番外編 思い (アルダム視点)
私の他作品、「パーティーから追放されたその治癒師、実は最強につき」が本日26時からアニメ放送致します。
もし興味ありましたら是非見て頂けたら幸いです。
「……危なかったな」
そんな言葉が私、アルダムの口から漏れたのは一人になった自室の中だった。
目を閉じればすぐにあの時のライラの姿を思い出すことができる。
──私、身体を求められても断れないくらいにはアルダムに感謝してるんだけど?
真っ赤に上気した顔。
それでライラに告げられた言葉。
それは今や、私の頭に鮮明にやきついていた。
あのとき、マリアがいなければ自分がどんな行動をとったか、私にも判断ができなかった。
「ただの感謝の言葉だと、わかっているのにな」
そう言い聞かせながら、私は思わずにはいられない。
だとしても、あれはずるくないか、と。
こちらがどれだけ報われない片思いを続けてきたか、あの才女は知らないだろう。
あり得ない位聡明なはずの彼女はなぜか、人の好意に疎いのだから。
それでも、と私は思わずにはいられない。
あれはもう少しで勘違いするところだったと。
ただの感謝だと知っている今なら、わかる。
それは愚かな願望で、勘違いでしかない。
とはいえ、そんな願望による勘違いをしてしまうことも許して欲しかった。
「何年も報われないと思っていた思いがようやく実りそうなんだぞ……!」
ライラは気づいてもいない。
私に離縁について相談してきた時、私がどれだけ感謝していかを。
なぜなら、私はライラに救われたあのときから、ずっとライラに感謝をし、好意を抱いてきたのだから。
目を閉じればすぐに私は思い出せる。
ガズリアから必死に逃げながら、獣の森と戦い続けてきた日を。
今はガズリアは失職した無能で残虐な当主だったと言われている。
……そうでないことを、ずっと戦ってきた私が一番理解していた。
何度も殺されそうな思いをしながら、必死に私はあらがってきた。
それでも、限界はありあのままであれば私は死んでいただろう。
ガズリアは私の何倍も手練れで、何より力を持っていた。
その状況を変えてくれた人間こそ、ライラだった。
「……貴女は知らないでしょうね」
そう言いながら、私の頭によぎるのは豊穣の女神と聞いた時に、ライラが浮かべた照れた表情。
「──私にとって、貴女は本当の女神だということを」
実のところ、私はいつライラに好意を寄せていたのか知らないのだ。
なぜなら、私は気付いた頃にはライラのことをどうしようもなく愛してしまっていたのだから。




