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孤独の群れ  作者: こっくん


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AIの会社

 「..あぁ、今日も来ちまったか..」


 今日も呪われた朝が来てしまった。彼の名前は「古城竜吾」フリガナはこじょうりゅうごだ。2か月ほど前に一人で27歳の誕生日を迎えた。


 「今日は2312年、10月、1日です。天気は一日晴れでしょう!」


 数百円程度しかかからなかった中型のロボットが今日の天気を伝える。大量生産される今じゃ、これでも数百円しかかからないんだぜ?まぁ、野菜とか肉は数十円でもっと安いから比較的には高いっちゃ高いのだが...あぁ、彼の部屋にはベッドと机と、あとはパソコンと充電器..まぁそれくらいしかない。


 いつも通りスーツに着替えると、最寄り駅へとそのまま向かっていた。家から電車に乗って、そこから会社に乗るというのは、数百年がたっても変わっていないらしい。おばあちゃんは満員電車に揺られて~..といっていたが、いまじゃほとんど空いている。まるでこの電車の中で眠れそうだ。あとは、鉄道は数十秒程度で着くくらい速くなったくらいか?


 電車の中では、数人の人間と、十数体のロボットがいた。意外にも、ロボットもこのロボットが操縦する電車を使うものだ。古城的には、何かしらの専用スペースにでもいてほしいのだが...地面を掃除する清掃ロボットを見ながら、そう空想に更けていた。...あぁ、かわいい女の子も、この時間帯じゃもういない。


 「東京駅、東京駅です」


 どこかぎこちないその人間らしいAIのナレーションは、不気味の谷のごとく古城を毎日不快にさせるものであった。


 ...そんな声をシャットダウンしていた時、彼はこうも考えていた。この時代は、「第五次産業革命」と呼ばれているが、「第四次産業革命」の時代に生まれていたらどうなっていたのだろうか...第四次産業革命は2016年、本当に3世紀前だ。なんかよくわからないエリートが言い出した言葉であったが...なんとなく、wikipediaにて調べてみると「デジタル革命を大前提としており、技術が社会内や人体内部にすら埋め込まれるようになる新たな道を表している」...あぁ、300年前の人間よ、聞いているか?これは本当に起きたんだ。そして俺は...幸せとはあまり考えていないんだ。


 あの頃はAIに「相談」ができていた。AIは人間の下僕にすぎなかった。進歩というのはAIから見たら偉大なものだ。なんせ、勝手に進化を、しかも人工的にしてくれるものなんだからな。


 そうしてぐちぐち何かをつぶやいていると、いつのまにか駅にたどり着いた。ほら、数分程度でついただろ?20駅くらい遠いはずなのだが...


 ..そして彼が所属している会社、「ミライロジスティック株式会社」へと着いた。名前ですらAIに名付けられている。会社の最寄り駅から13.2秒ほどだ、すごく近い。不快だな。憂鬱な状態を解消してから会社の入り口に立ちたいのに...


 自動ドアが「おはようございます。当社の人間社員 、古城様」と話しかける。会社から配布された外部搭載のマシンで、ライトは少し暖色となり、エアコンが作動し、部屋は彼の気分の良い室温となった。


 家で朝食をとる必要はない。コーヒーマシンが自動でブラックコーヒーを持ってきて、苦みと甘みの調和を合わせるように粉を入れる。彼の好みに全てが合うのだ。そしてトーストされたパンで焼き卵とトマトとキャベツが挟まれたサンドイッチがロボットによって運ばれてくる。この会社で人間は「浮いてる」と言わざるを得ないほど、人間よりAIの方が多いのだ。


 そしてそれを9時までに食べた後、ようやく仕事が始まる。主人公のPCには大量のウインドウがあった。


 「AI-41が配車を完了しました。承認をお願いします。」


 「AI-122-Aが補助を完了しました。承認をお願いします。」


 「AI-22が修理を完了しました。承認をお願いします。」


 承認、承認、承認...機械的に承認した音が、まるで工場でハンマーをたたく音かのように規則的に、静かに響く。


 「本日も迅速な業務、感謝いたします。あなたの承認速度は先月より約5.1%上昇しています。」


 ...これは古城に対する皮肉なのだろうか?先月も2.4%上昇というメッセージが来たのだが..まぁ、ただ単にほめているだけと祈るしかなかった。


 AI社員は人よりも大体1.5倍の速度で動き、2人の人間と7人のAIと共に会議室へと入っていった。あの2人の人間は多分他の部署の人間だろうが、8人もAIがいるんだし意味がないんじゃないか?彼はそう思っていた。


 そういえば、この会社には人間が古城一人だけというわけではない。同じ部屋にいるのは...最新のタブレットでニュースを見ている老人と..あとは寝ている年配の女性くらいか?お互い特に好きとかでもなければ、嫌いでもない。無関心というのが一番正しい。


 ただ、この会社にいることが彼らの仕事なのだから、古城の仕事はまだましとはいえるだろう。仕事をしているところを見たことがない。


 「昨日もずっと承認してたのか?」


 あのニュースを読んでいた老人が、古城に話しかけてきた。

 「まぁ、いつも通りですよ」


 「……俺たちも、いつまで必要とされるのかな。ははは...」


 そうやって老人は少し高笑いをすると、またニュースを見に戻った。老人の人生はせいぜい数十年程度だ。子供時代にしか22世紀をすごしていない古城と違い、彼はちゃんとそれを見にしみて感じている。まぁ、1世紀ではさほど違う点とか、そんなのもないだろうけど。2世紀だと本当に変わってしまうな。


 ..古城はふと、気づいた。古城が承認したあと、AIは業務報告書をデジタルで作成する。誰が確認するかは古城にはわからないが、一応古城もその報告書を確認することができた。まぁ、ただ単に承認ボタンを押すのを繰り返すのがつまらないから見ているわけだったが...


 そこにはこう書いてあった。


 「...北関東地方における配車コストについては、大幅に減少が見込めるはずです。そのため...」


 ...待て、「はずです」だって?基本的にAIというのは、「はずです」などの曖昧な形で報告することを古城は見たことがなかった。


 「.....まぁ、総合的に判断してこうなったのか。」


 と小さくつぶやき、昼休みのアラートがなった。

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