、VRをつけて独り言を言っている同僚を見ながらハンバーグを食べ続けた。




