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第二十四話

 数分後、私とマキシムは初夜式の控え室にいた。


 控え室でありながら豪華絢爛なその部屋を見ながら私は思う。

 ……この部屋だけで、結婚式より豪華なのはどういう気分でいればいいのだろうか、と。


「さあ、行くぞライラ!」


 その私の気持ちを、満面の笑みで私をエスコートしようと手をのばすマキシムは微塵も気づいていなかった。


「はい、旦那様!」


 うなずいた私の顔がもう覚悟を決めていたことに。


 控え室を後に、どんどんと会場につながる廊下を進む。

 そして会場にたどり着いた私を待っていたのは盛大な歓声だった。

 それは私も想像していなかったもので、私は思わず固まる。

 間髪入れず、私達を歓迎する音楽が流れ出す。

 ……その想像もしない歓迎に、私はただ目を見張ることしかできない。


「驚いたか、ライラ」


 にやり笑ったマキシムがそう告げたのはその時だった。

 その口元の笑みを浮かべながら、マキシムは続ける。


「私がどれだけお前の事を評価しているか、伝えてやろうと思ってのサプライズだ」


 そう言ってマキシムが腕を上にあげるとその音楽が止まる。

 それからゆっくりとマキシムが口を開いた。


「我が妻、ライラ。私を愛し、ずっと私の為に尽くしてきていた事を私はずっと評価してきた。この日はそんなお前に対する褒美だ」


 ああ、本当に。


「喜べ、ライラ! お前が結婚式不満があったことは聞いていた。しょうがないから盛大な式を開いてやったぞ!」


 ……この人は自分のことしか考えていないのだ。


 私がどうしようもなくそのことを理解したのはその時だった。

 あまりにも独りよがりなサプライズ。

 それを令嬢にとっては恥でしかないと言われる初夜式で行うマキシムに今までの事が走馬燈の様に私の頭に蘇る。


 ガズリアという名前を使い脅すように式を開いたこと。

 面倒な部分は私に任せ、自分はこんなしょうもないサプライズを準備していたこと。


 ──何より、一度たりとて私の気持ちを確認せずこんな事をしでかしたこと。


 笑顔で何かを期待するようにこちらをみるマキシム。

 そのマキシムに私の気持ちを伝える瞬間はもう目前までに来ていた。


 私はあえてにっこりと笑う。


「……私も旦那様に受け取ってほしいものがあります」


「ほう……!」


 そう言ってうつむいて見せると、マキシムの期待を込めた声が聞こえる。

 うつむいた私の顔が憎悪で染まっていることも知らずに。

 次の瞬間、ずっと用意していたその書類を手にした私はマキシムにそれを手渡した。


 そう、婚姻関係終了手続きとかかれたその書類。


「は?」


 ……通称離縁届けと呼ばれるその書類を。


 何を渡されたのか理解できず呆然とするマキシムに私は満面の笑顔を向けて告げた。


「──旦那様、離縁の準備ができました」

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